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呼吸を長く細く 丹田へ意識集中 不眠症

 

孫維良 (城西大学講師・中国医学会会員)

夜、ぐっすり眠って、翌朝にはすっきりとさわやかに目覚めるというのは、健康の基本であるといえます。ところが、手足の冷えなどが原因でなかなか眠れない、これといった原因がないのに、寝つきが悪い、また眠っても夜中に目覚めてなかなか寝付けないなど、不眠症に悩まされている人は多いと思います。

東洋医学では、万物は陰陽のバランスの上に成り立っていると考え、陽気(気とは一種の生命エネルギー)は興奮を、陰気は抑制をつかさどって、陰陽のバランスをとっているとされます。ところが、神経が興奮すると陰陽のバランスが崩れて頭に陽気が上がり、よく眠れなくなるのです。

これからご紹介する方法によって、頭に上がった陽気を散らして、陰陽のバランスを正常にして、不眠を解消することができます。

気功法の基本である姿勢、心、呼吸を調整してから行いましょう。

① 両手をこすり合わせ、手が温かくなったら、両手の指を熊手(くまて)のように広げて、まず髪の上際に当てます。

② ゆっくり息を吐き出しながら、気を頭の中に入れるつもりで指に力をいれて押し、息を吸いながら指の力を抜きます。これを繰り返しながら、指の位置を少しずつ頭頂部にずらしていってください。生え際から頭頂部まで押したら、それを1回と数え、20~40回繰り返します。夜寝る前にぜひお試しください。

またふとんに入ってから次の方法を行っても効果があります。

全身の力を抜き、リラックスして目を閉じます。呼吸は自然に細く長くゆっくりとします。頭の中は空っぽにして、意識をヘソの下の“丹田”に集中します。ヘソ下5センチのところです。分からない方は、足の親指へ意識を集中させてください。自然と眠りに入っていくでしょう。寝る前にぬるめのフロにゆっくり入るのも一法です。

 

孫維良(ソン・イリョウ)

1954年中国・天津生まれ。元天津中医学院(現天津中医薬大学)第一附属医院推拿医師。

1987年来日。

現在、東京中医学研究所所長、臨床中医学推拿塾塾長。当研究所内での施術のほか臨床中医推拿塾にて治療家育成にも積極的に取り組む。

 

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