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胃を健やかに 生命力アップ

 

「人は鉄、飯は鋼」という言葉がある。人は毎日飲食から離れることはできない。もし丈夫な胃腸という消化器官がなかったら、テーブルいっぱいのご馳走があっても、食べることができないし、病気になった時も、ご飯が食べられる状態でありさえすれば、健康が回復する望みがあり、回復も早いことだろう。もしご飯が食べられなかったら、病気はどんどん悪化し、命をおびやかすことになるだろう。

脾(漢方では飲食物の分解・排泄および水分代謝を司るものとされる)や胃の病気の原因として、食べすぎ飲みすぎ、暑さや冷え、時にはストレスや憂鬱がある。そのため、節度ある飲食、衣服による温度調整を行い、心をゆるやかに保つ必要がある。

胃痛、胃酸過多、胃のむかつきがある時など、多くの人はすぐ胃薬を服用しようと思うようだが、薬には三分の毒があるという。もし人体腹部の上脘、中脘、下脘の三つのツボ(穴)の作用を十分に発揮させれば、そうした悩みを解決することができる。

百病はすべて脾胃の衰えより発生する。そのため、普段から手で軽くこの三つのツボをマッサージしておくと、胃部の疾患にとても良い効果がある。そのほか、甘いものが胃に良いため、長イモ、バナナ、ナツメなどを食べて、脾胃を養い、カロリーを補い、体の疲れをとっておくとよい。甘みは人をリラックスさせてくれるため、仕事のプレッシャーが大きい人は、甘い物を適度に食べるとぐっすり眠ることができる。

上脘穴

 前部上腹部の正中線に沿ったところで、へそから指三つ分(薬指、中指、人さし指)とさらに指四つ分(親指以外、中指の第二関節付近を基準に)上にある。上脘穴は食物が胃に入る通路である食道に対応している。上脘穴を押すと、早食い、大食い、あるいはその他の原因による胃のもたれ、胃の張り、吐き気、しゃっくりなどに優れた効果がある。

中脘穴

 胃の中ほどの、へそから指五つ分のところで、胃の主要部分にあたるため、胃病の治療効果があり、胃のぜん動を助け、胃痛、腹の張り、胸焼けなどに効き、さらに体の免疫力を高める効果がある。

下脘穴

 胃の下部でへそから指三本分(人さし指、中指、薬指)上の胃と小腸のつなぎ目のあたりに、人体の小腸に対応するツボがある。下脘穴は食物が胃から小腸に入る「関所」とも言える場所で、食物の消化吸収という「大権」を握っており、食物が胃の中から下がってゆかないことによる消化不良、腹の張り、胃痛、嘔吐、および胃炎、胃潰瘍、胃痙攣、胃拡張、腸炎などの症状を緩和させる優れた作用がある。かつ、胃の下部にあるため、胃や脾の気が足りないために引き起こされる胃病、胃下垂などに極めて優れた治療効果がある。

 

北京軍区総病院の主任理療医師で、20数年にわたって高齢者医療保健活動に従事している。中国国学院大学客員教授、専門家委員、康寿養生専門家。

 1986年から人体の経絡(人体の気血・ツボの筋道)についての研究を始め、経絡による手診、面診、舌診、脈診、眼診、耳診などの漢方診断法、ツボ押し、民間食事療法の真髄を一体にし、短時間で人体の経絡を開き養生・治療効果を出す「張氏経絡管道快速開通法」を確立した。

 

人民中国インターネット版 2014年8月

 

 

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