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地球温暖化防止に取り組む中国

 

今世紀に入って、地球温暖化の問題は日増しに国際社会が注目する問題となってきた。温室ガスの排出量を抑制する責任をめぐって、各国間の論争は続いている。13億の人口を擁する中国では、政府がさまざまな方法でエネルギーの消耗を少なくし、汚染物の排出を減少させている。中国は『京都議定書』の締結国として、その責任を果たすために努力している。

 

古い発電所の閉鎖

 

2007年6月、寧夏回族自治区の英力特電力集団の中寧発電所で、巨大な煙突に発破がかけられ、同自治区の電力分野の「上大圧小」政策が始まった
山西省と河南省との境に位置する娘子関は、万里の長城の中で堅固な関所としてその名を知られ、「万里長城第九関」と言われている。唐の太宗、李世民の妹の平陽公主が女兵を率いてここに駐屯したことから、「娘子関(女性の関所)」という名がついた。

 

ここには全国的に知られた娘子関火力発電所がある。この発電所は1965年から建設が始まり、10万キロワットの発電ユニット二基を有し、当時は、華北地区における最大の発電所であった。山西省陽泉市の豊富で良質な石炭資源に恵まれ、30数年以来、河北省や山西省、北京市などに電力を供給し続けてきた。

 

2007年、娘子関発電所は新たな転換期を迎えた。6月5日、「ズシン」という鈍い音とともに、発電所内の100メートルの煙突が轟音をあげて崩れ、36年間と32年間、運転されてきた2基の発電ユニットが運転を停止した。

 

それに取ってかわったのは、2基の60万キロワットの空冷式超臨界発電ユニットである。このプロジェクトの責任を持つ中国電力投資集団公司華北分公司の王清文総経理は「新しい発電ユニットの建設は年内に始まり、2009年に稼動する予定です。そのとき、娘子関発電所は100万キロワット級の発電容量を有する大型発電所となります」と言っている。

 

新しい発電ユニットの建設は娘子関発電所に新たな活力をもたらし、山西省の電力分野での省エネ・排出削減の序幕となった。「発電ユニットの更新によって、毎年、標準炭換算で15万トンを節約でき、二酸化硫黄の排出を23000トン削減できます。環境保護の効果は明らかです」と王総経理は言う。

 

2007年、山西省政府は、2010年までに、10万キロワット以下の小型の火力発電所を閉鎖し、合計267万キロワットの発電をやめる方針を制定した。それに取ってかわるのは、大型火力発電ユニットやその他の省エネ・環境保護型の発電ユニットである。そして新しい発電ユニットの運転によって、石炭の使用量は大いに引き下げられ、発電所周辺の空気もきれいになり、水資源も大いに保護される。 大型化する発電ユニット

 

小型の発電所を閉鎖するのは山西省だけではない。2007年の上半期から、山東省、安徽省、雲南省、上海市などの省や直轄市でも相次いでいる。また、一部の地域では、発電ユニットのエネルギーや水の消耗、環境保護などの指標に基づいて、火力発電ユニットに順位をつけ、優先的に、効率が高くクリーンな発電ユニットやエネルギー再利用可能な発電ユニットの発電量を増加させ、小型発電所の発電量を年ごとに減らしている。

 

この数年、経済の発展に伴い、中国の電力事業は急速な発展を遂げたが、同時にいくつかの問題も出てきた。石炭を主なエネルギーとする火力発電を主とする中国にとっては、石炭の燃焼がもたらす温室ガスの排出をいかにコントロールするかが、一つの難題になっている。また、電力業界では、小型火力発電所がかなり多くの比重を占め、そのために電力業界は、大口のエネルギー浪費産業になっている。

 

エネルギー節約と汚染物質の排出削減を目指して、2007年から、中国政府は電力分野で、「上大圧小」という政策を実施し始めた。これは小型発電ユニットを、効率のよい、省エネの大型火力発電ユニットに取りかえるという政策である。

 

2007年1月、中央政府は30の地方政府と「目標責任書」を締結した。これは、総量規制制度によって上級政府が下級政府と「目標責任書」を締結する制度で、目標が達成されない場合、下級政府の責任が追及される。

 

これによって2007年の1年間に、合計1000万キロワットの小型発電ユニットが閉鎖され、2010年までに、合計5000万キロワットの小型発電ユニットが停止する計画が制定された。また、中央政府は、小型発電ユニットの閉鎖に著しい実績をあげた地方や企業に対して、新しく電力プロジェクトを建設する際に、優先的にこれを支持することにしている。

 

この政策は、電力業界の従業員たちから賛同を得た。新しい発電ユニットができると、作業環境が大いに改善され、発電所周辺の空気や水も浄化され、生活環境はますます良くなるだろうと、多くの労働者は期待している。

 

しかし、従業員たちは、発電所が閉鎖された後の就業問題を心配している。福建省の永安発電所を例にとると、古い発電ユニットが閉鎖された後、発電所の全従業員1600余りのうち1200人以上が再就職の問題に直面した。これについて発電所の責任者は、一部の優秀な従業員を選抜し、新しく拡張されたプロジェクトに配置転換させるほか、一部の従業員を新しくつくられた火力発電所検査修理会社に配置し、最後に残った人たちは、今後新たにつくられるプロジェクトに配置する、と述べている。「上大圧小」の政策の中で、労働者の就業・配置問題の解決は、なお一定の時間がかかりそうだ。

 

現在、「上大圧小」の政策はすでに効果が現れてきた。国家発展・改革委員会によると、2007年の上半期、中国の各省は合計550万キロワットの小型火力発電所を閉鎖した。これらの小型発電ユニットの停止によって、年間に標準炭換算で約847万トンを節約し、二酸化炭素1700万トン、二酸化硫黄20万トン近くを排出削減できるという。

 

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