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地球温暖化防止に取り組む中国

 

地球温暖化と向き合う

 

青海チベット高原で気候変動を観測する中国の気象学者
電力分野での「上大圧小」政策は、中国政府が実施する省エネ・排出削減措置の一つの面にすぎない。日増しに深刻になる地球温暖化問題に直面し、温室効果ガスの排出を抑え、地球の温度上昇を緩和することは、すでに各国が急いで対応しなければならない難しい問題の一つとなっている。

 

近年、一部の海外メディアが、中国の二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量は多すぎると批判している。しかし実は、1950年から2002年までの52年間に、中国の化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出量は、世界の累計排出量の9.33%にすぎない。国際エネルギー機構の統計によると、2004年の中国人1人当たりの二酸化炭素の排出量は3.65トンで、世界の平均排出量の87%、先進国の33%にすぎない。『温暖化防止条約』が規定した「それぞれ共通に有しているが、差異のある責任」の原則に基づき、先進諸国は歴史的に、また現在も、温室効果ガスの主要な排出源であり、地球全体の温暖化に対し、より多くの任務を担わなければならない。

 

世界規模の温度の上昇が中国に与える影響も少なくない。統計によると、1986年からの20年間に、中国は連年、暖冬に見舞われている。気候の温暖化がもたらす天候の激しい変動や土石流、山崩れなどの自然災害の発生も、次第に多くなり、経済的損失も大きくなっている。

 

中国政府は、気候変動の問題を非常に重視している。国家発展・改革委員会の馬凱主任は、世界総人口の5分の1を有する中国にとって、地球温暖化を抑制し、省エネ・排出削減政策を実施することは、中国の社会経済の発展や国民生活の改善に一致すると述べた。

 

2007年5月、温家宝総理を組長とし、国家発展・改革委員会、商務部、環境保護総局、科学技術部など多くの政府部門をメンバーとする「国家の気候変動に対応する工作小組」が設立された。その後6月4日、中国政府は『中国の気候変化に対応する国家プログラム』を正式に発表した。2年がかりでまとめられたこの『プログラム』は、中国で初めての、温暖化に対して制定された政策である。

 

『プログラム』は、地球温暖化がすでに争う余地のない事実となった現在、中国は産業構造の調整や技術の向上を通じてエネルギーの利用効率を高めることによって、温室効果ガスの排出を削減する、と表明している。また、中国は今後、風力発電や水力発電などの環境保護型プロジェクトに力を入れ、省エネ分野での国際協力に積極的に参加しようとしている。

 

省エネ、あの手この手

 

中国の第11次五カ年規画は、2006年から2010年までに、単位GDP(GDP当たり)のエネルギー消費を20%前後削減し、主な汚染物質の排出総量を10%削減する目標を打ち出した。

 

この目標を実現するため、中国政府は2007年、電力、鉄鋼、電解アルミ、有色金属、製紙など13の省エネの重点業種を発表した。これらの業種で、エネルギー利用効率の低い企業は閉鎖される。また政府は、エネルギー消費の多い企業に対する監督を強化し、汚染物質排出基準を満たしていない企業は、その名を公表され、社会的な監督を受ける。

 

対外貿易分野では、2007年7月、中国税関が輸出税還付の商品について、調整を行った。鉱業製品、肥料、燃料、皮革など、500余りの「エネルギー消費が大きい」「汚染がひどい」「天然資源の」製品を輸出する場合は、輸出税還付はなくなった。こうした措置によって、中国の産業構造の調整にも、一定の影響を与えた。

 

ここ数年、中国の自動車の保有量は急ピッチで増加した。北京市だけでもすでに300万台を超えた。自動車の排気ガスを抑制するために、各地で、これまでの排気量の小さい自動車に対する制限を取り消し、その生産と販売を奨励している。また政府は、公共交通の発展に力を入れ、市民に公共バスの利用を提唱している。たとえば北京では、2010年までに、9本の新しい地下鉄路線が増える。また政府は公共バスの運賃を大幅に引き下げ、公共バス専用レーンの設置などを打ち出し、市民が公共交通を選ぶように誘導している。

 

天安門広場の交通信号は、ソーラー発電を利用している
温室効果ガス排出削減の面でも、中国は植樹・造林を通じて成果を挙げている。現在、中国の人工造林面積は5400万ヘクタールに達し、世界1位を占めている。全国の森林面積は1億7491万ヘクタールに達した。また中国は、積極的に自然林の保護プロジェクトを展開し、都市の緑を増やしている。専門家の推計によると、1980~2005年に、中国の造林活動によって、累計で約30億6000万トンの二酸化炭素が吸収され、森林の管理によって累計で約16億2000万トンの二酸化炭素が吸収された。

 

2007年7月から、政府は、病院のような特別の場所以外のすべての公共の建物で、室内温度を、夏には26度以下、冬には20度以上にしてはならないと規定した。また同時に、汚水処理費やゴミ管理費を徴収する範囲を、全国各地の都市に拡大した。ゴミの分別回収も、次第に市民が意識するようになった。

 

また、政府や環境保護組織の呼びかけに応え、二酸化炭素の排出抑制や資源消費の削減の意識は、人々に受け入れられるようになった。二酸化炭素排出の抑制は個人でもできると、週に1日、マイカー通勤をやめ、自転車通勤を提唱するサラリーマンも少なくない。エアコンの代わりに扇風機を使ったり、茶やコーヒーをやめ白湯を飲んだり、使い捨ての木製の割箸を使わない、といった「ロハス」(健康と地球環境の意識の高いライフスタイル)の人々は、日増しに増えている。

 

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