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「多極間協力時代」の到来を迎えて

 

「多極間協力時代」への展望

2008年7月9日、先進八カ国首脳と発展途上国首脳との対話会議が日本の北海道洞爺湖で挙行された(新華社)



私は「多極間協力時代」の到来については、比較的、楽観視している。その理由は――

21世紀前半は、世界の平和が継続する望みがあり、それが「多極間協力」を実現するのに有利な重要な前提である。

今世紀の国際情勢の全体的な趨勢を見ると、世界の平和を守るのに有利な二つの要因があることを見つけるのは難しくない。

第一に、世界的に見れば、平和と発展は依然として二つの基本的なテーマである。価値観の違いや経済的利益の摩擦、国境紛争、宗教信仰の違いなどによって引き起こされる局部的な衝突や小規模の戦争は絶え間なく続いているが、平和と発展は依然として大多数の国の人々の共通した願いであり、世界の平和を守ることも大多数の国が取るべき外交政策となっている。

第二、大国間の関係の相対的安定は、世界の平和を守るうえできわめて重要である。国際情勢の方向性に影響を与えることができる大国や強国しか世界的な戦争をする資格や能力がないことは、歴史的な経験によって証明されている。20世紀に起こった2回の世界大戦は、ともに大国間の戦争であった。現在に目を転じると、米国、欧州、日本などの先進国の間には、再び戦争が起こる要素は存在していない。

中国、インド、ロシア、ブラジルなどの新興の大国は、経済の発展に主な力を注いでいる。その国内政策の目標は、何とかして先進国との間の格差を縮めることであり、その国防、外交政策の目標は平和を守り、先進国との対話や協力を追求し、自国の国内での発展のために平和で安定した国際的な「大環境」をつくることである。

以上述べた二つの特徴から判断すれば、世界がさらに半世紀にわたり平和の局面を維持することは完全に可能である。これは「多極間協力」の目標実現にとって有利な国際的な「大環境」を提供するであろう。

連合、対話、協力が時代の主旋律となっている。

20世紀中葉以来、国連のほかに、地域や世界の経済融合や政治協力を促進するさまざまな組織が、雨後の竹の子のように出現してきた。

欧州連合(EU)は、最初の6カ国の「欧州鉄鋼連盟(EUROFER)」から始まって27カ国をメンバーとする一体化した組織へと発展した。発展のレベルが違い、歴史や文化の背景が大いに異なる大多数の欧州の国々を寛容な態度で受け入れ、EUはすでに政治や経済、外交など多くの分野で一体化の程度がもっとも進んだ地域的組織となった。

東南アジア諸国連合(ASEAN)も最初の6カ国から10カ国をメンバーとする重要な地域的な一体化した組織へと拡大した。アジア太平洋経済協力会議(APEC)は20年連続で太平洋沿岸諸国の首脳対話会議を成功裏に挙行し、アジア太平洋地域の平和と協力のスタビライザー(安定化装置)となっている。アフリカでもさまざまな地域的連合組織の基礎の上に、アフリカ連合(AU)が設立された。東アジアでは、「10+1」「10+3」の協力枠組みや中日韓協力の対話メカニズムが絶えず発展している。近年出現した「8+5」(先進八カ国と発展途上五カ国)の対話メカニズムやアジア欧洲会議(ASEM)は、先進国と新興の発展途上大国が対話を強化し、協力を深め、人類が直面している共通の難問に共同で応対するという正確な発展方向を示している。

今年八月にジュネーブで行われた世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンドの非公式閣僚会合は一時的に挫折したが、国と国の間の自由貿易協定(FTA)交渉は加速している。こうした多くの現象は、世界各国が次第に、グローバル化時代は「一国が栄えれば各国も栄え、一国が損すれば各国も損する」という時代だと認識した結果である。世界各国が対話と協力を強めてこそ、相互理解や信頼を促進できる。相互信頼を絶えず強めてこそ、相互利益や「ウイン・ウイン」の関係が実現でき、国際的な新秩序をともに建設するという目標を実現することができる。

「多極間協力」を実現するには、さまざまな古い考えを乗り越え、共同行動の準則を制定する際などの面での障害を克服しなければならない。

もちろん、「多極間協力」を実現することは決して容易なことではない。時代遅れの冷戦思考やイデオロギーを基準にした国家関係の処理、新たな保護貿易主義の台頭など、いずれも「多極間協力」の障害となっている。西側の一部の人が中国の急速な発展に対し不安を感じているのは、イデオロギーによって盲目的に是非を判断した結果である。先日のジュネーブのWTO閣僚会合が喧嘩別れに終わったが、保護貿易主義の台頭によって、協力を主な目的とするWTOは、その成立以来もっともひどい打撃を受けたのである。

相互利益や「ウイン・ウイン」を重視せずに、自国の利益だけを考えるのは一種の短見であり、国と国との政治的、軍事的衝突を引き起こしやすく、非常に危険なことである。また、急速に発展し変化する世界の構造は、それに応じた共同行動の準則や組織機関による保障がなければならず、それは「多極間協力」を実現するための必要条件である。しかし今日の世界の現実は、一部の古い行動準則は機能しなくなったのに、新しい情勢に応じた行動準則はまだ確立されていない。このため第二次世界大戦後、各国が苦労して創立した国連組織の働きも脆弱になってしまった。世界で「多極間協力」を実現するには、それらの障害を克服しなければならない。

天下の大勢を俯瞰すれば、「久しく分かれれば必ず合す」というのは、歴史の法則がある。新たな協力の時代が到来しつつあるが、大国の力量のバランスが崩れるとともに、それは必ず激動を伴う。人類は変化した新たな環境に順応し、新たな考え方で、新たな問題を解決する新たな方法を探さなければならない。

将来の人類はきっと私たちの祖先より聡明だろうから、利害関係を正確に処理する新しい方法を必ず見つけることができると、私は信じている。これから進むべき道にいくら困難や障害があろうとも、「地球村」の人々が「共存共栄」の意識を樹立し、協力と対話の方向を堅持し、相互利益や「ウイン・ウイン」の原則を守れば、21世紀の世界の新しい秩序を共同で打ち立てるという目標は、必ず実現するであろう。(0810)

 

 ハース氏は『フォーリン アフェアーズ(日本語版)』2008年5月号で次のように発言している。 

「現在の国際システムの基本的特徴は、国がパワーを独占する時代が終わり、特定の領域における優位を失いつつあることだ。(中略)米国の一極支配体制は終わり、無極秩序の時代に世界は足を踏み入れつつある。(中略)協調で無極化という現象を覆せるわけではないが、それでも、是々非々の協調は状況を管理する助けになるし、国際システムがこれ以上悪化したり、解体したりしていくリスクを抑え込むことができる」 



 

 

 人民中国インターネット版 2008年11月6日

 

 

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