現在位置: Home>社会
故郷に愛心楼を建てた台湾の翁

 

貧しい子どもたちに援助を

 

1996年に、曾さんは再び辰溪に帰った時、辰陽鎮柳樹湾街に土地を買い、一棟の家を建て始めた。その家が完成した後になって村民たちは、貧しいため学校を中途退学したり、退学しそうになったりしている子どもたちが、この家に出たり入ったりしていることに気づいた。それで皆は、曾さんがそこに家を建てたのは自分が住むためではなく、貧しい子どもたちに学習したり、泊まったりする場所を提供するためだということがやっとわかった。

 

なぜこのようなことをしたのだろう。曾さんはこう考えたのだ。

 

お金で一時的に、故郷の困難を解決できるかもしれないが、貧しく、遅れた故郷の姿を根本的に変えることはできない。しかももともとあまり裕福ではない彼が金銭的に故郷のお年寄りたちを援助することはたいしてできない。

 

そこで彼は、特別な方法で援助する道を選んだ。それが建物を建てて、教育を援助することだった。

 

それから、曾さんが台湾で過ごす時間はますます短くなり、辰溪にいる時間がますます長くなった。この数年、曾さんは毎年、台湾で家族と団欒する時間は2カ月しかなく、残りの時間は全部、辰溪で、子どもたちの生活の面倒を見て過ごしている。彼は子どもたちの服を洗ったり、ご飯を作ったり、しっかり勉強するよう励ましたりしているのだ。

 

台湾に戻る前には、彼はいつも冷蔵庫に十分な食べ物を入れ、子どもたちに2カ月分の生活費を残して行く。2002年に曾さんは、辰溪第2中学校の前にもう一棟の建物を建てた。それで子どもたちは勉強するのに、さらに便利になった。

 

最初の建物を建ててから、瞬く間に9年間が経った。曾さんの白髪はますます増えたが、2棟の建物で生活する子供も次々に入れ替わった。ここで長く暮らした子どもは48人だが、短期間暮らした子どもは数え切れないほどいる。

 

ここから出た子どもたちは、大学へ行った子もいるし、技術を身につけて各地で生計を立てている子もいる。しかし、どこへ行っても彼らは、いつもこの心温まる小さな建物を、心の奥にしまい込んで忘れない。そして辰溪に戻ると、彼らは真っ先にこの建物に来て、曾さんを訪ねるのである。(羅運山=文)

 

人民中国インターネット版

 

 

   <<   1  2  


人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850