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釘まで輸入していた国が 鉄鋼生産世界一に

 

中日協力の結晶 宝山鉄鋼

宝山鉄鋼の熱間圧延コントロールルーム(新華社)

長い間、低迷してきた鉄鋼産業をどうすれば打開できるか、より多く、より良質な鋼材をどうすれば生産でき、経済発展のニーズに応じることができるか。中国が「改革・開放」政策に踏み切った後、国の門戸は開放され、思想も解放された。中国の鉄鋼産業は外国の鉄鋼産業と協力し、近代的な大型の鉄鋼企業の建設を始めた。

上海の宝山鉄鋼は1978年末に建設が始まった。鉄鋼生産量は2008年までの累計で2億7200万トンに達し、経済効果と利益は毎年、全国の製造業で一位を占めている(新華社)
調査と論証を経て、中国は日本の新日本製鐵(新日鉄)と協力して、日本の鉄鋼産業の進んだ技術と設備を導入することを決めた。1978年10月、鄧小平氏が新日鉄の君津製鉄所を見学した時、案内をした稲山嘉寛・新日鉄会長と斎藤英四郎社長に対し「中国にもこれと同じような製鉄所をつくってほしい」と言った。

さまざまな比較検討を経て、最終的に、立地は上海の宝山が選ばれた。その理由は、ここが長江と海に面し、水運の便が良い。上海は古くからの工業基地であり、技術力もかなりある。上海やその周辺地域の市場の鋼鉄の需要は大きく、上海は人材が多い……などであった。

問題は沿海地域なので地盤がよくないことであった。しかし鋼鉄の杭を大量に打ち、基礎をしっかりと固めさえすれば、解決できない問題ではない、と結論づけられた。

1978年12月23日、宝山製鉄所の工事が始まり、最初の杭が打たれた。念入りの設計と施工に加え、新日鉄の友好協力で、建設はスムーズに進んだ。

13平方キロの軟弱な地盤の上に、1000万立方メートル以上の土を掘り、17万8000トンの鋼鉄の杭と4万1000立方メートルのコンクリートの杭を打ち込み、260万立方メートルのコンクリートを流し込み、地盤と製鉄所の建屋の構造を強固にした。

多くの工事の中には、4000立方メートルの高炉のような一級プロジェクトが30、年間取扱量2000万トンの埠頭のような2級プロジェクトが230、比較的規模の小さい3級プロジェクトが1150あった。宝山製鉄所の建設は施工と設置が厳格に行なわれ、工事の質はすべてが良好だった。

そして宝山鉄鋼連合企業(宝山鉄鋼)が設立され、すべての設備の連動試運転が一回で成功を収めた。そして生産が順調に始まり、開始1年で、当初の設計水準に達した。

1991年、宝山鉄鋼が生産を開始した年、中国の鉄鋼生産量は7000万トンを超えた。1996年には1億トンを上回り、中国は世界一の鉄鋼生産国となった。

2004年、中国の粗鋼生産量は2億7245万トンに達し、世界2位の日本(1億1268万トン)、3位の米国(9855万トン)、4位のロシア(6429万トン)の総和に近づいた。鉄鋼生産で「英国を追い越し、米国を追いかける」という毛沢東主席ら第一代の指導者たちの夢にまで見た理想は、「改革・開放」の時代に、達成された。

鉄鋼産業の質的転換を

現在、曹妃甸に建設中の首都鉄鋼京唐鉄鋼公司の工事現場(新華社)

1996年から、中国粗鋼生産量は13年連続で世界一の座を占め続けている。2008年には5億トンに達し、全世界の生産量の38%を占めるに至った。しかし、中国の鉄鋼産業にもさまざまな問題がある。とくに現在、国際的な金融危機に直面し、中国は科学的発展観や「成長を確保し、内需を拡大し、構造を調整する」という指示に基づいて、産業構造の調整を行い、それによって鉄鋼産業の安定的な操業と鉄鋼産業のグレードアップを推進している。

まずは生産の総量をコントロールし、遅れたものを淘汰することである。数年前、でたらめな投資拡大が生産能力の過剰をもたらした。2008年末の生産能力は6億6000万トンで、需要を1億トンを上回っていた。

そこで国務院(政府)は、中心となる基幹企業や重要な鋼材の品種は維持するが、2009年の鉄の生産量を1000万トン、鋼の生産量を600万トン圧縮することを決定した。2012年末までに鉄の生産量を7200万トンに、鋼の生産量を2500万トンに圧縮する方針だ。そのために今年、投資が大きく生産性が低い、品質が悪く、汚染がひどい、300立方メートル以下の高炉と20トン以下の転炉と電気炉を全部廃止することとなった。

次に企業の再編成と産業構造の改善である。中国の鉄鋼産業は、沿海部、長江流域部、内陸部の地域によって科学的、合理的に配置し、資源や環境に適応するという原則に照らして、遅れた企業を淘汰し、企業の再編成や都市部にある工場の移転と結びつけ、企業の再編成と産業構造の改善をはかる。

例えば、宝山鉄鋼は、上海地区の製鉄所や新疆八一鉄鋼との再編成を実現した後、今年はまた広東省と協力して韶関鉄鋼に対し、技術改造と構造調整を実施し、産業をグレードアップさせた。同時に、広州鉄鋼を広州市から移転させ、適当な時期に沿海の湛江市に鉄鋼の優秀製品の製造基地を建設する。そのほか、パオトウ鉄鋼、寧波鉄鋼と多地域にまたがる再編成を計画している。

同じように、武漢鉄鋼も広西柳州鉄鋼と共同出資で広西鉄鋼集団をつくり、適当な時期に防城港に鉄鋼の優秀製品の製造基地を建設しようとしている。

鞍山鉄鋼と本渓鉄鋼が合併した鞍本鉄鋼集団も、攀枝花鉄鋼、東北特殊鋼と地域を越えた再編成を進めている。

このようにして2011年には、宝山鉄鋼、鞍本鉄鋼、武漢鉄鋼などの5000万トン以上の生産能力を持ついくつかの特大鉄鋼企業に、生産能力1000万トンから3000万トンの若干の大型鉄鋼企業を加えて、中国の鉄鋼産業の国際競争力が増強される。

近年、中国鉄鋼企業は省エネと排出削減を強化している。大型、中型の企業は、鋼の1トン当たりの生産で、石炭は620キロ以下、水は5トン以下、排出される粉塵は1.04キロ以下、二酸化炭素は1.84キロ以下……に抑えるよう要求されている。

「改革・開放」以来、鉄鋼産業に従事する人々は、環境保護意識を持つようになった。彼らは自覚的に汚染のない生産を推進し、環境保護に注意するようになった。

例えば宝山鉄鋼では、「緑の宝山をつくる」ことに力を入れ、成果を収めた。現在、宝山鉄鋼は中国の冶金産業で最初に「ISO14001」環境認証を取得した。工場地区の緑化率は42.71%、大気の質は国家リゾート区の基準に達し、中国で初の国家レベルの工業観光風景区と認定され、毎日訪れる観光客が絶えない。(丘桓興=文)

 

「首鋼」が北京を去る日

 

人民中国インターネット版 2009年10月

 

 

 

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