中国の工業を牽引してきた巨大な製鉄所、「首鋼」と呼ばれて親しまれてきた首都鉄鋼集団が、ついに首都の北京を去る。来年夏に開催される北京オリンピックまでに、北京の大気を「オリンピック基準」にまで改善することを、中国は国際的に約束した。そのためには、二酸化炭素などを大量に排出する製鉄所は、北京から引っ越さなければならない。
  しかし移転はオリンピックのためだけではない。近代化された新しい製鉄所に生まれ変わるためでもある。なにせ、従業員8万人、敷地面積8平方キロのマンモス企業である。移転は5年がかり、移転費用は677億元にのぼる。移転先の新工場の建設は進んでいるか、従業員は再就職できるのか――これは、中国の鉄鋼業再生の壮大な実験である。

   
 
 
写真報道
    曹妃甸に建設された鉱石バース。25万トン級の船舶が接岸できる

 

 
 
    曹妃甸工業区の入り口を示すゲート。ここから曹妃甸島につながる18キロの道路が始まる

 

 
 
    すでに完成した鉱石バース。鉱石を直接陸上げできる

 

 
 
    首都鉄鋼の工場敷地の中央部にある群明湖公園

 

 
 
    かつて曹妃甸は、22平方キロの帯状の砂の島であった

 

   
 
 人民中国特別報道
    石景山から曹妃甸へ① 高炉の火が消えた
    石景山から曹妃甸へ② 構造的な三つの問題
    石景山から曹妃甸へ③ 白紙に描かれた設計図
    石景山から曹妃甸へ④ 急ピッチで進む建設
    歴史の荒波をくぐりぬけて① その栄光と挫折
    歴史の荒波をくぐりぬけて② 「首鋼」とともに
    課題も多い「首鋼」の将来① よみがえる鳳凰
    課題も多い「首鋼」の将来② 従業員はどこへ
    課題も多い「首鋼」の将来③ 跡地はどうなる
       
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資 料

首都鉄鋼の前身は石景山鉄鋼廠である。1919年、北洋政府の時期に創設され、それが現在の製鉄所になった。しかし設立から30年間で、断続的に累計28万6000トンの銑鉄を生産したに過ぎない。……

中国の十大鉄鋼企業(2006年)

曹妃甸工業区

曹妃甸は、ラン河の河口に形成された帯状の砂の島である。面積は22平方キロ、陸地との間に450平方キロメートルの浅瀬があり、簡単に埋め立てて土地造成をすることができる。島の前方500メートルに、水深25~36メートルの深い海溝がある。この得がたい地理的条件によって、曹妃甸は「ダイヤモンド級の天然の良港だ」と称えられている。……

中国の鉄鋼生産の歩み

1949年、中国の鉄鋼生産量は15万8000トンで世界26位、当時の世界の鉄鋼総生産量0.1%を占めていたにすぎない。……

ライバルになるのか

首都鉄鋼の移転に対して、日本と韓国の一部のマスコミは、自国の鉄鋼企業に脅威をもたらすのではないかと懸念した。しかし実際は、首都鉄鋼は一貫してオープンな姿勢で世界に対して来た。歴史的には、首都鉄鋼はアメリカ、オーストラリア、メキシコなどの鉄鋼企業と協力したことがあり、日本企業とはもっと早い時期に手を結んだ。……
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