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「一帯一路」が国際海洋都市に活力

熊波 山東省日照市副市長に聞く

聞き手=張雪

1964年1月、広東省生まれ。1985年に大学卒業後、外交部(外務省に相当)に入る。中国駐日本大使館参事官、外交部アジア局日本課長、参事官、副局長などを歴任。現在は山東省日照市副市長。

 日照市は山東省東南部の沿岸地域に位置しており、海を隔てて日本や韓国と向き合っている。この地は、古代海上シルクロードの重要な港の一つとして栄えた。日照市は今年に入りユーラシア大陸にまたがる「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」構想における重要な拠点都市として正式にその名を連ねた。同市は「一帯」と「一路」の重要なアクセスポイントになったといえる。6月15日、第3回中国・中央アジア協力フォーラムが同市で開催された。これを機に、同市は東アジアと中央アジア、そして欧州を結ぶ重要な枢軸として、新たなチャンスを迎えるとともに新たな活力を得ることとなった。 

 同市は今後、「一帯一路」構想と中日韓三国協力に対し、どのような優位性と役割を発揮するか、熊波・前外交部アジア局副局長、現日照市副市長に伺った。

──日照市は内陸地域として長い歴史を有していますが、海浜都市としてはこれからだと考えられます。内陸西部には人口が集中する一方で、沿岸地域には先進の施設が集中しています。このような状況下においてどのようにバランスの取れた発展を実現させていこうとお考えですか?

熊波氏 おっしゃるとおり日照市は歴史があると同時に現在はまだ若い都市だと言えます。莒文化(東夷文化の重要な一部)を代表とする深い歴史文化が根底にある一方で、現代的な新しい海洋を特色とした都市文化もあります。当市は地理的そして港、交通などに合わせたインフラ施設を強みとしているため、藍色経済区(海陸の統一発展モデルを探り、新たな発展空間の開拓に重点を置く山東省一部の都市)の中でも速い速度で発展していると言うことができます。都市としての開発はまだ日が浅いため、内陸地域は農業人口が集中し、経済発展が遅れています。このような当市の実情を踏まえ、「港産業による繁栄、工業による発展、科学教育による振興、エコ文明による建設」の発展戦略を早くから確立させました。ここ数年、民生改善への投資と新型都市化建設に力を入れ、包括的で協調性のある持続可能な発展を目指しています。当市は内陸部に農業人口が多数集中しているからこそ、都市化を支える空間も大きいのです。この特徴を生かせば長期発展のために強力なサポートを提供し続けることができます。これはまさに当市の後発優位性とも言えます。

――習近平主席が「一帯一路」という戦略的構想を打ち出してから、日照市はユーラシア大陸経済における重要な拠点都市として浮かび上がりました。その後、率先して「一帯一路『5通』モデル地域」の目標を打ち出しました。今回、同市で開催された中国・中央アジア協力フォーラムはこのように独特な同市の存在感をいっそう際立たせました。「一帯一路」建設に向け、日照市にはどのような優位性と役割があると思われますか。

 日照市はユーラシア・ランドブリッジの東方の要であり、シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードを結ぶ場所です。「港が四方の海に通じ、アジア諸国と欧州につながる」という独特な地理的優位性を活用できます。当市の港は世界100以上もの国と地域に通じており、貨物取扱量は年間3.5億トンにも及び、世界第11位となっています。将来の年間貨物取扱量は6億トンにも達する見込みです。港につながる鉄道は、西は途中、中央アジアの5カ国を経由し、オランダのロッテルダムなどの欧州の港にまで続いています。北はモンゴルまで続いており、中国とロシアそしてモンゴルの経済通路を活用できます。当市の高速道路は縦横に走っており、まもなく空港が完成し通航する予定です。今後2年から3年の間に、当市から高速鉄道などを利用して3時間ほどで北京まで、1時間で青島まで行くことができるようになります。このように当市は「一帯一路」建設に参与することでほかの地域には真似できない空と陸の利点を活用していきます。今年6月、中国と中央アジア諸国の政治家、政府高官、企業家が当市に集い、第3回中国・中央アジア協力フォーラムなどが開催されました。その際、当市では中央アジア(日照)港物流パークと中央アジア(日照)航空貿易サービスセンターを造り、中央アジア各国から大きな注目を集めました。このように、当市は「一帯一路」建設において重要な一歩を踏み出すことになりました。

――北東アジアの国家発展経済協力において、日照市にはどのような優位性があると思われますか? また、北東アジア外交事務を担当する政府要員だった熊氏にとって「一帯一路」構想と日本、韓国にはどのような関係があると思われますか?

 日照市と日本、韓国とは一衣帯水であり、海を挟んで相対しています。日韓などの北東アジア国家との交流や協力には近接の利便性があります。韓国は、当市でリードしていると言えます。当市は韓国最大手の自動車メーカー現代(ヒュンダイ)グループにとって、世界で最も重要な車輌パーツ生産拠点となっています。自動車のエンジンと変速機の工場では現代グループ最新の設備と最先端の技術を使っており、年間生産台数は100万台を超えています。中韓自由貿易協定(FTA)の調印は当市と韓国の協力関係に、さらなる一歩を踏み出す推進力となりました。一方、日本とは、早くは70年代の末から第1次円借款(1979年~83年)を活用し、日照石臼港と兗石鉄道の建設を行いました。当時の設備は今でも活用しています。当市と日本の食品加工貿易なども良好な協力関係を保っています。  

中国が取り組み推進する「一帯一路」建設は同じ沿線沿岸国家のインフラ建設に着目し、資金の融通、人的文化交流など新しい分野での協力プラットホームの建設を目指し、ウインウイン、共同発展の実現を目標としています。また、「共に協議し、共に構築し、共に享有する」という理念を持ち、「開放と包容」の原則を堅持しています。日本および韓国は沿線沿岸国家に対するエネルギーなどの領域への協力や、貿易のやり取りにさらなる好条件と足場を提供することもできます。韓国の朴槿惠大統領は少し前、中国の指導者に対して、韓国が現在推し進めている「ユーラシア・イニシアチブ」と「一帯一路」構想には多くの共通点が見られるとし、中国と協力し共同効果を創造していきたいと表明しました。中日双方の関係者は十数年前から「二国間関係を超える中日関係」、「アジア、世界の中の中日関係」を目指そうと議論していました。中国の最高指導者が2008年に訪日した際、中日第4の政治的文書、つまり「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」を発表しました。この声明では中日が将来に向けた5大重要協力分野に触れ、その中の第4と第5項目ではアジア太平洋と東アジア地域の発展に共に取り組むとともに、グローバルな課題について意思疎通と協調の強化を特に強調しました。中日両国が地域協力と発展の大局に着目し、それぞれの優位性を発揮させ、共に「一帯一路」沿線沿岸地域の発展に取り組んでいくことは、中日戦略的互恵関係構築の本来の意味に含まれていると思います。「一帯一路」構想を共に推進することは今後、中日韓協力の重要な内容となることは言うまでもありません。

 

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