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人々が育む農民画

 

日照農民画の代表的人物である厲明雪さん  

旧暦の正月15日は元宵節で、2月2日には田起こしを始め、5月にはドラゴンボート・レースを行いちまきを食べる。6月は竜王に海の安全を祈る祭海節で、8月15日には月餅を作り、12月には窓に貼る切り紙細工を切る。そして大晦日には餃子を食べてお年玉をもらう……これらの民俗風情を一枚の絵に凝縮したのが厲明雪さん(62)が創作した長さ12メートル、2年をかけて完成させた農民画『日照民俗図』だ。生き生きと素朴な人物の姿、とりどりであでやかな色彩、民衆の生活の中の喜びやにぎやかさが余すところなく表現されている。

農民画とは、中国の現代民間絵画で、その名の示す通り農民が創作する美術作品だ。日照は中国でも三大農民画の里とされており、1949年以前、日照の農村で人々はよく正月(や節句)に描いた絵を窓や戸、かまどなどに貼っていた。これは、福にあずかり災いをまぬがれる「門神」、「竈王爺」(かまどの神)、「財神」(富をもたらす神)と似た役割を持っていた。新中国成立後、農民は生産発展の宣伝に合わせて、農閑期に大通りや路地、船のへさき、オンドルの上の壁などに、多くの生産生活を題材にした絵を描くようになった。1970年代、日照文化館は農民の創作グループを組織したが、村の元会計の厲さんも最も早くから学んだうちの1人で、最初は毎日1元の補助金をもらうことができたという。彼は先生の指導の下でクイックスケッチ、比例や透視図法などを学んだが、作品が優れていることから多くの人の中で頭角を現した。

1980年代、日照の一群の作品が中国美術館に展示されセンセーションを巻き起こした。ここから「農民画」という呼び方が生まれ、農民画を描く人々は次第に増えていった。厲さんは企業で会計を担当しながら農民画の創作を続け、定年退職後にはそれが最も専門的で大きな楽しみとなった。日照市文化館には彼の工房があり、毎週この無形文化遺産の創作、展示を行っている。工房には彼の作品が所狭しと並んでいるが、「創作の素材はすべて頭の中の想像が頼りで、インスピレーションがあれば数分で下書きができますが、時には1年かかることもあります」という。厲さんは市に行くのが好きで、多くの作品がこれをテーマにしている。現在制作中の長さ10メートルの作品もそうだ。ラフスケッチだけに2年を費やしたものだが、彼は楽しくてたまらないという様子で画面上のさまざまな市について説明する。例えば、春に樹木や花の苗、種を売る「春市」が描かれている。絵は人となり、さっぱり明るい厲さんが笑うと、彼の作品『年集』に描かれたおじいさんそっくりになる。

 

 

厲さんの作品『日照民俗図』(部分「祭海」) 

 

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