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毛主席の助言で茶所に

 

日照の緑茶は葉が肉厚で、何度も入れることができ、栗にも似た濃厚な香りが特長 

中国で茶聖とされる陸羽(733~804年)が著した『茶経』の冒頭には「茶者、南方之嘉木也」とある。茶樹は南方(秦嶺・淮河以南)の最も貴重な常緑樹であるという意味だ。長きにわたって、中国の主な茶葉の産地は南方で、北方は気候が寒く茶の栽培には不向きとされてきた。しかし、北緯35度と北方地域に属する日照では、多くの茶樹が栽培されており、茶園の面積は20万ムー(約1万3000ヘクタール)にもなる。茶葉の総生産量は1万トン余りで、中国北方最大の緑茶生産基地だ。日照は日本の静岡、韓国の宝城と並んで「世界三大海岸緑茶都市」と称されるまでになっているが、ではなぜ緑茶が日照に広く根付いたのだろうか?  

実はさかのぼると毛沢東主席の考えにたどりつく。1954年、毛主席は山東省の省長として赴任するところだった譚啓龍との会話の中で、山東省は人口が多く、茶が好まれることを指摘し、君が山東省で仕事をするなら、南方の茶を導入すべきだと言及したのだ。56年譚省長は茶の試験栽培を決め、安徽省から茶の苗や種を持ち込んで省内各地で栽培を行った。しかし、当時の農林関係部門には茶の栽培についての知識を持つ者がおらず、最初に導入された茶の苗はすべて冬に枯れてしまった。65年、譚省長は再度茶の導入を行い、日照などの4県を基地に選び、茶樹を無償提供して栽培を行ったところ、翌年に日照で試験栽培が成功した。  

独特の地理的、気候的特色は、茶の栽培に優れた条件を提供していたのだ。東は黄海に面し、暖温帯湿潤のモンスーン気候に属する日照では、まさに十分な日照時間があり、雨量も多く、特に丘陵地の土壌は微酸性で、有機質と微量元素を豊富に含んでいる。日照市の嵐山区巨峰鎮は海に近く、茶の栽培に適した貴重な土地だ。71年、中国農業科学院の援助で巨峰鎮に山東省初の茶葉加工工場が建設され、75年には関係の専門家が巨峰鎮で、碧螺春と龍井茶の加工法にそれぞれ照らして、茶葉を巻く形と平たくする形の整形試験を行った。現在、製茶はすでに鎮の基幹産業になっている。同鎮党委員会の田海文書記(45)の説明によれば、「巨峰には現在90の村があり、人口は8万人。このうち65の村と人口の半数以上が茶の栽培に従事しており、13万5000ムー(約9000ヘクタール)の土地のうち半分近くが茶園になっています」とのことだ。お茶のテーマパークとも言える淞晨茶文化園では、茶文化観光が大人気を博している。観光客は身をもって茶摘み、製茶を体験し、茶をねりこんだ麺、茶葉の炒めもの、お茶入りの揚げ餅などのグルメを味わうことができるのだ。 

 

日照の緑茶は葉が肉厚で、何度も入れることができ、栗にも似た濃厚な香りが特長

「淞晨1966」は有機農法で作られた茶葉のブランドで、1966年に日照で南方の茶栽培を導入し成功させたことを記念したネーミング 

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