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アジアと世界の美しい未来へ ──ボアオ・フォーラムで習近平主席

沈暁寧=文

「人類はたった一つの地球しか持たず、各国は一つの世界の中で共存している。われわれは運命共同体という意識を強め、アジアおよび世界の共同発展を推進していくべきだ。各国は心を一つにして平和を守り、共同発展の促進のために安全保障を提供すべきだ。国際社会は総合安全、共同安全、協力安全の理念を提唱するべきで、われわれの地球村を、互いに競い合う場ではなく、共に発展するための大舞台とすべきであり、自国だけの都合で地域や世界を混乱させるようなことがあってはならない」

2013年4月7日に海南省の博鰲で行われたボアオ・アジア・フォーラム2013年次総会の開幕式に出席し、基調講演を行った習近平国家主席(新華社)

習近平中国国家主席は、2013年4月7日に行われたボアオ(博鰲)・アジア・フォーラム(以下ボアオ・フォーラム)2013年次総会の開幕式で、「アジアと世界の美しい未来を共に創ろう」と題する基調講演を行い、上述のように語った。

「自国だけの都合で地域や世界を混乱させてはならない」という言葉は、直ちに国際社会で大きな反響を呼んだ。「自国だけの都合」のくだりがどの国を指しているかという憶測がメディアを大いに賑わせたが、習主席の言葉は特定の国に対する批判ではなく、国際社会への善意の戒めだと理解したほうがより正確だろう。

歴史を振り返れば、新中国成立当初の毛沢東による「世界人民大団結万歳」から、周恩来による「平和五原則(相互の領土・主権の尊重、相互不可侵、内政不干渉、平等互恵、平和的共存)」、さらに現在中国が主張する「調和のとれた世界」構築の夢まで、習主席のボアオ・フォーラムでの講演は、このすべてを受け継いだものであることが、すぐさま見て取れるであろう。「習主席の講演は、中国の外交政策の一貫性を示しただけでなく、新しい国家指導者グループの外交政策に新たな考えを添えるものとなりました。人々は平和を声高に叫びますが、『天下泰平はまだ遠い』ものです。アジア・中東だけでも、朝鮮の核問題、シリアの危機、イランの核問題をはじめとした難題が踵を接しています。一部の国の政治や戦略の方向性は不透明で、他国の利益を顧みずに事を起こし、地域の平和と安定に不確定要素をもたらしています」と、中国社会科学院日本研究所の楊伯江研究員は語る。

習主席は講演において、何度も中国の古代の名言を引用した。例えば、「花が一輪咲いても春とは言えず、百花が一斉に咲き誇ってはじめて春が来る」。これは、一人または一つの地域だけが発展しても理想的な効果は出ないが、みんなが共に発展を遂げれば本当の素晴らしさが実現するということの喩えだ。また、「明者は時によって変わり、知者は事に従って制す」とは、賢い人は情勢の変化に応じて自分を調整し、学問のある人は事態の発展に応じて方策を作り出すということを意味する。これらの言葉は、中国人が古来より時代の流れに順応してきたことを示しており、「和を以て貴しと為す、共に栄え共に勝つ」といった処世術を追求してきたことを反映している。

今回のボアオ・フォーラムのテーマは「革新、責任、協力 アジアは共同発展を求める」だった。この前提の下で、習主席は世界各地から集まってきた2500名余の国・地域の指導者、国際機構の責任者および商工業関係者、専門家・学者に向けて、「現在、国際情勢は引き続き深刻かつ複雑な変化が生じている。アジアは今世界中で最も発展活力と潜在力に満ちた地域の一つで、世界経済の回復と成長をけん引する重要なエンジンとなっており、近年では世界の経済成長への貢献率が50%を上回っている」と指摘した。また、「中国は隣国と良い関係を築き、隣国をパートナーとし、自国の発展が周辺諸国に利益を与えられるように努力してゆく。中国は今後5年間に10兆㌦程度の商品を輸入し、5000億㌦を対外投資に費やし、延べ4億人の中国人の海外旅行を実現させるだろう。中国が発展すればするほど、アジアと世界に発展の機会を提供できる」と語った。

これほど大きな責任とチャンスを前にして、自国だけの都合で、アジアないしは世界の人々の、平和と発展という共通の願望を顧みない者は歓迎されないだろう。

 

人民中国インターネット版

 

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