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グルメ

朝鮮族の白菜キムチ

 朝鮮族の白菜キムチは朝鮮族が代々受け継いできた漬物の一種で、吉林省の朝鮮族の家庭では、粗末な食事の際でも、豪華な宴席でも、白菜キムチは食卓に欠かせないものである。おいしいキムチがないと、なんだか物足りない気持ちになってしまう。

 晩秋が訪れると、キムチづくりの季節となる。主婦たちは助け合い、作り方のコツを教えあって、まるでお祭りの日のように忙しくなる。おいしいキムチを漬けるのは、簡単なことではない。丹念な仕込みが必要である。

 まず、白菜のしおれた葉を取り除き、一株を真っ二つに切り分け、二日ほど適量の塩水に漬ける。その後、取り出して水分を切る。さらに、ニンニクの皮を剥いてすりおろす。リンゴ、ナシ、魚も同じようにすりおろして、それに粉末の唐辛子と牛肉のスープを入れて混ぜる。最後にそのペーストを白菜にすり込んで、清潔な壺に入れる。その壺を地下に埋め、温度を4度ぐらいに保って、15日~20日ほど寝かせると出来上がる。

 刺激的な辛さ、甘酸っぱさ、塩辛さが複雑に混じり合った味がキムチの特徴である。キムチを使って豚肉キムチ炒め、キムチチゲ、キムチラーメン、キムチ豆腐、キムチビビンバなど美味しい料理を作ることもできる。

朝鮮族の冷麺

 朝鮮族の冷麺は独特な味で世界に名を馳せている。作り方は手が込んでおり、まず、蕎麦粉や小麦粉、デンプンなどを適量混ぜ合わせ、型で押し出して、細長い麺をつくる。その後、牛肉あるいは鶏肉を煮てスープを作る。スープを完全に冷やしてから、浮いた油を取り除く。麺をナベに落とし、ゆでてから碗に盛る。最後にゴマ油、唐辛子粉、調味料などを入れてからスープをかけ、その上に牛肉、ゆで卵か錦糸卵、リンゴかナシなどを盛り付けて供される。

 冷麺の味は、さわやかであっさりとしている。そのゆえ、朝鮮族の人々は夏だけではなく、冬でも冷麺をよく食べる。かつて朝鮮族には、旧正月四日午後と誕生日に冷麺を食べる伝統があり、民間伝説によると、この日に細長い冷麺を食べると長寿になるとされているため、冷麺は「長寿麺」とも呼ばれている。その後、朝鮮族はさらに冷麺に改良を加え、さまざまな漢方薬をスープに入れるようになった。そのために、夏に冷麺を食べると涼しくなり、夏バテも解消される。

 朝鮮族の冷麺は高麗時代に始まり、200年以上の歴史を持っている。19世紀末に朝鮮族の移動と共に、朝鮮族の冷麺が中国に伝わり、中国にいる朝鮮族の代表的な食品となった。延辺朝鮮族自治州は中国吉林省の東部に位置し、中国・ロシア・北朝鮮の国境近くにあり、日本海に面している。延辺朝鮮族自治州は、中国における最大の朝鮮族居住区であり、東北地方唯一の少数民族自治州である。ここの独特な文化と風情は、世界を魅了している。

朝鮮族のお餅、打糕

 朝鮮族のお餅である「打糕(ダーガオ)」は長い歴史を持つ。その歴史は、18世紀の朝鮮族の関連文献にも記載されている。そこでは「打糕」は「引絶餅」と呼ばれ、伝統食品のひとつとされている。今日でも祝日や祝い事の際に、打糕を出して来客をもてなすのが習慣となっている。

 打糕の主な原材料はもち米だが、もち米のない地方ではキビ粉を使う。上にまぶす粉には、きな粉の他にアズキ、緑豆、松の実、栗、ナツメ、ゴマなどを用いる。打糕の作り方は、もち米を研いで蒸した後、槌でついて米粒をつぶす。餅状になったら、水で濡らした包丁で小さく切り分ける。そして、粉をつけて食べる。

 延辺朝鮮族自治州では、子どもが大学入試を受ける時に、親は夜明け前に志望大学に行き、事前に用意した打糕を学校の壁や校門へ向けて投げる。高く投げれば投げるほど、合格の可能性が高くなると言われる。これは、「日に日に向上し、金榜(合格者名簿のこと)に名を連ねる」という意味を象徴している。

 寒い冬に、火鉢で打糕を焼いてから、ハチミツや熟した柿の汁をかけて食べてもおいしい。

満州族の三套碗席

 満州族の三套碗席(サンタオワンシー)はもっとも代表的な満州族の伝統料理で、「満漢全席」の原点ともされる。素材の多くは長白山特産の山の幸と肉で、栄養価と薬用的価値が高い。鹿の肉やライチョウ、カエルの油などの珍味を使った8皿の前菜、3皿のメーン料理、12皿の暖かい料理など、計23皿の宴席料理である。

 「三套碗席」とは、3種類の皿を用いることに由来する名称である。白肉血腸(ブタ肉と血のソーセージの料理)、黄金肉片(ブタ肉に卵を絡めて炒めた料理)、関東蒸魚(関東風蒸し魚)、小窩頭(アワやトウモロコシ粉などをまぜて蒸してつくったマントウの一種)などの満州族の名物料理もこの中に入っている。吉林省の清香園、八珍閣、大清花餃子、清花縁などの伝統的な満州料理の店で食べる三套碗席はおすすめである。

吉林名物のお菓子、雪衣豆沙

 雪衣豆沙(シュエ・イー・ドゥ・シャア)は、吉林名物の一つであり、すでに100年以上の歴史がある、皆に愛されるお菓子である。材料は小豆、卵、砂糖などで、白くまるまるとしており、粉砂糖をかけて食べるため、雪衣豆沙と名づけられた。甘く、独特な風味がある。

 小豆あんが主材料で、卵白とデンプン粉をよく混ぜあわせたものでそれを包み、油で揚げる。出来上がりは白くてふわふわしており、ワタの実のようである。油で揚げる時、熱で膨らんで、油の中でコロコロ転がる様子を見るのも楽しい。