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「彼女はトイレットペーパーがほしいですか」

日本共産党前中央委員会議長不破哲三氏から以下の話を聞いた。日本鉄鋼連盟が中国を訪問中、メンバーの一人が道に迷った。行き先を漢字で紙に書き、他人に尋ね、無事に戻った。明らかに日本語の中に数多くの漢字があることが役に立った。もし日本人観光客が欧米に行けば、そのような便利さはないと不破氏はしみじみと言った。

元駐日大使徐敦信氏は漢字に関するもう一つの逸話を話してくれた。1960年代半ば、中国華中地域のある音楽団が来日公演した。日本側は2人の女優を出し、司会と連絡などを担当した。ある日、みんなが乗っている車が郵便局の前に止まり、信号待ちをしていた。女優の一人が指で外を指し、隣の中国人チャルメラ奏者に見せようとした。そして、紙に「便」という字を書いた。奏者がわからないため、彼女はまた「手紙」という2字を書いた。彼はすぐ日本語が上手な徐敦信氏に「彼女はトイレットペーパーがほしいですか」と聞いた。実は日本語の「便」は中国語では「排泄物」を意味する場合があり、「手紙」は「トイレットペーパー」を意味する。しかし女優が聞きたかったのは日本に来てから、家族に手紙を書いたのかということである。説明を聞いて、みんな笑い出した。

日本語の中には数多くの漢字があるが、その多くは中国語の漢字と意味が違う。例えば、日本語の娘(中国語では母)、大丈夫(一人前の男)、汽車(自動車)、新聞(ニュース)、人参(チョウセンニンジン)、主人(ホスト役)、高校(大学)、勉強(強制)、床(ベッド)、質問(詰問)などである。

それゆえ、中国人と日本人は、両者間に相手の言語に関する知識がない場合に筆談で交流するのには、注意が必要である。誤解を避けるためにも、幾つかの同義語を並べ,わかりやすくしたほうがいい。

趙啓正

 

 1963年、中国科学技術大学核物理学科卒業。高級工程師などを経て1984年から中国共産党上海市委常務委員、副市長などを歴任。

 

 1998年から国務院新聞辦公室・党中央対外宣伝辦公室主任。

 

 2005年より全国政協外事委主任、中国人民大学新聞学院院長。

 

人民中国インターネット版

 

 

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