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ベテラン船長の物語に耳を傾ける

中国船舶館はかつて江南造船所の建物をベースとして建設されており、龍の背のような外観を持つ(東方IC)

船舶館で、記者は一人の老船長に出会った。キャプテンの制服を身にまとった胡月祥船長は大きくたくましく、自ら紹介してくれなかったら、すでに50歳を過ぎているとは信じられない。彼は中国大型遠洋コンテナ船分野のベテラン上級船長であり、五大陸、三大洋を航海して回ること30年。いまの中国にも彼と同様に経験豊かな船長はわずかに百余名を数えるのみである。そして、多忙にもかかわらず彼はボランティア解説員を担当している。

中国船舶館の中央広場に入ると、まるで巨大な客船の甲板に出たようだ。原寸で建造された高さ12メートルの「遠望号」のメインマストが目の前にそびえ立つ。胡船長が紹介してくれた。「このメインマストは船の魂です。上で旋回しているのはレーダーアンテナで、レーダーは船長の目です。3つのレーダーの異なった周波数帯を通して、船舶は夜間や霧の中でも前方の目標物を発見することができるのです。先端のキノコ形のものは衛星アンテナで、これは自動で衛星を追尾しているので、船長はいかなる地点でも、いかなる時間でも所属する会社と連絡を保つことができます。両側の信号灯は自分の言語を持ちます。信号灯の組み合わせで異なった航海言語を表すことができるのです。例えば、点灯している明かりを全部消し、赤のひとつだけを残すとしたら、それはこの船には危険物が積まれており、前方から来る船に距離を保つよう示しているのです」

水運に若者の参加を

「中国では、船員は自分の記念日を持っています」と、胡船長は紹介してくれた。「中国航海日は7月11日。この日は605年前、鄭和が西に向けて出航した日です。海は人類発祥のゆりかごで、船員は航海事業に巨大な貢献をしています。ですから、2005年1月、中国の各大手水上運輸会社の在職船長が連名で提唱し、全国人民代表大会と国務院に『中国航海日』の制定を申請し認可を得ました。私も提唱者の一人です」

「船舶には人と同じように性別もあります。男性か女性かお分かりになりますか?」と質問した胡船長は、次のように説明してくれた。「船舶は実は女性です。新船が進水する時シャンパンを割りますが、この意味は『処女航海』です」

胡船長のユーモアにあふれた答えで、多くの観客が初めて船の性別を知る。船員にとってそれぞれの船は、うるわしい淑女なのである。

なぜここで解説員のボランティアをしているのかに質問が及ぶと、胡船長はこう答えた。「もし船がなければ、世界の50%の人は飢えるか凍えてしまいます。90%以上の貨物は船舶で運ばれています。壮大な歴史的過程を経て、いま私たちは海洋大国になりましたが、海洋強国ではありません。私は解説を通して、人々に中国の船舶と航海事業をより理解していただき、若者に海を、航海事業を好きになってもらいたいのです」

 

人民中国インターネット版

 

 

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