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地域住民の健康を守る社区のホームドクター

 

王焱=文・写真

❀家庭に出向いてのケア 

月曜日の朝早く、北京の新街口コミュニティー・ヘルスサービスセンターのホームドクター坑蓉先生は、看護士とともに西直門に近い大覚胡同の民家にいた。2年前に脳血管の病気にかかり、ひどい後遺症のため現在は寝たきり生活をしている83歳の劉おばあさんを診察するためだ。  

家の人に簡単なあいさつを済ませた後、坑先生と看護師はさっそく劉おばあさんの血圧を測り、診察に入る。  

「寝たきりの病人はよく床ずれや、肺の感染などの合併症を起こしがちです。もしそれらを発見したら、私たちはすぐに家族に伝えます」と、坑先生は話す。また、診察だけでなく、「すべて正常でも、私たちは家族に対して薬の使い方や介護知識の指導をしますので、1時間ほどかかります」ということで、家庭を訪問しての診察やケアは、コミュニティーのホームドクターの仕事の中でも最も特色ある日常業務の1つだという。  

新街口コミュニティー・ヘルスサービスセンターのホームドクター坑蓉先生は、毎週1回劉おばあさんの家を訪問し診察する(写真提供・坑蓉)

「ヘルスサービスセンターでは、コミュニティー住民の医療記録を作っていて、どの家庭の住民がどんな病気を患っているか、いつ訪問する必要があるかなど、細かく把握しています」  

慢性疾患を持つ老人に対しては、毎月1度は診察に訪れているほか、劉おばあさんのような重病患者は毎週訪問している。寒い冬になると老人たちは外出もままならず、臨時の往診が増える。時には1日に3、4軒を訪れることもある。1人暮らし老人の中には、ホームドクターによる定期的な訪問と診察、そして診察時のおしゃべりを心のなぐさめと感じている人もいる。

健康のゴールキーパー 

コミュニティーのヘルスサービス・システムは、通常1つのセンターにいくつかの衛星状に配置されたステーションが組み合わされる形になっている。各ステーションにはホームドクターと看護師がそれぞれ3名以上所属し、3から4カ所の住民委員会が所轄する、数百から1000以上の家庭を受け持っている。  

坑先生は、コミュニティー・ヘルスサービスセンターで働き始めてすでに4年になるが、それ以前に10年以上の臨床医のキャリアを持つ。彼女によると、ホームドクターとは、各種のよくある病気、多く発生する病気に対する幅広い知識と技能を備え、住民の通常の診療ニーズに応える医師だという。高血圧、糖尿病、脳血管障害、関節病、血脂異常、慢性肺疾患、老年期うつ病など慢性疾患の治療とケアを行うのも、ホームドクターの重要な仕事だ。判断の難しい急病患者に遭遇した場合は、ヘルスサービスセンターが責任を持って患者を大病院に移送し、専門医の診断と治療にゆだねる。  

「ホームドクターは単に病気の治療をするだけでなく、住民の健康を守るゴールキーパーでもあるのです」と坑先生が話すように、ヘルスサービスステーションでは毎月1つのテーマを決め健康教室も開催しており、住民に対して保健知識の解説をしたり、血圧測定方法や注射器の扱いを講義するなどしている。

新街口コミュニティー・ヘルスサービスセンター

また、各家庭の医療記録を通じて家族全体の健康に配慮している。「例えば、糖尿病の場合、家族に病歴があれば、子どももかかりやすくなります。1人の患者のケアを行うと同時に、私たちは家族全体に食習慣の改善を促し、ほかの家族の発病率を下げるよう努力しています」

待遇面の改善も進む 

現在では、多くの医科大学がホームドクター専門コースを設けており、大学学部卒業後、病院で3年間のインターン研修をすれば、コミュニティーでの業務を担当できる。しかし、ホームドクターの収入は専門医に比べてかなり低い状態なので、中には大病院での勤務に移っていく人もいるという。  

それでも、将来はおおむね明るいようだ。メディアの報道によると、このところコミュニティー住民の間でホームドクターのニーズは急速に高まっており、それに伴って、すでに一部の地域では政府が報酬の大幅な引き上げをタイムテーブルに載せている。

 

人民中国インターネット版 2011年12月

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