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日本で学んだ被災地の指導者

日本で学んだ被災地の指導者

都江堰市党委員会の劉俊林書記は、同市灌口鎮のバラックの事務室で、当地の郷や鎮の幹部を集めて、被災地の再建について手配りしたり、質問に答えたりしていた。前日は、夜中の12時まで会議をしていたという。

四川省の被災地では、指導幹部は普通、週に7日、毎日少なくとも16時間働き、1日24時間、命令を待っている。しかし、劉書記はそれ以上だ。地震発生以来、毎日平均4、5時間しか休んでいない。

去年5月、中国の胡錦濤国家主席が訪日したとき、日本の福田康夫前首相との間で、中青年幹部の交流計画を共同で立ち上げた。その中の一部に、被災地の幹部の訪日研修がある。

中国人民外交学会の黄星原秘書長によると、地震発生後、当時の自民党の二階俊博総務会長(現在、経済産業相)がこの考えを打ち出し、中国側も前向きに反応した。中国人民外交学会が提唱・推進して、2008年7月、中国共産党中央組織部と住宅・都市農村建設部(省)、国家外国専家局が共同で組織する「汶川地震被災後の復旧と再建についての研修班」が設立された。そして四川省や甘粛省などの被害が深刻な地域の幹部240数人が、3回に分かれて神戸、大阪、新潟などに行き、現地の幹部や専門家と交流し、災害発生後の再建の経験を学んだ。

 日本で被災復旧の経験を学んた劉俊林書記の毎日は忙しい

劉書記もこの研修班のメンバーの一人である。去年12月、日本で一週間、研修した。この経験から学んだものは多く、実際の仕事に役立っているという。

彼にとってもっとも印象深かったのは、日本の災害対応が「禍を転じて福となす」を理念とし、災害がもたらした被害について深く研究し、世界的にも権威のある先例をつくったこと、また災害後の再建では、「実事求是」(事実に即して真理・真実を探求する)を重んじ、人々の生活の問題を重視していることであった。

日本では、すべての被災家庭の状況や個人の状況まで詳しく記録され、政府が援助計画を策定し、実施するときに役立っている。さらに、国民に対し、どう避難するか、どうやって被害を少なくするかという教育を重視し、物的、精神的にどのように再建するか、体系の整った経験を有している。

現在行われている被災地の再建について劉書記はこう述べている。

「今回の地震の被害は甚大でしたが、各級の政府の幹部たちが自ら進んで、人々の先頭に立って家の復旧に取り組みました。とりわけ『改革・開放』以来の30年で中国が蓄えた実力によって、我々の再建の仕事はより速く、より良く完成することができました。いま、それぞれの地区の被災状況や人々の希望に基づいて、住宅建設を加速し、就職のための養成訓練を強化し、人間的な配慮を重視し、被災地を地震前より素晴らしくし、人々に満足してもらいたいと思っています」  今回の中日間の交流と学習について黄秘書長はこう述べている。

「中日間の中青年幹部の交流は、長期的なプロジェクトで、被災地の再建についての交流はその始まりに過ぎません。日本ではすでに交流委員会が設立され、我々もそうした機構を設立し、交流を続けてゆくつもりです。これからは、日本へ学習に行くだけではなく、日本からも中国に現地調査に来てもらい、相互理解を進めたい。今年は、日本の政府の幹部や専門家に被災地へ来てもらい、再建の状況を視察するとともに、現場で指導をしてもらいたいと思っています」

 

人民中国インターネット版 2009年5月

 

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