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ジェスチャーも国によっては違う意味

 

ある大学のキャンパスで、中国人と米国人の二人の学生が少々口論となった。二人とも外国語での喧嘩と説明がうまくできないばかりに、かえってその喧嘩は激しいものに発展してしまった。そして米国人の学生が指をVの字にするジェスチャーを見せた時、中国人の学生は「なんでまだ殴り合ってもいないのに、君は勝ち誇るのか!」と、さらに怒りを激しくした。その後わかったことなのだが、Vの字のジェスチャーは、米国では双方の和解・平和を意味する一方で、中国やイギリスではそれは勝利を意味する。この場合、このジェスチャーは挑発ととられてしまい、相手の怒りにさらに油を注ぐ結果となったのだ。

ジェスチャーは身体言語の一つで、人間の喜怒哀楽が表せる外在的な表現方法だ。さまざまなジェスチャーは、さらにその動きの大きさ、速さなどに差をつけることで、感情の強弱を表現できるが、それぞれの国・地域で、具体的な含意は異なる。例えば、多くの国では親指を立てるのは相手を褒める意味だが、ギリシャでは「立ち去れ」という意味になってしまう。通常は否定の意味を表す首を横に振る動作は、トルコ、ブルガリア、イランなどの国では肯定の意味を表す。

各国それぞれのさまざまなジェスチャーを理解するのは容易なことではなく、理解し間違えたら、双方に誤解が生まれ、ひどい場合には、前述の2ヵ国の学生のように衝突を引き起こすこともある。

言語で交流できない場合、ジェスチャーを使ってもいい。ただし、その使用には細心の注意を払いたいものだ。

趙啓正

 

 1963年、中国科学技術大学核物理学科卒業。高級工程師などを経て1984年から中国共産党上海市委常務委員、副市長などを歴任。

 

 1998年から国務院新聞辦公室・党中央対外宣伝辦公室主任。

 

 2005年より全国政協外事委主任、中国人民大学新聞学院院長。

 

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