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英訳メニューはジョーク集?

 

「政府が鶏を拷問する」(Government Abuse Chicken)って何?「鉄牛肉」(Iron Beef)とは何のこと?実はそれぞれ「宮爆鶏丁」(四川料理。鶏肉とピーナツなどの唐辛子炒め)と「鉄板牛肉」(広東料理。牛肉、タマネギ、ニンジンなどの炒めもの)という料理名に対しての意味不明の英訳なのだ。

我々中国人が外国に行く時、また外国人が中国にやってくる時、飛行機やレストランで頭を悩まされるのが食事の注文だ。メニューを外国語に訳すのはいいことに違いないが、その翻訳はかなり難しい。中国人は芸術的な言葉を料理名にするのが当たり前だと思っている。例えば、「螞蟻上樹」(アリが木に登る=春雨と豚ひき肉の炒め物)、「春巻」(春を巻く=炒めた千切り豚肉、春雨と野菜を小麦粉でつくった皮で筒型に包んで揚げる料理)、「仏跳牆」(美味しい料理の香りに我慢できず、坊さんが塀を跳び越えてくる=福建料理。フカヒレ、アワビ、ナマコなどを煮込んだ料理)など。名前から物語を連想させる料理も多いが、最初に名をつけた人はきっと何時間も推敲に推敲を重ねたのだろう。しかし、中には思わず苦笑いさせられるものも。「二竜過江」という料理がある。「二匹の竜が長江を渡る」という意味だ。運ばれた料理を見ると、スープのお碗に二本の長ネギが浮かんでいるだけ。一体全体、これを何と訳せばいいものか。

もちろん、今多くのレストラン経営者が、いい加減な英訳が誤解を招いている事に気付き、改善の努力を始めている。ただし、ある外国通信社は「中国が料理名の誤訳是正に取り組むそうだ。これでは外国人が英訳から料理を想像する楽しみが消えてしまう」と報じた。言うまでもないが、これは中国語が分かる記者が書いた記事だ。

実際の話、料理名を訳す時には、その中国語の名前をさておき、西洋料理名のように、その材料や加工法をはっきり説明すればよい。難しいと思ったら、百度(バイドウ・Baidu)やグーグル(Google)で検索すれば、ぴったりの適訳を見つけられる。

 

趙啓正

 

 1963年、中国科学技術大学核物理学科卒業。高級工程師などを経て1984年から中国共産党上海市委常務委員、副市長などを歴任。

 

 1998年から国務院新聞辦公室・党中央対外宣伝辦公室主任。

 

 2005年より全国政協外事委主任、中国人民大学新聞学院院長。

 

人民中国インターネット版

 

 

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