PART7 中国文化に触れ理解促進を

2021-02-24 13:44:42

 

日本人はSNSでどのように中国ニューカルチャーと出会うのかを探るべく、SNSをきっかけに中国への興味を深めた伊東美咲さんと、中国のSNSをフル活用する成瀬流奈さん、さらに日本のSNS上で中国文化に関する情報を発信しインフルエンサーとなった某Dさんを迎え、オンライン座談会を行った。「今やSNS以上の情報源は考えられない」と語る大学生の2人は、SNSを通してどのような中国の姿を見ているのだろうか。東京支局支局長の于文を司会に、東京支局SNS担当の南部が話を聞いた。

SNSと中国ニューカルチャー

于文(以下于) 最初に中国ニューカルチャーに興味を持ったきっかけを教えてください。

伊東美咲(以下伊東) 1年ほど前、日本人ユーチューバーでメイクやファッションを紹介している「鹿の間」さんの「絶対流行るよ中国メイク。」という動画を見たのがきっかけでした。

成瀬流奈(以下成瀬) 私は、昨年の新型コロナの自粛期間に動画配信サービスで中国ドラマを見るようになったのがきっかけです。

南部健人(以下南部) 伊東さんは実際にチャイボーグメイク(10)をしてみたことは?

伊東 完全にまねしたことはありませんが、一部の要素を自分の普段のメイクに取り入れてみることはあります。私は日本人の動画を見ることが多くて、日本のテイストが入ったチャイボーグメイクの方が、普段のファッションになじみやすいと感じています。

某D 成瀬さんは何のドラマを最初に見たんですか?

成瀬 ファンビンビン主演の『武則天』です。何気なくページを開いてみたら、画面いっぱいに漢服を着た女性が出てきて、そこで一目ぼれして。全82話もあるのですが、衣装もセットも美しくて1カ月で全部見ました(笑)。

 82話をイッキ見はすごいのめり込みようですね(笑)。ドラマを見始めて変わったことはありますか?

成瀬 好きな俳優の情報を集めるために、中国のSNSアプリをたくさんダウンロードしました。微博、小紅書、ティックトック……中国人の友人からは「これは日本人のスマホじゃない」とつっこまれました(笑)。中国のSNSを見ているうちに、現代風にアレンジした漢服を着こなしているコスプレイヤーが出てきて、民族衣装や中国古典音楽にも興味を持つようになりました。

南部 伊東さんはSNSがきっかけで好きになり、成瀬さんは好きなものを深く掘り下げていくのにSNSを活用したということですね。

 二人ともかなりSNSの閲覧をしているようですが、自分で発信はしますか?

成瀬 微博に「超話社区」というさまざまなジャンルの愛好家が交流できるプラットフォームがあって、そこを活用しています。中国語はまだ簡単なやりとりしかできないので、翻訳アプリを使いながら、好きな俳優へのコメントを画像に添付してアップしています。

南部 中国人ユーザーから反応はありましたか?

成瀬 「好看!」(素敵)というコメントをもらいました。日本に興味のある中国人ユーザーからも友好的なコメントが届いてうれしかったですね。

伊東 私は見る専門で、ユーチューブを利用することが多いです。メイクは動画で見た方が分かりやすいので。ピンポイントで情報が欲しいときは、ツイッターの検索などから探したりもします。

 某Dさんは、SNSで積極的に情報発信をしていますね。具体的にはどのような情報を発信していますか? また皆さんの反応はどうですか?

某D 新旧問わず、堅すぎない文化の話はおおむね評判がいいですね。私も堅い話は避けています。発信の基準は、自分が面白いと思うものです。

 

日本でも中国のファッショントレンドに関心を持つ人が年々増える傾向にあることは、ツイッターの反響からも見てとれる。チャイボーグメイクの実践報告ツイートをする人も多く、人民中国公式ツイッターでも、漢服関連のツイートに毎回多くのリツイートや「いいね」が集まる 

新しい中国像がリアルタイムで

 SNSで中国のニューカルチャーに触れて、自分の中でどのような変化が生まれましたか?

伊東 大学に入るまでは中国との接点がほとんどなかったのですが、チャイボーグメイクは自然と受け入れられました。もともとメイクに興味があったことと、大学で出会った中国語の先生や、アルバイト先の中国人留学生の子がみんな親切で、その影響もあったと思います。身近なところで中国との接点が増えてきていることに、改めて気が付きました。

南部 SNSと同じくらい人との出会いも大きいですね。

成瀬 中国のSNSを使っていて特に感じたのは、今の中国人がどんな生活をして、何を大切にしているのかといった、内面の部分がよく見えるということです。例えば、中国では若い人も伝統的な年中行事や漢服などの伝統衣装をとても大切にしているという印象を受けました。実は私も以前から着物の着付けを習っているのですが、自分も日本文化をきちんと伝えられるようになりたいと思い、着付けの勉強にもさらに熱が入りました。

南部さんは、支局のSNS担当ですが、日本のネットユーザーはどのような中国情報に関心があると感じますか?

南部 生活感のある身近な話題が関心を集めることが多いと感じます。たとえば、人民中国ツイッターで不定期に発信している中国家庭料理特集には、毎回多くの反響をいただいています。

 某Dさんは、今のSNS上で、中国らしいモノやトレンドなどが時に話題になるのはなぜだと思いますか?

某D 単純に中国文化に魅力があるからでしょう。日本にないものを見つけた時や、意外な中国の一面を見た時の反響も大きいですね。

 皆さんは、SNSが今後の中日交流の新しい懸け橋になると思いますか? SNSはどのような効果を発揮するでしょうか?

成瀬 私の場合は、SNSでつながった中国の友人たちを通して、これまで知らなかった新しい中国を知ることができました。それは、日本のメディアで報道されている中国とは異なる一面だと思います。SNSで中国がより身近な存在になったことを、身を持って実感しています。

伊東 SNS経由で気軽につながり、リアルタイムで情報を交換し合うことで、相手の文化や流行を自然と取り入れることができ、お互いの理解が深まると思います。

南部 些細な出来事でも、SNSでは想像以上の規模で広がっていくことがあります。これまであまり注目されてこなかった中国のさまざまな面を伝えられる可能性が、SNSにはあるのではないでしょうか。

某D 日本人の多くが新型コロナの流行でふさぎがちな日々を送っていますが、SNSでパワフルな中国文化に元気をもらっているという人も決して少なくないようです。あまり難しいことを考えず、カジュアルな気持ちで中国に向き合えば、もっと魅力ある中国の姿がたくさん見えてくるのではと思います。(構成=南部健人)

人民中国インターネット版 20212

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