次世代交流で安定促進
中国社会科学院日本研究所研究員高洪=文
若者たちは中日関係の未来と希望を担っている。中日平和友好条約締結45周年を迎え、両国の若者の交流にはすでに安定した基盤がある。2019年、習近平国家主席は日本青年からの手紙に返信し、「中日は一衣帯水の隣国であり、両国の友好の土台は民間にあり、両国人民の友好の未来は若い世代に託されている」と述べた。長期的かつ大局的に見れば、青少年交流は中日関係を安定させながら前進させる基本的な要素の一つだ。そのため、将来の中日関係をより安定して明るいものにするためには、未来と青少年に希望を託すことが重要かつ正しい道であることは明らかだ。
青少年交流推進に提言
「中日青少年交流推進年」だった19年、中日両国は三、四十年ぶりに再び大規模な青少年交流活動をスタートさせた。両国各地で200以上の交流プログラムが実施され、中日関係が大きく改善された。中日青少年交流を推し進めることを提案した中国人民政治協商会議全国委員会の一人として、二重の喜びを感じている。
18年は、私が第13期全国政協委員になった最初の年だ。その年の全国政協対外友好界には、日本と中日関係に精通した外交官や専門家、学者、メディア分野の担当者が多数集結した。私たちは提案を提出するために真剣に準備し、両国関係を改善するために積極的に提言し、熱い討論を行った。そして、中日関係の未来は若い世代にかかっており、両国関係を安定的かつ長期的に発展させるためには、若者同士の交流を強化し、その友好的な交流を多様化させるための持続的な努力が必要であるとの認識で一致した。
そこで、その年の全国「両会」で、私と宋敬武(中国人民対外友好協会副会長)、王衆一(本誌総編集長)、劉洪才(元中国共産党中央対外連絡部副部長)、季志業(中国現代国際関係研究院前院長)、孫文清(国務院発展研究センター研究員)の6人の委員は連名で、「新時代の中日青少年の大型交流プロジェクト設立に関する提案」を提出した。閉幕後、青年活動を主管する中国共産主義青年団中央委員会の関係部門から直ちに文書での返答があり、「外交部、中国人民対外友好協会と共に処理するという意見をすでにまとめた」と伝えられた。その後、両国政府は翌年の19年を「中日青少年交流推進年」と定めた。この提案は提出から実施までスムーズに進み、また非常に良い結果をもたらした。
青少年交流がハイライトに
青少年交流は、中日の民間交流にとって重要かつ不可欠なものであると考えられる。21年、日本の内閣府は年齢別に日本人の中国に対する好感度に関する社会調査を実施した。その結果、18~29歳の若者の41%が中国に好感を持っており、その90%が中日関係は地域協力の安定化などで非常に重要な役割を果たしていると考えていることが分かった。近年、中日間の国民感情は低迷を続けており、特に一般の日本人の中日関係に対する態度は悲観的な傾向にあるが、日本の若い世代が中国に対して、両国民全体よりも依然として高い好感を持っていることは心強い。これはあくまで日本側のデータであり、中国側はまだ年齢別の統計を行っていないため、その正確性を断言するのは難しいが、総じて、若者交流は両国間交流のハイライトとなっていると言えよう。
インターネットが高度に発達したこの時代、若い世代はネットでさまざまなことを調べたり、ネットを通じて国境を越えたコミュニケーションをしたりするなど、自ら情報を入手することができる。加えて、彼らは学業上の交流など、大人にはない交流のチャンネルを持っている。相手国で学ぶこともできるし、さまざまな学習活動を通じて相手国の留学生と接することもできる。その結果、若い世代は大人、特に上の世代とは異なる独自の判断力を養い、政治的な意見を盲信したり、市場志向の報道に振り回されたりすることはないだろう。将来、両国の未来を担う若い世代も中高年となり、子を持ち、その言動が次世代に影響を与えることになる。従って、両国の若者の交流を強化することは、両国の友好協力関係を健全に発展させるための新たなエネルギーを育むことができる。
理性的思考で関係構築
若者は社会で最も活発的で繊細な一部であり、若者同士の交流は若々しいエネルギーに満ちている。18年、習近平国家主席は安倍晋三首相との会談で、「より広範囲の人的・文化的交流を展開し、相互理解を増進し、両国各界が、とりわけ若い世代が中日友好事業に身を投じるよう奨励しなければならない」と述べた。
国家という立場で考えると、若者が賢ければ国も賢く、若者が強ければ国も強いというように、中日関係にとって、若者同士が良い関係性を築ければ、両国も調和の取れた睦まじい二国間関係を構築することができる。中日両国の若い世代が良好な交流を維持し、自らの目で冷静に観察し、自らの頭で理性的に考え、未来志向の中日関係のためにプラスなエネルギーを発揮することを願っている。その上で、両国関係が成熟、安定、調和の方向へと進むよう、中高年、さらには中日関係を研究する学者やメディアにまで積極的な影響を与えてくれることを期待したい。
2019年12月8日、北京で行われた2019中日青年友好使者サロンで元卓球選手の福原愛さん(左から2人目)が書道で中日の学生と交流した(cnsphoto)