PART1 五つの特性で続いた発展

2023-11-03 16:56:00

段非平=文

000年以上にわたって続く中華文明はなぜ絶えず繁栄し、歴史を重ねるごとに活力を増していくのか?習近平総書記が文化伝承発展座談会で提起した中華文明の五つの際立った特性、すなわち連続性革新性統一性包摂性平和性は、その答えを示している。この五つの点は中華文明の特性を正確に提起し、系統的に総括しているだけでなく、中華民族の現代文明建設の根本的指針を示すものでもある。 

人類史上、四大文明の誕生と発展は世界文明の花園を生み出し、世界の多種多彩な発展に寄与した。他の文明と比較して、中華文明の最も際立った特性はその連続性にある。長きにわたる歴史の中、他の文明は戦争や自然災害などの影響を受けて次第に衰退していき、ついには世界史から姿を消した。唯一、中華文明だけが5000年以上にわたり途切れることなく、今日まで続いている。 

なぜ中華民族は数千年に及ぶ歴史の中でたくましく生き残り、絶えず発展を遂げることができたのだろうか?その重要な要因は、中華民族が代々受け継いできた精神的追求および血脈にある。統一を願い、分裂に反対し、世界を一つの家族と見なし、同じルーツを持つといった歴史的アイデンティティーと観念は変わることなく貫かれ、中華民族が幾度となく災難に打ち勝ち、困難を乗り切り、統一された多民族国家の中国が絶えず強固になり、発展を遂げるよう後押ししてきた。 

孝悌忠信、礼義廉恥、仁者愛人、天人合一など、2000年以上前に諸子百家が提起した思想理念は今日もなお中国人の生活に深い影響を及ぼしている。このように数千年にわたり、今日まで発展を続けている文明は、世界の各民族の中でも極めて珍しい。『論語』や『孫子の兵法』などの古典の翻訳を行った米国の漢学者であるロジャーエイムズ氏はかつて、中国の優れた伝統文化が持つ価値観や生活様式、思考法などが現代中国において今なお活力に満ちているからこそ、自身は中国古典の翻訳にたゆむことなく携わり、より多くの中国文化を西側の読者に紹介し続けてきたと述べている。 

長きにわたる歴史的プロセスの中、中華民族は独自の輝かしい文化を創造し、豊富な国政運営の経験を積み重ねてきた。これらの歴史的な知恵は時を経るごとに活力を増し、国家ガバナンスにしっかりとした支えをもたらしている。「天下の財をもって天下の人々を利する」という管子の言葉から分かるように、「人民全体の共同富裕」は中国の特色ある社会主義の本質的要求であるだけでなく、古代においても治世上の理想であった。また、同じく管子の言葉である「穀倉満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る」からは、「物質文明と精神文明の調和」が現代社会における不断の目標であるのみならず、数千年にわたって受け継がれてきた素朴な願いであることが分かる。そして、「天人合一」「道法自然」という古代中国の思想から明らかなように、「人と自然の調和と共生の促進」は中国式現代化の本質的要求の一つであるだけでなく、中華民族の数千年にわたる生存の知恵でもある。イラクのクルディスタン共産党のカワマハムド総書記は、「中華文明は今日まで途切れることなく続き、古代の知恵は常に現代の政策に反映され、現代中国のガバナンスは中華文明の輝かしい遺産から恩恵を受けている」と感慨を込めて述べている。 

まさしく習総書記が強調したように、連綿と続いてきた歴史の連続性に基づいて中国を認識しなければ、古代中国を理解できず、現代中国を理解することもできず、ましてや未来の中国を理解することはできないのである。 

革新の中で生まれる新たな輝き 

あらゆる文明はそれぞれの国と民族の精神的血脈を代々受け継ぎ、守らなければならず、時代と共に発展し、果敢に革新を行う必要がある。 

中国人民は数千年にわたる歴史の中で儒家道家法家墨家など、絶えず受け継がれていく思想学説を育み、製紙法火薬印刷術羅針盤といった後世に恩恵をもたらす科学技術を発明し、万里の長城都江堰大運河などの偉大な工事を成し遂げた。これらの文明の成果は中華民族のたゆむことのない探求心の表れであり、中華文明が持つ革新性を生き生きと示すものでもある。 

習総書記はかつて、新たな歴史を創造することこそが最も良い歴史伝承であり、人類文明の新形態を創造することこそが人類文明への最大の敬意であると指摘した。中国の優れた伝統文化はさらなる革新的発展を成し遂げ、中華文化も新たな時代の輝きを放ち、新たな力強い生命力を示している。 

「中国の優れた伝統文化の継承発展プロジェクトの実施に関する意見」が打ち出され、中央文書の形で中華文化の継承と発展が提起された。また、博物館に所蔵された多くの文化財、各地に残る遺産や古書に記された文字が科学的手段によって復活し、中国の伝統的要素を取り入れた文化クリエーティブ製品や伝統的な漢服などが流行となっている。中国の優れた伝統文化は経済社会の発展や人々の日常生活に浸透し、その時代的価値と魅力を喚起していく。 

有人宇宙船「神舟16号」が酒泉衛星発射センターから打ち上げられ、中国の宇宙ステーションの全面的完成後初となる有人宇宙飛行任務が成し遂げられた。世界は今や、「神舟」「北斗」「嫦娥」「祝融」といった中国の宇宙開発にまつわるキーワードの数々から、古今にわたり受け継がれてきた「中国のロマン」を読み取っている。 

中華文明の革新性は中華民族の鋭意進取の精神、さらには新たな挑戦を恐れず、新しい事物を果敢に受容する品格を決定づけた。それらは中華民族の血脈と遺伝子に深く溶け込んでおり、現代中国の真新しい姿を形作っている。 

強まる結束力 

春秋時代に大一統の観念が生まれた後、2000年以上にわたる歴史の変遷の中で統一と分裂の局面が代わる代わる見られたが、統一された多民族国家の形成と発展は中国史に一貫する大勢である。中国人は、国土は不可分のものであり、国が乱れ、民族が分かたれ、文明が途切れることがあってはならないという共通の信念を守ってきた。そして、初心を変えることなく統一を追求実現し、大きな挫折に遭遇しようともしっかりと結束を固め、幾度となく倒れるたびに起き上がり、挫折するほどに勇ましくなっていった。 

家と国を思う心は、中華文明に一貫するものである。「天下の本は国にあり、国の本は家にあり、家の本は身にある」という孟子の言葉のように、国家と家庭、社会と個人は不可分のものである。特に、内憂外患に満ちていた近代中国において、家と国を思う心を基礎とする愛国主義精神は、中華民族が西洋列強による侵略に抵抗するための重要な精神的武器に変わり、中国人民が国家の統一と中華文明の統一性を守る強力な精神的原動力となった。 

農耕文明の勤勉さと質朴さ、草原文明の活発さと奔放さ、海洋文明の大きな包摂力などが一体となった中華文明の統一性は各民族文化の密接な融合を決定づけ、中華民族の特質をつくり上げた。 

中華文明の統一性は、国家統一が中国の核心的利益の中の核心であることも決定づけている。中華民族が困難をくぐり抜け、今日まで勇敢に歩んできた重要な要因の一つには、統一という共通認識を絶えず持ち続けてきたことが挙げられる。また、統一性は中華民族が心を一つにして力を合わせ、文化を発展させ、文明を復興する上での大きな底力となっている。 

他文化の受容で増す活力 

「海は百川を納め、容の大なる有り」(海は無数の川を受け入れるからこそ、あれほどの大きさを持っている)。文明の繁栄や人類の進歩は、小異を残して大同を求めること、開放包摂と切り離せず、文明の交流や学び合いとも不可分のものである。中華文明は性質が異なるものでも難なく受け入れる包摂性を持っている。そのような特徴があればこそ、中華文明は他文明と交流し、学び合う中で絶えず新たな生命力を喚起している。 

中国史とは、各民族が集い交わる多元一体の中華民族の歴史である。中国の5000年以上にわたる文明の発展史上、幾多の民族が歴史の舞台に現れた。これらの民族は誕生と発展、分化、融合を経て今日に至り、最終的に56の民族となった。各民族は共に中国の広大な国土を開拓し、悠久の歴史と輝かしい中華文化を生み出し、絶えることのない交流と融合の中で苦楽を共にする運命共同体を構築した。 

中華文化は各民族文化の集大成である。蒙古族の「ナーダム」や回族の「花児会」、ウイグル(維吾爾)族の「メッシュレップ」などの民俗活動は人々に親しまれ、ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群、紅河哈尼(ハニ)棚田群の文化的景観、土司遺跡群は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産リストに登録されている。また、新疆ウイグル自治区のムカーム芸術、トン(侗)族大歌、チベット演劇であるアチェラモなどの民族伝統芸術は人類の無形文化遺産に認められ、伝承と保護が進められている。中華文明の包摂性は、交流と融合という中華民族の歴史的方向性を決定づけている。各民族文化が織りなす輝きと中華文化の時を重ねるごとに増していく活力は、中国の文化への自信の源でもある。 

また、中華民族の特色と文化的精神が形作られた重要な要因は、長い歴史的プロセスの中で外来文化の精華を絶えず受容してきたことにある。 

古代シルクロードの重要拠点である敦煌は仏教やイスラム教、アラビアの天文学、暦法、医薬の中国への伝来、さらには中国の四大発明や養蚕技術が世界へと伝わっていく歴史を見守ってきた。また、この地における中華文明と古代インド、ギリシャ、ペルシア文明などとの交流融合は、中華民族の開放性包摂性を示す縮図となっている。輝かしい敦煌文化は、まさしく中華文明の数千年にわたる融合のモデルケースである。 

歴史上、仏教東伝や「伊儒会通」(イスラム文化と儒家文化の相互交流)、近代以降の「西学東漸」(西洋学問の中国への伝播)、新文化運動、マルクス主義社会主義思想の中国への伝来、さらには改革開放以降の全方位的な対外開放に至るまで、中華文明はさまざまなものを受容し、発展させる中で魅力を増してきた。ロシア科学アカデミー中国現代アジア研究所中国文化研究センターのアンナドンチェンコ研究員は、「中華文明は常に開放の思いを胸に世界のさまざまな文明と交流学び合いを進めている」と述べ、過去、現在、未来を問わず、開放と包摂は一貫して中華文明が代々受け継ぐキーワードであり、調和と共存は中華文明が大いに発揚する問題解決の鍵であるとした。 

平和的発展の道を貫く 

「和をもって貴しとなす」という処世の原則から「天下太平」の社会理想、「強者が弱者を抑圧せず、富者が貧者を侮らない」という戒め、「国大なりといえども、戦いを好む者は必ず滅ぶ」という知恵に至るまで、中国における「和」の文化は悠久の歴史を持っている。 

平和親睦調和は中華民族が5000年以上にわたって常に追い求め、受け継いできた理念である。歴史上、中国は長い間世界で最も強大な国の一つでありながら、他国を一度も植民地化侵略したことがない。近代の英国の哲学者であるバートランドラッセルは、「世界に『戦争をしないことを誇りに思う』民族がいるとしたら、その民族とは中国の人々である。中国人は寛容と友好の姿勢を生まれながらにして備えている。このような資質を世界の人々が持ち得れば、地球上はきっと今よりもっと喜びと優しさに包まれるだろう」と感慨を込めて述べている。 

新時代に入り、中国はマルクス主義に基づく人類の進歩を目指す使命と中国の優れた伝統文化である「和合を尊び、大同を求める」という理想をいっそう結び付け、一連の重要な外交政策理念を提起し、実際の行動によって平和的発展の道を歩み続けるという揺るぎない決意を世界に伝えている。 

サウジアラビアとイランの外交関係の回復を後押しし、ウクライナ危機において和解を呼び掛け、話し合いを促すことを堅持し、国連PKO活動に積極的に参加し、さらにはグローバル安全保障イニシアチブを提起実践するなど、中国は各国と手を携えて世界の平和と安定を守っている。また、新型コロナウイルス感染症の衝撃に立ち向かい、新中国成立以降最大規模となる国際的な人道主義行動を起こし、中国の救援隊がトルコ地震の被災地で人々の命を守り、イエメンやスーダンといった紛争地域からの各国公民の避難を支援するなど、中国と国際社会はさまざまな突発的試練に力を合わせて対処している。 

まさしく習総書記が語ったように、中華民族が古今を通じて世界で地位と影響力を持ち続けてきたのは、みだりに武力を用いたからでも、対外拡張によるものでもなく、中華文化の強大なカリスマ力と魅力によるものだ。中国の発展は世界平和の力を強め、中国はどれほど発展しようとも永遠に覇を唱えず、永遠に拡張を行わない。中国は常に世界平和の建設者、グローバル発展への貢献者、国際秩序の守護者であり続ける。 

人類の進歩を目指すという栄光ある夢を胸に、平和的発展という正しい道を歩み、中華民族は平和を愛する世界のあらゆる民族と手を携え、人類運命共同体という輝かしい未来に向けて意気揚々と進んでゆく。 

イマーシブシアター『尋迹洛神賦』は、デジタル技術を駆使して芝居を盛り上げ、観光客にはるか昔の洛陽の足跡をたどらせた(vcg)

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