PART4 全国民対象の健康づくり

2023-11-30 17:34:00

段非平=文

「健康中国」の重要な一環として、ここ数年、国民総フィットネスと国民健康づくりが深く融合し続け、慢性疾患を持つ人々が「運動処方」をますます受け入れ、「フィットネスで病気を予防する」という理念がすっかり定着し、科学的なトレーニングは人々の健康的なライフスタイルの重要な一部となっている。 

運動が治療の一環 

「検査が始まりました。呼吸を安定させて動かないでください」という指示が石家荘桃園社区(コミュニティー)の健康診断室に響く。同コミュニティー住民の楊立卿さん(38)はスポーツ・運動医学統合診断室の徐暁雲看護師長のサポートを受けながら、BHS(ベイラーヘルスケアシステム)で健康診断を行った。数分後、楊さんの携帯電話に診断結果が届いた。「深刻な半健康状態にあることが分かりました。どうやって治せばいいでしょうか」と質問する楊さんに対して、同統合診断室の健康管理士が健康維持の指導を行い、中医(中国医学の医師)が食事療法の意見を出し、科学運動指導士が楊さんの身体能力テストのデータに基づいてトレーニング方案を作成した。 

「現在、スポーツ・医学融合診断室はコミュニティー全体にサービスを提供しています。青少年や中年、高齢者など年齢別に科学的なトレーニング指導を行い、高血圧や糖尿病などの慢性疾患の患者や半健康人に対して、運動療法を提示し、健康増進における運動の役割を発揮しています。スポーツと医学の融合は、多くの人が科学的なスポーツとフィットネスという概念を確立するのに役立っていると言えます」と、桃園コミュニティー健康サービスセンターの劉群主任は述べた。 

上海市徐匯区康健街道の「高齢者運動健康ホーム」では、施宝民さん(69)が、スタッフの指導の下、高齢者に優しいトレッドミル(ランニングマシン)を体験している。このホームは、高齢者向けの多機能コミュニティーフィットネス施設で、科学的なトレーニング指導、慢性疾患に対する運動療法、スポーツリハビリトレーニングなどの「ワンストップ」運動健康サービスを提供している。現在まで上海市にできた「高齢者運動健康ホーム」は100カ所近くに及び、延べ150万人以上にサービスを提供している。ここでトレーニングをする高齢者に健康面で著しい改善が見られたことが調査で明らかになった。79・84%が「精神状態がかなり改善された」、55・69%が「睡眠の質が向上した」、44・91%が「血圧がコントロールされた」、22・55%が「血糖値が改善された」、16・97%が「記憶力が改善された」と回答した。 

「『高齢者運動健康ホーム』では、高齢者に優しい専門的なフィットネス設備とリハビリ器具を提供するとともに運動保健師の現場指導を加えることで、高齢者が適切なトレーニングを通じて身体機能と生活の質を向上させ、健康状態を長く維持することを促進しています」と、スポーツと医学の融合の実践に長年注目してきた上海体育学院の呉雪萍教授は語った。「健康が『1』で、それ以外は全て後ろに続く『0』です。つまり、健康でなければ、何もできません。中国では、スポーツによる健康促進の新しいモデルを推進し続け、『治療中心』から『健康中心』へのモデルチェンジを加速させています。これらの努力は全て、健康という『1』をより強くさせるためです」 

スポーツの楽しさ伝える 

走る、パス、カット、シュート……広西チワン族自治区柳州市柳江区穿山鎮高平村のサッカー場では、近隣の村々から集まった子どもたちが思い切り走り回り、サッカーを楽しんでいる。サッカー場の外で彼らを指導する鄧君さんはコーチではあるが、体育の専任教員ではなく、柳州市で働く会社員だ。彼はほか数名いるボランティアのサッカーコーチと同様、社会体育指導員という肩書きを持っている。 

社会体育指導員とは、運動員技術等級称号を持ち、報酬を受け取らず、一般人に運動スキルを教え、スポーツ活動を行い、科学的なトレーニング知識を広める人だ。鄧さんにとって、社会体育指導員は栄誉あるスポーツボランティアであり、自分の長所を生かすことで国民総フィットネスと健康中国という目標に貢献している。 

鄧さんたちは週に2回、都会と田舎を往復する生活を送っている。そして彼らが来たことにより、子どもたちのサッカー熱に火がついた。「国民総フィットネスは、全ての人が対象です。山間部の子どもたちはサッカーの基礎技術が全然身についていないから、より丁寧に教える必要があります」。鄧さんたちの努力により、高平村では多くの若者がサッカーを学び始め、体を動かす雰囲気も日に日に高まっている。昨年8月、広西チワン族自治区体育局は現地の農村の少年たちに研修の機会を与え、運動場を建設するなど多方面の支援を行い、恩恵を受けた人数は1万人近くに上る。 

現在、鄧さんのような社会体育指導員は全国に約300万人いる。彼らは地域に根差し、大衆に奉仕し、コミュニティーや町のあらゆる場所で、人々に科学的なトレーニングを指導している。 

北京市社会体育管理センターの孔憲菲主任は次のように語る。「社会体育指導員は、国民総フィットネスと健康中国という理念を広める立役者です。彼らはより多くの人々を国民総フィットネスに組み込み、より多くの人々に科学的なトレーニングがもたらす健康と幸福を享受させています。彼らは波紋を起こす小石です。小さくても無数の波紋を生じさせることができます」 

浙江省金華市の燕尾洲公園で、市民のヨガ練習を指導する社会体育指導員(vcg)

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