PART1 現代人に欠かせない運動

2023-11-30 17:48:00

段非平=文

近年、生活水準が絶えず向上する中、中国人はますます丈夫な心身を求め、健康と長生きを望むようになった。自発的に科学的トレーニングをするという理念が次第に人々に浸透し、体を動かすことに楽しみを覚え、このブームに乗る中国人が増えている。 

屋外がグラウンド 

速乾Tシャツ、スニーカー、膝サポーター、スポーツウオッチなどを完全装備した李龍さん(広西チワン〈壮〉族自治区南寧市白沙大道在住)は、自宅近くの沿江景観帯にやってきた。川から吹くそよ風を身に浴びながら深呼吸し、ランニングコースを10㌔走るという目標に向けてスタートを切った。「よほどのことがなければ毎日川沿いを走ります。美しい邕江を横目に走るのはとても気持ちが良いです」。運動好きの彼はすっかりこの生活リズムに慣れ、そして十分に楽しんでいる。李さんのような「ソロランナー」のほかに、「グループ」で走る人々も多い。江蘇師範大学3年生の郭艶鈺さんが加入している微信(ウイーチャット、中国版LINE)の「夜間ランニンググループ」には200人以上のメンバーが毎日グループ内で報告し、している。江蘇省徐州市にある雲龍湖は彼女たちが毎日5㌔走る場所だ。「体を鍛えながらおしゃべりもでき、仕事や勉強のストレスと不安を解消できます。夜間ランニングを1年以上続けられたのは、みんなの励ましのおかげです」 

李龍さんと郭艶鈺さんは中国の屋外トレーニング「軍団」の一例にすぎない。早朝には、朝練をする大勢の人々が健康遊具の周りやランニングコースに集まり、体を動かすことが新しい一日を迎える第一歩となる。夜になると、文化広場にはパワーに満ちた広場ダンス、白熱するストリートバスケ、そして若者たちの間で流行のナイトサイクリングや「シティーウォーク」が行われている。多種多様な「夜間運動」は人々の生活を潤すだけではなく、無数の都市の活力源にもなっている。 

ジムで鍛え合う 

ランニングマシンで汗を流し、フィットネスバイクルームで元気が出るBGMに合わせて体を動かし、無酸素運動エリアで筋力を競い合う……湖南省長沙市の開福区にあるトレーニングジム「WEGYMER健萌」は会員でにぎわっている。「人々の健康意識が高まるにつれ、ジムで体系的に体を鍛える人が増えました。今年、うちのジムはお客さんが例年の6割増えました」と健萌のトレーナー丁元さんは話す。 

「ノリノリの音楽を聞いて、本格的な器具を握りしめ、周りが頑張っているのを見ていると、自分のスポーツ魂にも火がつきます。毎日の仕事でストレスがたまるので、ジムに来て体を動かすのはストレス解消に最適です。ジムに来たら体型を整えられるだけでなく、前向きな気分にもなれます」。遅迅さんは顔の汗をぬぐいながら2年間のジムの経験を語った。彼にとってジムは特別な「雰囲気」を味わわせてくれる場所だ。その「雰囲気」によってすぐに体を鍛えるモードに入れて、トレーニングの効果をより高められるとともに同じ趣味を持つ多くの仲間と知り合えた。 

「ジムで走ったり体操をしたりするだけでは物足りないと感じる人が増えてきました。健康をいっそう重視するようになり、ジムのトレーナーから科学的トレーニングのコツを聞く人もいて、ニーズもどんどん個性的かつ多様化しています。フィットネス市場は中国でまだ大きな成長の余地があります」と三体雲動社の最高経営責任者(CEO)の竇赢さんは見通しを語った。 

自宅で運動不足解消 

「ジムの3カ月分の会員カードを作ったこともありますが、行ったのは3日だけです」。IT企業で働く王元凯さんは恥ずかしそうに笑った。運動の重要性を認識してはいるものの、仕事が忙しいために十分な時間をつくって体系的に体を鍛えることもできない。「後日、ジムトレーナーから自宅でできるトレーニング方法を教えてもらいました。隙間時間を使って体を鍛えられるので、私にピッタリです」 

近年、手軽で時間を有効に使える在宅トレーニングが多くの若者の第一候補に挙がっている。ダンベルや腹筋ローラーなど自宅で使える小型トレーニング器具は若者の間で飛ぶように売れ、とあるエア縄跳びは1カ月で4万個以上もの売り上げを記録した。 

TikTokなどのショートムービープラットフォームで在宅トレーニングと検索すると、指導や経験を伝授する動画が数十万本ヒットする。いつでもどこでも誰もが体を動かせ、国民全員が一丸となってフィットネスをする一体感によって、国民は全く新しい体験をした。在宅トレーニング族の秦臻さんは体型を良くしてより健康になるために、運動を始めたらひたすら集中する。「毎日会社から帰ると、ネットでトレーニングのプロと一緒に、ストレッチ1セットと十数の基本動作を行います。簡単な上に便利で、家にいながら1日分の運動量をこなせるんです」。秦さんにとって、在宅トレーニングはタイパと健康が両立する方法だ。 

「中国は日常的にスポーツや運動をしている人が5億人以上いる、フィットネス大国です。どのようなトレーニングでも、その背後には健康への期待とニーズがあります。全国民によるフィットネスの参加は中国で新たなブームを巻き起こしたといえます」と中国鉱業大学体育学院講師の王暁貞さんは語った。 

2022上海マラソンが外灘(バンド)の金牛広場でスタート。写真は外灘中山東一路の道路を走る参加者(vcg)

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