拡大する商機を見逃すな

2024-03-01 16:47:00

中国社会科学院アジア太平洋世界戦略研究院副研究員 肖宇=文 

国で生産要素賦存の構造が違うため、自国の比較優位を生かし国際分業に参加することは、自国の生産優位性を最大化できるばかりか、消費者がより低価格で質の良い商品を手にすることにもつながる。数十年の発展を経て、グローバル市場の分業協力メカニズムはすでに各国の経済成長の重要なエンジンとなっている。そして、そのエンジンを構成する重要な「部品」の一つが、世界1位の製造業大国で14億人の消費人口を抱える中国だ。 

ますます開かれる扉 

対外開放は中国が長期にわたって堅持してきた基本国策であり、中国は一貫して互恵ウインウインの開放戦略を取り、世界各国の発展に新たなチャンスを提供してきた。2022年に開かれた中国共産党第20回全国代表大会(20大)の報告は、中国が「ハイレベルの対外開放を推進する」ことを明確に打ち出した。また、習近平国家主席もさまざまな場で、「中国の改革開放政策は今後も長期にわたって変わることはなく、自ら開放の扉を閉ざすことは決してない。中国側は、中国と協力しウインウインを望む全ての国と歩み寄り、世界経済の共同繁栄と発展を共に推し進めたい」と繰り返し強調している。 

自由貿易試験区のアップグレード拡大や自由貿易港の建設、サービス業拡大開放の総合試行事業の展開などの措置を通じて、中国の対外開放はすでに規則管理基準といった制度型開放の新たな段階に入った。農業、製造業、現代サービス業などの分野も、よりハイレベルな対外開放に向けて力を入れ続けている。 

ここ数年、中国政府は「放管服(簡政放権<行政簡素化と権限委譲>、放管結合<権限委譲と管理の両立>、優化服務<サービスの向上>の略称)」改革を持続的に推進し、市場化、法治化、国際化されたビジネス環境の構築に力を入れている。19年10月、中国国務院は「ビジネス環境最適化条例」を公布し、中国が対外開放をさらに拡大し、外商投資を積極的に促進し、各種市場主体を平等に取り扱うことを明確にした。昨年8月、中国国務院は「外商投資環境のさらなる最適化と外商投資誘致活動の強化に関する意見」を通達し、外国投資家向けに一流の投資環境を整えることによって、外商投資の信頼感を効果的に高めている。「2023年第3四半期中国外資ビジネス環境調査研究報告」によると、調査を受けた外資企業の8割以上が中国のビジネス環境に対し、「満足」あるいは「とても満足」と答えた。中国の外資実際利用額は明らかな増加傾向を示しており、20年は1443億7000万21年は1734億8000万22年は1891億3000万となっている。 

中国市場のブルーオーシャン 

世界経済の成長率が鈍化しているのは確かな事実だ。国際通貨基金(IMF)が昨年公表した最新の世界経済見通し(WEO)は、現在の世界経済は過去数年の深刻なショックから回復を続けているものの、回復のプロセスは緩やかで不均衡だとし、世界経済成長率のベースライン予測は22年の35%から23年は30%、24年は29%へ鈍化する見込みだとしている。IMFのゲオルギエバ専務理事は、世界経済の回復は一定の強靭(きょうじん)性を示しているが、その成長は依然として00~19年の平均水準である38%を大きく下回っており、中期的な成長見通しも一段と弱まっているとの意見を述べた。同報告書はまた、政策の引き締めの影響が出始める中、先進国の成長率は22年の26%から、23年は15%、24年は14%へ鈍化する見込みで、新興市場国と発展途上国の成長率はやや鈍化し、22年の41%から、23年と24年はともに40%となる見込みだと予想した。 

強調すべきなのは、IMFはこの報告書の中で、中国経済の昨年と今年の成長率をそれぞれ5%と42%と予測したが、その1カ月後、その予測を上方修正し、昨年は54%、今年は46%に引き上げ、多くの国と地域を大きく上回る数字を出したことだ。中国経済の強靭性は世界経済の発展に新たな原動力を提供していると言える。 

改革開放40年余りの急速な発展を経て、豊かになった中国の消費者はすでに「世界中の商品を買う」重要なパワーとなった。「中国の質の高い消費報告」によると、中国の消費市場はさらにハイエンド化、多元化、個性化の傾向を示している。昨年、ハイエンド消費市場は約12兆元の社会消費財小売総額に貢献した。一方、中国も各国の友人が中国の発展に「便乗」することを非常に歓迎しており、18年に初めて中国国際輸入博覧会を開催してから、多くの外国企業が同博覧会に参加し、中国の発展の成果を共有してきた。 

現在、中国は前例のない経済のモデルチェンジアップグレードを推進しており、先進製造業やバイオ医薬品、クリーンエネルギー、新素材、現代サービス業などの分野において旺盛なニーズがある。外国企業はこれらの関連産業への投資を強化することによって、相当なリターンを得ることができるかもしれない。 

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