エモ消費でペット経済が活況
段非平=文
スピードが速く、ストレスの多い現代社会で、ペットはZ世代の感情のよりどころとセルフヒーリングの大事な存在となりつつある。このようなエモさへのニーズは人間とペットの関係を密接にしたのみならず、ペット用品市場の拡大をもたらしている。iiMedia Researchが発表した「2024~25年中国ペット業界の状況および用品市場のモニタリング報告書」によると、昨年の中国ペット産業の市場規模は8114億元で、2年後には1兆元も見えてくる。そしてペット飼育者の7割近くがZ世代であり、市場の成長をけん引する中心的な力であることは間違いない。
ペットは大切な家族
深圳でニューメディア関連の仕事に従事する王勝男さん(28)は5歳になるロシアンブルーの豆丁を飼っている。仕事から帰宅し家のドアを開け、豆丁が飛びついてきて体をすり寄せた瞬間、一日の疲れが取れる。「客への不満や残業の愚痴を吐いても、豆丁は反論せず、ただ頭を私の手にこすりつけるだけですから」。このような「ありのままを受け入れてくれる」ことが現代の若者の感情的欲求だと王さんは考える。ペットとは決して離れていかない伴侶であり、安定した愛を主人に与える。「深夜2時まで残業して帰宅した日、玄関マットで丸まりながら私の帰りを待っている姿を見た瞬間、疲れもつらさも吹き飛びました。『世界がボロボロでも、もふもふの子が縫い直してくれる』というフレーズがはやっています。豆丁はいわば生活で一番ぬくもりがある端切れなんです。落ち込んだ気分を家族のように癒やしてくれ、再スタートに踏み出す勇気を注入してくれます」

「この子たちは短い生涯を私に寄り添ってくれます。このような情緒的価値はどんなものにも置き換えられません」。北京で働く劉嘉さん(25)は、2匹の猫を飼い始めてから消費のウエートに大きな変化が起きた。「これまでは服やスキンケア用品にそこそこの金額を使っていましたが、今では外国産キャットフードや駆虫薬を買うことを考えていますし、ペット保険にも入りました。他の家の猫ちゃんが持っているものは、うちの子にも持たせたいです。うちの子に不自由をさせたくありません」。劉さんのような無数のZ世代飼い主たちが数千億元規模のペット用品市場を支えているのである。
与えるものがエサから愛へ
多くのZ世代にとって、ペットはもう家族同然の存在だ。ペットにエサをやり服を着させるだけで十分という段階はとっくに過去のものになり、徹底化とスマート化の方向へ進んでいる。
龔楠さん(28)は飼っているゴールデンレトリバーの北北に特別感満載の日々を送らせている。誕生日には鶏肉と山芋でできた特製ペット用ケーキを注文し、祝日にはテーマに合ったドッグウエアを選び抜き、春や秋には郊外へキャンプや水遊びに連れて行く。「北北に与えるものは自分のものを買う以上に気を使います。ドッグフードは成分表と栄養素を比較しますし、おもちゃも安全性と耐久性を考えます。犬小屋も快適性と機能性を兼ね揃えたものにします。あの子がうれしそうに尻尾を振っているのを見ると、お金を使って良かったと思えるんです」
デジタル化とスマート化の影響で、スマートペット用品もZ世代の飼い主たちの必需品となっている。杭州でプログラマーとして働く李澤さんは、仕事の合間にスマホで「クラウド猫吸い」をしている。「猫が何をしているのかをアプリから見られますし、音声でやり取りすることも可能です。残業で帰宅が遅くなっても、時間通りにご飯を食べて水を飲んでいるのかカメラを通じて確認できます」。スマートペットカメラは遠隔での見守りを実現させているだけではなく、若い飼い主に安心感も与えている。レンズの先で見られるペットの日常を記録し、編集してショート動画を作ってSNSにアップする人々も多く、個人の体験としての「クラウド飼育」を他人とシェアしている。

北京で働く会社員の林峰さんは頻繁に出張するため、飼っている猫がいつも心配の種だった。しかしスマート給餌器と給水器、そして猫用自動トイレを買い、「猫用在宅セルフシステム」を構築してからは状況が変わった。「事前にエサや水を与える時間と分量をセットでき、出張中もスマホから追加でエサを与えることもできます。短期出張なら、もう友達にわざわざ家まで来て世話をしてもらう必要もありません」。スマートペット用品の普及は飼育の利便性を向上させただけではなく、人とペットの関係性を再構築した。つまり、飼い主はどこにいようともリアルタイムでペットと生活を共にでき、科学技術によって愛情を伝えられるようになったのだ。
Z世代にとって、ペットとはもはや単なる生き物ではなく、エモい生活の中で欠かせない「家族」だ。この立場の変化により、ペット経済は単なる製品の消費から「製品+サービス+エモ」という複合型消費へアップグレードされた。Z世代によってペット経済は消費の成長をけん引する重要な力になるだけでなく、若年層の生活理念とエモさのニーズを表す独自の窓口にもなるだろう。
人民中国インターネット版