ジャンルを超えるグッズ経済

2026-03-04 11:12:00

李家祺=文

言語文字に関する雑誌『咬文嚼字』が昨年末に発表した「2025年流行語トップ10」に「谷子グゥズー」という言葉が入った。日本語の「グッズ」を音訳したこの言葉は、Z世代の「スラング」から大衆消費市場の新たなホットワードとなっている。 

大成長遂げる市場に 

中国語でもともと「アワ」を表す「谷子」は、近年になって「グッズ」の音訳として新たな意味が派生し、2次元キャラクター製品全般を指す言葉となった。グッズを販売する店舗は「谷子店」であり、グッズを購入する行為は「喫谷」(喫は食べるの意味)と呼ばれる。データによれば、2024年の中国の「グッズ経済」の市場規模は前年同期比406%増の1689億元で、昨年は2400億元を超えた。 

Z世代を主力とする消費者が、アニメやゲームのIP(知的財産)コンテンツへの愛を実際の消費力へと変え、この千億元規模の市場の成長を後押ししている。江蘇省在住の「00後」の李朔月さんは2022年から「ハマり」出し、グッズに毎月500~2000元使っている。「グッズは2次元キャラクターをモニターから出してくれて、きれいに飾ったバッジやアクリルスタンド(アクスタ)が寄り添ってくれているように感じます」。三柒(仮名)さん(23)は『名探偵コナン』の毛利蘭というキャラのグッズ収集に1万元以上使っている。「現物を見ると、初めて毛利蘭を知った子どもの頃に戻れたようで、あの凛とした空手の女王に会えた気になるんです」 

「グッズ経済」の爆発的人気は、若者世代の文化的IPに対する深い共感と感情的結び付きに由来する。物に囲まれた生活を送る現代で、若者たちは商品の実用的機能だけに満足しなくなり、消費によって共感を得てアイデンティティーを確認しようとしている。マッキンゼーによる「2024年中国消費トレンド調査」では、64%の消費者がエモ消費をより重視し、若い消費者ほどその度合いも強いとしている。 

グッズはこのニーズを的確に満たしてくれる。たくさんのグッズで飾った「痛バッグ」を背負って出掛ければ、すぐに同好の士と気付いてもらえる。「グッズ自慢」の日常をシェアすれば、SNSで共感を得られる。そしてレアグッズの価値上昇の可能性が消費熱をさらに後押しする。2023年初め、『文豪ストレイドッグス』のキャラクター太宰治の世界50体限定悪魔バージョンアクスタは7万2100元の高値で落札された。24年には『ハイキュー!!』の限定バッジが閑魚で7万2000元で売買された。 

市場での爆売れを支えているのは成熟した産業基盤だ。現在、中国のグッズ市場では、「国谷」(中国の会社が出したオリジナルグッズ)、「日谷」(日本から輸入したオリジナルグッズ)、「美谷」(米国から輸入したオリジナルグッズ)がそれぞれ一定の市場シェアを持つ。中でも最近、中国産IPの台頭が際立っている。昨年第1四半期、春節映画『ナタ 魔童の大暴れ』の大ヒット後、関連グッズの売上が前年比23462%も爆増した。中国神話を題材にした漫画『非人哉(フェ~レンザイ_神さまの日常_)』グッズの売上も前年比10035%増加した。 

このほか、アニメ映画『浪浪山小妖怪』、ゲーム『王者栄耀』『黒神話:悟空』なども人気IPとなった。川上では優れたIPが次々生まれ、川中では発達した軽工業が高い生産能力を備え、川下ではチェーン店が加速度的に広がり、IPSTAR、MANCOOL、March Monsterなどのチェーングッズ店が活発に事業を展開し、完全な産業チェーンが形成されている。 

実店舗の消費促進 

北京市王府井にある喜悦ショッピングセンター地下2階は巨大な「グッズフロア」となっており、大勢の若者で混雑している。その多くがアニメやゲームのキャラクターのコスプレをして歩き、手に提げた大小の袋に入っているのは「戦利品」の数々だ。 

「今日は『原神』のグッズを買うために来ました。このアクスタがかわいすぎて、机の上に置きたいです」。レジに並んでいた大学生が答えてくれた。彼女が持っているのは、『原神』の「鍾離」というキャラのグッズだ。 

「グッズ経済」の盛んな発展は、リアルな消費シーンを大きく変えつつある。かつては普通だったデパートがモデルチェンジと改造を経て2次元愛好者たちが足を運ぶスポットとなり、実体経済に活力を注入している。 

浙商証券の関連レポートによれば、中国ではすでに20を超える一線二線都市にある60以上の中心的商業エリアで2次元消費ランドマークが建設中だ。北京の2次元「グッズ販売」スポットは220カ所以上ある。広州深圳両市の「グッズ店」は合わせて300店近くあり、広州の2次元モール「動漫星城」だけで50店以上入っている。成都市に170以上、重慶市に140以上、武漢市に120以上の「グッズ店」がある。 

これら実店舗の革新は消費者に没入型の消費体験を提供している。上海市にある百聯ZXクリエーティブセンターは、南京路歩行者天国の華聯ビルが23年1月に中国初の2次元を全面に押し出した商業施設としてリニューアルオープンしてから、18カ月で来客数は延べ1500万人以上、売上は5億元を超える。建物内はさまざまなアニメゲーム作品の装飾が施され、限定品の初販売、ファンミーティングなどのイベントを開き、消費シーンを社交シーンへ昇華させ、「グッズの購入」を単なる買い物という行為から、娯楽性と特別感のある交流体験へ変えた。 

「グッズ経済」の爆発的人気は文化消費と実体経済が深く融合した洋々たる未来を映し出しており、中国の消費市場と経済成長に新たな活力を注ぎ込んでいる。 

人民中国インターネット版 

 

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