医療保障ネットがより密に

2026-03-26 16:09:00

王焱=文 

中国に小石頭(小石)と呼ばれる7歳の少年がいる。彼は脊髄性筋萎縮症(SMA)を患っている。唯一症状を緩和できる治療薬ヌシネルセンは1本70万元と大変高額で、家族は絶望の淵に立たされていた。2021年、中国国家医療保障局による8度にわたる価格交渉の末、ヌシネルセンは1本3万3000元の価格で国家医療保険薬品目録に盛り込まれた。医療保険制度という確固たる保障を得て、小石頭くんは医者が宣告した余命を乗り越えただけでなく、さらに学校に通えるようになった。 

小石頭くんの人生の転機は、「十四五」期間における医療保険制度改革の深化を生き生きと反映している。この5年間で、制度の整備から的確な保障へ、そして負担軽減と福祉の向上からサービスのアップグレードへと、国民全体をカバーし都市部と農村部を統合する多層的な医療保障は網の目をさらに細かくし、人民の健康を守る堅固な壁を築き上げている。 

より広大にカバー 

健康は幸せな暮らしの前提であり、民生保障の重要な一環である医療保険は人々の切実な利益に関わっている。 

「十四五」期間中、都市農村部の医療保険加入における戸籍制限がいっそう緩和され、フレキシブルワーカー(5)など就業地の戸籍を持っていない人々も居住証などの証明書があれば就業地または居住地で保険に加入できるようになった。一年中本籍地以外で働く雷さんは、かつては定職を持っていなかったため医療保険料が未払いになることを懸念していた。「今では加入に戸籍の制限がなくなったので、自分もこの都市の一員になれた気がします」と語る彼女は政策の実施によりようやく安心できたのだ。 

「青少年と児童の発達に関係するリハビリテーションも医療保険が給付されるんです」と北京在住の韓さんは感動を隠せない様子だ。40代の彼は年老いた親と小さな子どもがいる世代であり、父親は術後も定期的な通院が必要で、息子は言語発達遅滞と診断されてリハビリ治療を受けなければならず、二重の負担が家計に重くのしかかった。「新たな政策が打ち出されて、6万元以上かかるはずだったリハビリが実際には2万元足らずで済み、負担がだいぶ軽減しました」 

国家医療保障局によると、「十四五」期間中の中国の基本医療保険加入率は約95%を維持している。21~24年までに延べ200億人近くが診療で医療保険給付を受けた。 

子どもを守り、高齢者に配慮し、病人を保障し、弱者を助ける。特定困窮者には医療保険加入費用を全額助成し、最低生活保障対象者ら、その他の助成条件に該当する困窮者に対して定額助成を行う。あらゆる層が漏れなく加入し、対象全てを保障する医療保障ネットがより綿密かつ強固に織り上げられつつある。 

恩恵をよりあまねく 

「今では多くの社区(コミュニティー)病院が医療保険の対象になっているので、軽い病気なら家の近くで診てもらえて便利です」。特別な経験を持つ韓さんは医療保険政策に特に注意を払っている。「一番うれしかったのは北京都市従業員医療保険の外来診療の給付上限が撤廃されたことです。私のような多額の医療費がかかる家庭にとって極めて重要です」 

昨年11月時点で中国の村の診療所の97%が医療保険の対象になり、人々は自宅近くで診療を受けられるようになった。全国医療保険指定医療機関薬局は114万カ所に上り、省間の遠隔地医療費直接決済は延べ6億人に恩恵をもたらしている。 

都市従業員医療保険の個人口座資金を配偶者、両親、子どもなどの近親者が共同で使用できるようにしたことは、「十四五」期間で好評を博した医療保険の恩恵的措置だ。北京で暮らす李さんは感慨深げにこう語った。「両親に慢性疾患があるので定期的に通院しなければならないのですが、二人共スマホアプリの操作が不慣れです。でも子どもが口座の共有機能を設定すればこの問題が解決し、時間も手間も省けます。それに若者は病気になりづらく、口座には常に一定の残高があるので、家族で共有できるようになり、口座の利用率も上がったと言えます」 

「十四五」期間で中国の医療保険デジタル化モデルチェンジは画期的な進展を遂げた。全国で統一された国家医療保障情報プラットフォームが構築され、システムの応答時間はミリ秒単位を実現し、サービス向上のための技術的基盤を固めた。昨年末時点で中国では12億8000万人以上が医療保険コードを発行し、診療や医薬品の購入でコードをかざせば直接決済ができるようになり、毎日延べ3000万人以上が利用している。 

基金の使用をより効率化 

医療保険基金は人々が医者にかかる金であり、命を救う金である。これをよく管理使用することが、保険加入者の切実な利益と医療保障制度の健全な発展につながる。 

国家医療保障局副局長の李滔氏によると、「十四五」期間で中国の医療保険部門は支払いプロセスの改善を重ね、医療保険機関の資金繰りの負担をいっそう軽減した。「後払い」から「前払い」にし、医療保険部門が条件を満たす指定医療機関に約1カ月分の医療保険基金を事前に支払うようにした。24年から現在まで、全国で1700億元以上の医療保険基金が前払いされた。そして「月次決済」から「即時決済」になり、医療保険部門と指定医療機関薬局との決算サイクルを従来の30日営業日から20日営業日以内に短縮し、一部地域では医療機関の申請に対して「翌日決済」も実現している。 

医薬品の価格は人々の負担に直接つながるばかりか、医療保険基金の支出コストにも関係する。実践が証明したように、医薬品の集中調達は価格の過大評価を是正する効果的な方法であり、「安くて良い薬」を現実のものにした。 

国家医療保障局が発表したデータによると、18年以降、国家組織による医薬品の集中調達によって計4400億元もの医療保険基金を節約した。うち3600億元は交渉によって医療保険薬品目録に盛り込まれた革新的医薬品に使われている。つまり従来の薬の集中調達で節約した資金の80%を革新的医薬品に当てている。「十四五」期間で516種類の医薬品が国家医療保険薬品目録に新たに追加され、中には慢性疾患や希少疾患に効果がある新薬が大量に含まれている。昨年末時点で同目録内の医薬品総数は3253種類となった。 

「『十五五』期間でわれわれはスマート医療保険の構築をさらに進め、多層的な保障体系を健全化し、人民の生命と健康を守り、医療保険のメリットをさらに公平に人々へ行き渡らせます」と国家医療保障局局長の章軻氏は展望を語った。 

人民中国インターネット版

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