外資に便利で魅力的な市場

2026-03-26 16:21:00

王哲=文・写真 

中国の上海から約1万7000離れたペルーの観光都市アレキパに住む手芸職人のオスワルドママニ夫妻は、7、8年前まではまだ露店を営んでいたが、今では100を超える手工業世帯を率いて、アルパカのぬいぐるみ、帽子、マフラー、コートなどを標準化生産で日夜作っている。中国から毎月1万件以上届く「Warmpaca(中国語名:温暖駝)」の注文のおかげで、彼らの生活はますます安定し、豊かで幸せなものになっている。 

 南米アンデス山脈のチチカカ湖発祥のペルーのブランド「Warmpaca」は現在、中国の30以上のショッピングモールに提携店舗を持ち、商品カテゴリーは20以上、製品は300種類以上に拡大している。「中国の消費者の支持、中国の巨大な市場ニーズ、そして市場アクセス拡大や関税引き下げなど中国が実施している一連の優遇政策のおかげで、私たちは手作業の工房から標準化生産へ、露店の手工芸品から国際ブランドへと劇的な変化を遂げることができました。本当に奇跡です! この5年間で、私たちはデザインの革新や品質管理、生産能力の向上という多岐にわたるブレークスルーを達成し、中国国際輸入博覧会(以下、輸入博)のプラットフォームを通じて世界の舞台へと羽ばたくことができました」と同ブランドパートナーのイサベルセア氏は感慨深げに語った。 

「十四五」期間中、中国市場に深く根付いた外資企業は、中国のよりハイレベルの対外開放の目撃者であると同時に、その直接の受益者でもある。中国の巨大市場はすでに各国企業にとっての「実験場」と「応用場」となり、外資企業は自らの実体験を通じて、中国のハイレベル開放がもたらした豊かな成果を証明するとともに、「十五五」における新たなチャンスへの強い期待も表明している。 

発展の基盤を固める制度型開放 

中国商務部が発表したデータによると、昨年1~11月に中国で新設された外資企業は前年同期比169%増の6万1207社に達した。業種別に見ると、ハイテク産業の好調ぶりが際立っており、実行ベース外資導入額は2212億6000万元に上った。そのうち、電子商取引サービス業、医療機器製造業、航空宇宙機器製造業の実行ベース外資導入額はそれぞれ127%、465%、419%増加した。こうした数字の数々が、中国の開放型経済の活力を物語っている。 

ここ数年、政策環境の整備により、外資企業はさらに安心して中国で投資するようになった。「十四五」期間中、中国は500件以上の法規規範を制定改正廃止し、外商投資の参入前内国民待遇とネガティブリスト管理制度を全面的に実施し、全国規模で製造業への外資参入制限を撤廃した。また、一部の地域ではクラウドコンピューティングやバイオテクノロジー、独資病院などの分野で開放拡大試行事業を展開し、「外資誘致のための24の施策」や外資安定化行動計画を公布実施し、政府調達、知的財産権保護、データ越境移転、財政税制優遇などの分野における関連政策条件は継続的に改善最適化されている。こうした一連の政策措置の実行は、中国が対外開放をさらに拡大していく決意を明確に示している。 

公正な市場競争環境と効率的な行政サービスにより、外資企業は中国市場での事業拡大をよりスムーズに進めることができる。昨年、資生堂は中国およびトラベルリテール事業の組織再編を順調に完了させた。この戦略的調整は、中国関連部門からの積極的な支援と協力を得た。「製品の承認手続きから市場プロモーションに至るまで、中国が実施した『一網通弁(全国一体化政務サービスプラットフォームを活用し、政務サービス事項を一つのプラットフォームで受け付け、全プロセスをオンラインで処理)』などの政策により、事務処理の効率を大幅に向上させてくれました」と、資生堂中国CEOの梅津利信氏は述べる。中国が公正な競争を妨げる規定の整理廃止を継続的に進めたことによって、外資企業が現地企業と同じ競争条件の下で平等に発展できるようになったことこそが、最も貴重なビジネス環境の優位性だと梅津氏は見る。知的財産権の保護やデータの越境移転といった分野での政策最適化は、外資企業がイノベーション活動に専念することを可能にしている。  

所得税優遇政策は、外資企業に「目に見える利益」をもたらしている。昨年6月、中国財政部、国家税務総局、商務部の3部門が、「外国投資家の配当収益による直接投資に対する税額控除政策に関する公告」を共同で発表した。同政策によれば、2025年1月1日から28年12月31日の期間、外国投資家が中国国内の居住者企業から得た配当収益を中国国内直接投資に充てる場合、一定の条件を満たせば、投資額の10%を外国投資家の該当年度の納税額から控除できる。また、該当年度中に控除しきれなかった場合は、翌年度以降に繰り越して控除することも可能だ。 

この政策の恩恵を最初に受けた企業の一つ、ドイツ系企業のKROHEN測定技術(上海)有限公司は、上海市松江区に新たに工場を建設するための500万の投資に対し、300万元を超える税額控除を受けた。「上海の税務当局が速やかに担当者を派遣し、政策の細部、特に税額控除の申請手続きや計算ルールを丁寧に説明してくれました。政策の恩恵は、私たちがアジアの製造拠点を構築していく決意をさらに固めてくれました」と、この政策のメリットを実感した同社松江工場の責任者である陳建龍氏は語る。 

サービス保障システムの充実も、企業の「後顧の憂い」を解消している。各地に設立された各レベルの外資企業支援専門チームは、外資企業や在華外国商工会議所との定期的な意見交換を深化させている。23年以降、商務部は累計30回以上の外資企業円卓会議を開催し、外資企業から寄せられた各種の要望や課題を1500件以上解決してきた。 

「中国の対外開放は、すでに『商品要素流動型開放』から『ルールや標準などの制度型開放』へと転換しつつあり、ルール、規制、管理、基準の改革を通じて、多国籍企業に安定的かつ予測可能性の高い発展環境を提供しています。関税の減免から通関の効率向上や知的財産権の全プロセス保護、イノベーション生態系の構築に至るまで、一連の実務的な措置は、外資企業に『中国の誠意』を実感させています」と対外経済貿易大学国家対外開放研究院研究員の鄧慧慧氏は指摘した。 

イノベーションの発信拠点へ 

超巨大市場と完備された産業システムという二重の優位性を持つ中国は、外資企業に広大な成長スペースを提供するだけでなく、世界にとってのイノベーションの実験場と価値実現の場ともなっている。各国の企業はここで消費者のニーズを敏感に察知し、製品や技術の更新を加速させ、「製品輸出」から「生態系の共同構築」へと飛躍を遂げている。 

「『 十四五』期間中、中国の外資導入の質は大幅に向上しました。24年のハイテク産業への外資導入額の割合は346%に達し、20年に比べて6ポイント向上しました。多くの多国籍企業が中国に地域本部やグローバル研究開発センターを設立し、ますます多くの多国籍企業が中国をグローバル戦略の拠点と位置付け、単なる生産工場から『本部+研究開発+製造』という全産業チェーンの配置へと転換しています」と商務部副部長兼国際貿易交渉副代表の凌激氏は説明した。 

北京市亦荘経済技術開発区には、67の国と地域から約1530社の外資企業が集中しており、109社の外資系研究開発センターがイノベーションクラスターを形成している。この背景には、商務部と科学技術部が発表した「外資系の研究開発センターの設立におけるさらなる奨励に関する若干の措置」の着実な実施がある。 

これらの政策により、ドイツのシーメンスヘルスケアは中国初のオープン型AIイノベーションセンターを設立し、現地のテクノロジー企業と深く連携して、肺がんや乳がんの補助診断システムを開発し、その研究成果は世界中の製品にも応用されている。日本のSMC株式会社が建設した海外最大規模の研究開発イノベーションセンターは、空気圧機器のインテリジェント化低炭素化を研究開発の重点としており、その成果は世界の事業を支えるとともに、中国のハイエンド製造業の発展にも貢献している。また米国のジョンソンエンドジョンソンは、アジア初のサイエンスイノベーションセンターとアジア太平洋地域最大級の医療機器トレーニングセンターを設立する計画を進めている。こうした「中国で開発し、世界に提供する」イノベーションモデルは、ますます多くの多国籍企業の選択肢となっている。 

イノベーション拠点としての魅力を持つのは北京亦荘だけではない。上海も完備された産業システムと開放的なビジネス環境で、多国籍企業がグローバルイノベーションネットワークを構築する上での重要なハブとなっている。 

米国のオーチスワールドワイドは、上海にある同社の研究開発センターを世界最大規模のイノベーション拠点に育て上げ、ここで開発された数多くのスマートエレベーターが、世界市場に供給され、各地で活躍している。同社CEOのジュディ氏は、「中国ではスマートビルの建設や高齢者向けエレベーターの新設改造のニーズが非常に大きく、市場の可能性は無限大です。これは私たちにとって絶好のチャンスです」と語る。 

ドイツのフォークリフト大手のユングハインリッヒ社も、世界市場で増加しつつあるインテリジェント化持続可能拡張性のある自動化ソリューションに対応するため、昨年に上海でグローバルOEMセンターを新設した。「中国には完備された産業サプライチェーンがあります。ドイツのエンジニアリング技術と中国のサプライチェーンの優位性を融合させることで、企業は世界市場でより強い競争力を獲得することができます。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の関税減免や貿易円滑化政策を活用することで、わが社の製品は上海港を通じて世界50以上の国と地域に販売しています」と同グループ取締役会のラルスブジョスカ議長は述べる。 

昨年11月に開催された第8回輸入博では、スイスの空気清浄機ブランド「IQAir」が世界で初めて披露した製品のデザインに、故宮博物院が所蔵している清代の七宝焼き龍鳳文双連扁壺からインスピレーションを得ている点が話題となった。同社CEOのフランクハメス氏は、「中国には超大規模で非常に成長性の高い市場があります。中国の消費者が『テクノロジー+文化』を融合させた製品を好む傾向や、グリーンで健康的なライフスタイルを追求する姿勢は、世界中の企業にイノベーションと技術更新を促しています。ここ5年間、中国市場と中国の伝統文化は、私たちに絶え間ないイノベーションの活力を与えてくれました」と語る。 

中国国際輸入博覧局副局長の孫成海氏によると、輸入博が開催された8年間、ますます多くの出展企業が投資企業へと転身した。外資の対中投資はすでに従来の製造業から新エネルギー、バイオ医薬、AIといった現代産業へと集中し、この構造的アップグレードは、中国が新たな質の生産力を育成するニーズと合致すると同時に、外資企業が中国の近代化産業システムに深く溶け込むことも可能にしている。これこそが、中国が自らの発展の成果を世界と共有し、外資企業が産業の高度化に深く関与することを促す生きた実践であり、ハイレベルの対外開放がグローバル資源配置を導く役割を十分に示している。 

デロイトトーマツ(KPMG)中国の会長鄒俊氏が言うように、中国市場の独特な価値は、短期的な成長のメリットを提供すると同時に、長期的なイノベーション配置を支えることもできることにある。この二重の属性により、中国は各国企業が無視できない戦略的高地となっているのだ。 

一流のビジネス環境を構築 

「十五五に関する建議」では、「参入許可営業許可」をしっかりと実行する、そして「外資参入ネガティブリストを縮小し、外資収益の国内再投資を促進する」こと、「内国民待遇を全面的に徹底し、データの高効率で円滑かつ安全な越境移転を推進する」ことを明確化するなどの一連の措置が打ち出されており、外資企業が中国で発展するためのより広大な未来図が描かれている。 

先日、浙江省杭州市蕭山区行政サービスセンターの窓口で、ベナン共和国出身の外商が杭州顧苔科技有限公司の営業許可証を手にした。これは同地区で初めて、外国の自然人が全プロセスをオンラインで申請し、電子署名したことで設立された単独資本企業の営業許可証だった。 

「書類の国際配送」から「スマートフォン一つで完了」へ、「手続きのために何度も往復」から「データの移動」「部門間の連携による処理」へと、中国各地では、外資企業の登記手続きの簡素化、外国人従業員の就労許可や在留資格証明書の申請プロセスの簡略化が全面的に推進されている。多くの地域では、重点外資プロジェクトを支援するための専門チームを設立し、重大外資プロジェクトの早期着工早期稼働を後押ししている。 

昨年11月7日、中国証券監督管理委員会は、華福国際資産管理有限公司と方法量化アジア太平洋プライベートカンパニーに対し、QFII(適格外国機関投資家)の資格を付与することを承認した。申請資料を受理した11月4日からわずか3日間で手続きを完了したことは、外資企業が中国市場に参入する審査速度の新記録を更新した。今後、こうした迅速な審査対応が外資の中国市場参入における新たな標準となり、ますます多くの外資企業が「市場に参入できる」段階から「事業を円滑に営める」段階へのスムーズな移行を実現していくだろう。 

政策の恩恵から市場の活力、産業間の連携からイノベーションの支援に至るまで、外資企業が中国市場で根付き、成長していくさまざまなストーリーは、中国がよりハイレベルの開放型経済の新体制を構築していく過程を物語る生きた証左である。凌激氏が述べるように、中国は引き続き市場化法治化国際化に基づく一流のビジネス環境の構築を推進し、外国投資家に対して長期的な安定性と予測可能性を提供し、外資企業と共に「十五五」の発展による新たなチャンスを共有していく。 

人民中国インターネット版

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