北京市昌平区人民法院(裁判所)の立件法廷の楊傑・副裁判長は、まだ30代前半の若い裁判官だが、同法院では、農村の土地請負関連訴訟の専門家とされている。
農村の土地請負関連訴訟が多いのは、同区法院の特徴だ。農民の直接的な利益に関わり、法律関係が複雑なため、この種の訴訟案件の審理はかなり難しい。最初は、若いということで当事者から能力を疑われた楊氏だった。だが、何度も農村に出向き、村民の考えに耳を傾け、国の土地政策を研究したことで、当事者が関心を持っている利益とは何かがより分かるようになり、常に当事者が納得できる判決を下せるようになった。こうして、楊氏は同法院でもっぱらこの種の訴訟を審理する専門家になった。
新型コロナウイルス感染症の発生当初から、楊氏はいかにして感染拡大の影響を受けずに審理を行い、速やかに紛争を解決できるか――と考え始めていた。そこで彼は、オンライン裁判を行うことに決めた。こうすれば、当事者が裁判所と自宅を行ったり来たりする必要もなく、人々の移動と集まりを避けることができる。
「クラウド裁判」は簡単に聞こえるが、実際の実施はなかなか簡単にはいかない。当事者双方の時間を調整したり、ソフトウエアの使い方を教えたりして、この新しい裁判の形を受け入れてもらうことが必要だった。それでも、3カ月の間に、楊氏は300件近い訴訟を審理できた。最も多い日は11件も審理した。
ある民間の賃貸紛争案件を審理する際、被告側が投資・経営する病院が北京市の感染症治療の候補病院に指定されたが、病院内の医療機器には借金の担保として原告側の抵当権が設定されていることを楊氏は知った。もし機器を強制的に競売に出すと、病院は患者の収容・治療ができなくなる。そこで、楊さんはオンライン調停を行った。それにより、当事者双方は借金の分割返済で合意し、病院は最前線で感染症と闘う戦力として大いに役立つことになった。
また、楊氏は農村への巡回出張を申し出た。週に3日、これまで2万人余りの人々に法律関係の指導を行っている。
人民中国インターネット版 2020年6月29日
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