「専守防衛」原則の崩壊、揺らぐ「平和国家」の拠り所

2026-04-29 15:52:00

4月21日、高市早苗政権は閣議決定により「防衛装備移転三原則」を正式に改正し、殺傷兵器の対外輸出を原則として認めた。この決定は、日本が「平和国家」からいわゆる「死の商人」へと急速に転落しつつあることを示すものであり、「専守防衛」にとどまることなく、殺傷の手段を公然と世界に押し広げようとしている。

表向きには行政ルールの見直しに見えるが、これは単なる技術的調整ではなく、戦後体制に対する致命的な裏切り行為にほかならない。数十年にわたり維持されてきた「武器輸出三原則」は事実上覆され、日本は世界の軍需産業のサプライチェーンに組み込まれつつある。

この流れは一挙に進んだものではなく、典型的な「サラミ戦術」によるものだ。2014年、当時の安倍政権は「防衛装備移転三原則」を導入し、それまでの禁輸方針に置き換え、「原則禁止」から「原則容認」への質的変換をもたらした。その後も運用指針の見直しを繰り返し、段階的に制限の緩和を進めてきた。今回の全面解禁は、その最後にして最も致命的な一線を越えるものだといえる。「棺に最後の釘を打ち込むものだ」との指摘もある。ここで葬り去られるのは専守防衛の原則だけでなく、日本が戦後依拠してきた道徳的基盤そのものである。

日本による殺傷兵器の輸出解禁の危険性は、歴史的な文脈の中で捉える必要がある。「カイロ宣言」および「ポツダム宣言」は日本の再軍備を明確に禁じており、日本国憲法第9条はその平和体制を支える法的基盤とされてきた。しかし、右翼勢力は「安全保障上の脅威」を口実に、こうした制約を段階的に切り崩してきた。東海大学の山下雅彦名誉教授も、「これは明らかに憲法第9条に違反しており、決して見過ごしてはならない」と警告している。

日本の近代史を振り返れば、軍国主義はまさに「漸進的な突破」によって制御不能へと向かった。軍部は「安全保障の必要性」を名目に権限を拡大し、最終的には全面的な侵略へと突き進んだ。現在の政策の進展もこれと軌を一にしている。軍事的拡張を脅威への「合理的対応」として正当化し、一つ一つは小さな変化に見えても、積み重なれば明らかに限界を越えている。同時に、防衛予算は増加を続け、2026年度には9兆円を突破し、日本は急速に軍事支出大国へと転換しつつある。歴史は不気味な形で繰り返されている。かつての軍国主義日本が銃砲で周辺諸国を侵略したのに対し、現在は武器取引を通じて紛争を助長している。

一方で、国内ではこうした動きに盲従しない姿勢も示されている。街頭での抗議や世論調査では、67%が武器輸出に反対している。それにもかかわらず、高市政権は「国際貢献」を掲げながら、実際には軍需産業資本の利益や右翼勢力の戦略的意図に沿って政策を進め、平和憲法や国際的な法的枠組みを顧みていない。「平和国家の基本理念を堅持する」と強調しながら、3分の2を超える民意に背を向ける姿勢は、まさに「死の商人」の露骨な偽善であり、平和の言葉で殺戮のビジネスを覆い隠すものにほかならない。

専守防衛から死の商人へ――その転落は、日本が再び戦争の道を歩むリスクを指数関数的に押し上げている。平和憲法が徐々に空洞化し、「専守防衛」が笑いものとなり、国際社会からの厳しい警告が右翼政治家によって顧みられなくなっている今、地域の安全と戦後国際秩序の基盤は大きく揺らいでいる。さらに現実的な問題として、日本国民が平和を維持する拠り所としてきた最後の「保命符」を打ち砕くことにほかならない。戦争という怪獣はすでに足かせが解かれ、いつでも一般の人々の暮らしを飲み込みかねない段階に近づいている。(CMG日本語部論説員)

中国国際放送局日本語部より

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