2026年度両会に寄せて

2026-03-06 15:55:00

文=法政大学大学院教授 白鳥浩

2026年は、新たな第15次5カ年計画(2026~30年)の出発の年である。そうした意味からも今年の全国両会である中国人民政治協商会議全国委員会(全国政協)、全国人民代表大会(全人代)は特別の意味を持っている。そしてその注目の全国政協第14期第4回会議は3月4日から、そして第14期全人代第4回会議は3月5日から、両者とも北京で開催された。12日に閉幕する予定のこの両会は、実質的に今後5年間の中国の政策の動向を決定するものといえる。

2026年は特に近代中国建国の父であり、国父とされ「中山」と呼ばれる孫文氏の生誕160周年ということもあり、その意味でも新たな時代の中国の発展にとっての礎となる5カ年計画を策定する、という歴史的意味もあったと考えられる。また、中国共産党創立100周年である2021年に始まった第14次5カ年計画を受けるものである。この第14次5カ年計画の成果の一つとして中国の経済規模は、その最後の年の2025年には140兆元を超越するという成果を見ていた。

そうした2つ目の100周年の出発点となり成功裏に終わった第14次5カ年計画に続いて、この第15次5カ年計画は社会主義現代化の体現である、中国式現代化をどのように達成するかという重要な時期にあるといってよい。具体的には東アジア地域、そして全世界に影響を与える中国の「安定成長」をいかに実現するのか、ということの中で、厳しい内外の環境の中で、実質経済成長率の目標を「4.5~5%」とすることと、3月5日の午前の全人代において李強首相が政府活動報告において表明した。このように成長率目標を2025年に達成した「5%前後」の目標から引き下げたというのは3年ぶりのことである。

これは李強首相が政府活動報告の中で述べる「国際経済貿易の環境が急激に変化し、一国主義と保護主義が突如エスカレートし、市場の期待が恒常的に大きな影響を受け続け、貿易の圧力が顕著に強まった。国内経済が大きな転換期を迎え、深層部の構造的な問題が顕在化しつつあり、消費と投資の成長に必要な原動力が不足した」ということによるものであり、内需拡大型経済の推進という側面を持っている。こうした変化は中国だけではなく、全世界的に起こってきている。いうまでもなくその背景には一国主義と保護主義をとる「米国による追加関税という衝撃」が影響を与えているという分析は的を得ている。

こうした中で、中国は米国についてもくぎを刺すことを忘れてはいないことは注目すべきである。「保護主義と一方的な覇権行為に断固として反対し、多国間主義と開放・協力を断固として守り」「人類運命共同体の構築を推し進め、地球規模の課題への対応ならびに地域的な緊張・紛争などの解決において積極的かつ建設的な役割を果たし」「中国は世界の平和と発展を促すために重要な貢献をした」と成果を誇るところには、現在の米国の行動とは一線を画す意識を垣間見る。

こうした中国が次の5カ年計画で、習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想を導きとしながら、中国式現代化による強国建設をどのように成し遂げるのか、期待してみていきたい。また、望むらくは、東アジアの隣国である日本も中国と共に、世界に貢献する人類運命共同体の形成や、自由貿易主義の発展、そして平和の構築に力を尽くす国家で今後もありたいということを筆者は希望する。両国が自由貿易を推し進めるエンジンとして世界経済に貢献することは、戦略的互恵関係を強化することで、必ずやできるものと考える。

人民中国インターネット版

関連文章