香港からの大学生が広西チワン族自治区で叶える中医の夢
夏の朝、広西中医薬大学のうっそうとした薬用植物園には、多くの大学生が植物の見分け方を学びにきており、その中には香港からの学生もいた。
同校の学生で香港出身の楊浄鈞さんは、香港地区が中国に復帰した1997年に生まれた。楊さんが中医学を学ぶようになったのは中学生時代の体験がきっかけで、当時ある社会福祉センターで職業体験イベントに参加した彼女は、そこで見た中医薬の薬棚に興味をひかれたという。
「引き出しを一つ一つ開けて薬を見ているうちに、以前中医に関する香港のドラマで見た中医薬を使って病気を治すシーンを思い出しました。そして、はかりで中医薬を測ることも学び、とても興味深いと感じました」と楊さんは語る。その時から、楊さんは大学に入って中医学を学ぼうと決意した。そうして彼女は広西省チワン族自治区で、自身の夢を追い始めた。
楊さんから見ると、大陸部の中医学教育と社会での実践はしっかりと結び付けられている。「香港には、中医学生が実習できる中医学の病院はまだありません」と楊さんは語る。「でも、大陸部には中医学の専門病院や中西医病院(中医学と西洋医学を組み合わせた病院)での実習のチャンスがたくさんあります。それに、実習の間に先生や先輩に教えてもらったり、患者さんと直接交流したりして、授業で学んだ理論と臨床の知識をよりしっかりと結び付けることができます」
将来への期待を語る楊浄鈞さん
広西チワン族自治区と香港は地理的に近く、交流と協力も日増しに盛んになっている。中医学の薬草の産地として広く知られる広西チワン族自治区は中医学教育の歴史も長く、有名な先生や医者が大勢いる。そのため、香港から中医学を学びにくる学生も少なくない。広西中医薬大学だけを見ても、中医学を学ぶ香港出身の学生は、この5年間で計200人を超えた。
近年、中医薬は香港で広く普及し、中医学の治療法や薬膳で体を健康に保ち、養生をする人がますます増えてきた。
将来の計画について、楊さんは「卒業後は香港に帰って、中医薬の分野で働きたいです」と語る。また、自分が学んだ中医学の知識で患者を助け、香港における中医学のさらなる発展を後押ししたいと願っている。
楊さんは香港地区の祖国復帰と同じ年に生まれたことを誇りに思うとともに、ある種の使命感を覚えている。「私たち若い世代は努力して知識を身につけ、香港の未来のために自分の能力を活かすべきだと思います」と楊さんは語った。
人民中国インターネット版 2022年6月28日