山西省開化寺芸術展:伝統と現代の対話

2019-06-24 14:25:50

 

 

山西省高平市にある開化寺には、中国に現存する唯一の北宋時代の大型寺観壁画(中国の伝統壁画の一種)が保存されている。これは、貴重な文化的、芸術的、史料的な価値を持ち、壁画分野における『清明上河図』と言っても過言ではない。

北斉武平2年(571年)に創建された開化寺は、南向きに建っており、二つの中庭から成る。全体の構造は左右対称になっており、美しく堂々たる構えをしている。本堂である大雄宝殿は典型的な宋代の建築様式で、本堂内を彩る装飾文様や絵画は細部まで精緻に描写されている。これは、北宋時代の建築書『営造法式』に記録されている図柄と一致し、宋代の建造物彩色における最もよい例ともいえる。

 

山西省高平市開化寺

 

また、宝殿内部には、北宋元祐7年から紹聖3年まで(109296年)の精巧で美しい壁画が保存されている。これらの壁画は高さが平均2.65、三つの壁の長さが合わせて26、合計88.20平方もある。そのうち、西側の壁にある壁画が最も精巧に描かれている。仏のほか、漁師、機を織る女、官吏などさまざまな人物、そしてあずまやや楼閣などさまざまな建物が描かれている。また、絵の中に描かれている女性は、整った顔だけでなく、衣装や装身具まで細かく描かれており、宋代の典型的な特徴を持っている。

 

開幕式の様子 

同寺では今年5月、「対話2019高平現代芸術展」が盛大に開かれた。中国と日本、米国から12名の有名な現代芸術家が作品を出展し、現代芸術と伝統芸術をめぐる対話が行われた。そのうち、日本からはポストもの派の芸術家として知られる保科豊巳氏と坂口寛敏氏が出展した。

坂口寛敏氏は同展のために、『炎帝の庭園』という作品を制作。本堂の前には白い小山がつくられ、山のてっぺんには直径40センチの円形の磁器製の盆が置かれ、その中の澄んだきれいな水には開化寺の本堂と青空が映されている。

また、保科豊巳氏の作品『思考の井戸』は、セメントで作られた四角い井戸の四隅に四本の木の棒が立てられ、その上に「人」という字に見える屋根が置かれ、井戸の水面には映像が流れている。『思考の井戸』と観音殿の空間的な対話を通じ、現代社会の善悪美醜、伝統現代に対する作者の思考が示されている。

同時に、「推本溯源——岩彩画作品、開化寺壁画複製模写展」も同寺開催された。展示された岩彩画作品は、古典芸術の継承であるとともに、伝統的な絵画への読み解きと理解でもあり、古代壁画への保護と活用をさらに押し進めることに積極的な役割を果たす。(文=高原)

 

保科豊巳・『思考の井戸』

 

坂口寛敏・『炎帝の庭園』

 

人民中国インターネット版  2019624

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