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現在位置: 2010年 上海万博上海万博、縦横無尽

近未来への扉を開く

 

陳言=文 新華社=写真提供

大阪万博を日本が開催している時、中国はまだ「文化大革命」の最中にあり、ほとんどの人はそれを知るすべもなかった。40年経った現在、今日上海で万博を開催するようになると、その時の日本はどんな形で万博を開き、開催後の大阪はまたどんな変化があったのか、多くの中国人の興味を惹いている。

あの太陽の塔は、まだ万博公園の中にあるのだろうか。上海万博には「水の都――大阪のチャレンジ」というテーマの大阪館があるが、その中にはあまり大阪万博の面影はないそうだ。

日本人はすでに上海の暮らしの中に入っている。上海には登録されている日本人だけでも5万人あまりいて、常住中の日本人の合計は10万人を超え、海外では最大の日本人居住地となっている。万博期間中も100万人の日本人が来ると見込まれ、外国から来る予定の350万人のうち、3分の1ぐらいは日本人だといわれている。

上海万博について、日本は注目しており、また多くの日本人が住み、日本の暮らしなどを上海に持ってきているので、日本については、上海でも注目を集めている。万博を契機にして中国のマスコミは日本に焦点を当てて、精力的に報道している。

中国館の前を通る「遣唐使船」の複製

経済発展を実感させる万博

「1970年に開かれた大阪万博では、日本は国をあげて1950年代と60年代の高度成長を実現したこと、第二次世界大戦の廃墟から新しく台頭して、新興の世界経済大国になったことを展示した」と、4月21日に中国新華通信社が全国に流す記事の中で書いた。

大阪万博について大量の情報を流すようになったのは、上海で万博を開催することが決定されてからであろう。上海を高速鉄道で近隣の都市と繋ぎ、また飛行機、船で国内外との交流が盛んになっている。上海はもう一度数100万人のほかの都市や農村から来る人を受け入れ、また数十万の外国、大陸以外の地域から来る人がここに住み、ビジネスをするようになってから、上海は国内やアジアのほかの都市より、むしろまず学ぶべき都市として大阪があった。かつて万博が大阪で行われたことがさらにその関心を高めていた。

大阪ではすでに40年前に万博を開いた。6500万人も殺到した会場では、来場者は一つ一つのパビリオンをゆっくりと楽しむ暇はなかったかもしれないが、戦争より平和を、国民生活を一つの方向に無理やりに向かわせるよりも自由で経済発展を中心とした国策を取ることによって勝ち得た成果を具体的な形でそこで実感できたに違いない。20余年の努力で、日本は世界第2位の経済規模(GDP)を手にいれた。大阪万博の会場は熱気に溢れ、それはある意味では自信に溢れているように見えたと思われる。

今から見れば、1970年代、80年代は、日本の経済発展の絶好期だった。大阪万博の前の20数年は、経済復興の時期であり、経済大国の地位を獲得したが、それを不動のものにするためには、あと20年、または更なる長い年月の努力は必要であった。自信に溢れた日本は、それを2009年まで堅く守り続けていた。

日本の経済発展を象徴的に語った大阪万博は、特に今日の上海ではクローズアップされ、上海、ひいては中国はこれからどこへ向かっていくべきか、万博を通して大阪などの経験を取り入れながら、中国で実践したいとも思われている。

ひとつの解としては「より良い都市、より良い生活」という上海万博のテーマで表現している。日本ではどんな都市を造り、また産業の発展では暮らしにどんな利便性をもたらしたか、万博を通して、多くの来場者は日本館、日本産業館、大阪館に焦点を当てて見ようとしている。中国のマスコミもそれに合わせて多く報道している。

日本人の行動に注目しているマスコミ

40年前の大阪万博の情報を読み、その後の変化に関心を持っている人は、おそらく現在の日本人の行動にも注目しているだろう。万博で見た日本館、出会った日本人から日本人の暮らし、日本での都市建設を推測する。

盲導犬などはまだ少ない中国では、万博が開幕してからすぐ5月10日から16日の間に、日本の聴導犬と介護犬についての紹介があった。ほとんどの中国人は、聴導犬、介護犬を聞いたことさえないだろう。ベルが鳴った。目覚まし時計が鳴った。聴力の弱い人のそばに聴導犬はいて、注意してくれる。また介護犬は、車イスに座っている障害者の靴下を脱がせてあげたり、落ちたものを拾ってあげたりする。障害者の暮らしは、この聴導犬、介護犬によって大きく変わっていく。めまぐるしい万博会場ではこうした身近で便利なアイディア、日本人の努力が来場者に感激を与えるだろう。

「介護犬などを連れて、上海万博で実演させることは、介護犬に対する関心を高めたいだけでなく、これからますます多くの人が介護犬を介して社会に参加できるようになることを願っているからです」という日本の担当者の声を、新華通信社は大々的に流している。

水に囲まれている上海は、地理条件も大阪と似ている。大阪館の水をテーマにした展示は、水処理にしても、水の有効利用にしても、上海にとっては今後都市建設の重要な参考になると思われる。

100万人も日本から上海万博に来る。上海で世界最新の都市や暮らしの概念などを見ると同時に、中国に日本の生の情報も持ってくる。中国のマスコミはその生の情報を市民に詳細に伝えたいと考えている。

一度日本に接するチャンスがあったら、日本へ行ってみたいという気持ちも出てくる。次の日本での万博を待ち切れずに、その前に多くの中国人は日本に行くかもしれない。万博が日本への関心を高めたからである。

 

人民中国インターネット版 2010年9月19日

 

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