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今求められる日本語人材とは

2024-02-05 14:20:00 【关闭】 【打印】

植野友和=文  顧思騏=写真 

時代が変わればニーズも変わる 

近年、中国で日本語学習者が増加の一途をたどっている。国際交流基金が2021年に発表した「海外日本語教育機関調査」によると、中国は世界最大の日本語学習者を擁し、その数は105万7318人に上る。 

そのような日本語学習者にとって最大の関心は、学んだ日本語を生かせる仕事に就けるのかということだ。多くの場合、選択肢となるのは中国に進出している日系企業だが、そこで求められる人材像とは果たしてどのようなものなのか。06年に北京で日系人材紹介会社「ESR」を立ち上げ、中国の日本語学習者の就職サポートで豊富な経験を持つ同社の猿渡旭総経理に話を聞いた。 

05年から12年までは、日系企業ではコツコツと真面目に責任を持って仕事をする人が求められていました。それに対してここ10年、13年から現在では、真面目さや責任感に加えて自分で考えて行動を起こせる人というのが、どこの企業でも好まれます。 

今、さまざまな日系企業は同じ問題を抱えていて、それは平均年齢の高齢化です。ここ1520年で北京にある日系企業の業務の量や人数、売り上げはさほど増えていないんですね。そのような中で、日本人も中国人も含めてスタッフの年齢だけが上がっています。 

年齢が上がれば給料も上がり、毎年企業にとって人件費負担が重くなりますが、それに見合った利益を出せる人を欲しいというニーズです。 

企業の中で、今抱えている仕事、あるいは言われてやっている仕事だけではなく、自分が毎年上がる給料に見合った仕事をできるか、業績を上げられるのかということを考えて動ける人は、どこの日系企業でも大事にされます」 

猿渡氏によれば、そのような変化は日系企業の事情以外に、時代の変化も受けてのものなのだという。 

「高度成長期にはあくまでも頭数として、こういうビジネスがあるからこれだけの人数を採用したいけれど、間に合わないから人材会社に頼もうというシンプルなニーズがあります。それはある意味、質を問わない依頼です。しかし、経済が安定成長に入ると、全く違うニーズが出てきます。各企業が本当にこれだけの人数が必要なのか、このお給料を出す価値があるのかと人材を吟味するようになるんです」 

今の若者が持つ強みとは? 

中国は現在、高度成長から質の高い発展へと進んでいる。そのような中、企業側も人材に関して質を求めるようになったということだろう。では、中国の日本語人材にはその間、いかなる変化があったのか。 

「これはプラス面とマイナス面の両方があるのですが、まずマイナス面としては人々のチャレンジ精神ですね。今の若者は、やはり15年前や10年前の若者に比べると、その部分が少し弱くなったかなという認識です。経済全体が豊かになった分、若者は上の世代に比べてハングリーさが足りないように思います。 

また、プラス面というのは、考え方ですね。仕事をスタートからゴールまで一つの目標ポイントに対してどう進めたらいいのかを考える上で、今の若い人の方が思考の展開が早いです。 

具体的には、昔は営業マンタイプ、つまり実践型の人が多かったのですが、今はしっかりと考える力を持つマーケティングタイプの人が多いという感じですね。影響として一番大きいのはネットやSNSの普及で、若い方々の情報処理能力が高まっているのだと思います。皆さん毎日スマホでさまざまな情報を得て、それを処理しているわけですよね」 

では、能動性など仕事に対する姿勢以外に、スキルや日本語レベルについてはどのようなものが求められるのだろうか。 

「技術やスキルというよりは、社会経験をしっかり積んでいる方が求められます。仕事上のスキルは会社によって商品が違いますから、入社したら勉強すればいいですが、社会経験が全くないと、『こんなことも分からないのか』というところから教える必要があり、結構時間と労力がかかります」 

もっとも、日系企業に就職したいと考える中国の日本語人材の中には、多くの新卒者がいるはず。それらの方々にとっては、社会経験と言われてもぴんとこない部分があることは想像に難くない。若者にとって社会経験とはどのように身に付けていくべきものなのだろうか。 

「これは皆さん本当に真剣に考えてもらいたいのですが、すぐに投げ出さないことです。私の初めての会社勤めはシンガポール、つまり海外でした。働き始めて2~3週間で日本にいる姉に電話して、仕事を辞めたいと相談すると、何でなのと聞かれたので、大体30分話したんです。そうしたら姉が一言、『分かった。これからどんなにもっと理由が増えても、1年は必ず続けなさい』と言ったんですね。 

おそらくあのとき会社を辞めていたら、困難から逃げたいという姿勢は変わらないわけですから、次の会社も1~2カ月で辞めていたかもしれません。私は頑張って1年間やり続けたことで、今度はどこの会社、どんな業種でもやっていけるという自信にもなりました。そのような姿勢が今の若い人にとって一番大事なのではと思っています。 

後は、他の人が手を挙げなかったら自分が名乗り出て、他の人がやりたくない仕事を自分から進んでやることです。日系企業はとても分かりやすい組織で、頑張る人の姿をみんなしっかり見ているんです。先ほど申し上げた真面目さや責任感をどうすれば出せるのかというと、こういった本当に些細なところからなんですね」 

日系企業を選ぶメリット 

さて、ここまで猿渡氏に日系企業が求める人材像を語ってもらったわけだが、昔と違って日系企業の存在感が中国で相対的に弱くなっているという話はしばしば耳にするところだ。そもそも中国の日本語学習者にとって、日系企業の求人は現在も人気なのだろうか? 

「これまでと違い、中国の民営企業あるいは国有企業がファーストチョイスで次いで欧米企業、最後に日系企業という選択肢で、一番メインの原因はお給料です。日系企業は給料面では欧米企業だけでなく中国の大手民営企業にも追いついていません。今は日本語を勉強した人でも半分ぐらいは日系企業を最初から選ばないので、そこが私たちの悩みでもあります。 

しかし、日系企業には日系企業の良さがあります。例えば、最近ここ3、4年で増えてきたのが、一度チャレンジのために中国企業に転職したけれど、35歳を超えたらまた日系企業に戻りたいという方です。自分が定年まで働く姿がイメージできる、安定して働けるのは日系企業だと感じるそうです。 

また、日系企業の強みは企業文化です。これは仕事の進め方や独自の価値観、行動規範、経営理念などさまざまな面にわたりますが、日系企業は欧米企業や中国企業よりも、企業文化が一番濃い組織だと思いますし、そこから学べることはたくさんあります」 

 

植野友和 1977年生まれ、東京都出身。埼玉大学教養学部歴史学科卒。日本国内で出版社勤務、上海東華大学国際文化交流学院留学を経て、現在は中国外文局アジア太平洋広報センターで取材翻訳等を務める。 

 

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