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アモイで見た開発とエコの両立

2025-04-17 15:59:00 【关闭】 【打印】

植野友和=文写真 

アモイの実践が示すもの 

開発か、環境保護か。かつて2択問題だったこのテーマに、中国によって新たな答えが提示されている。それが「人と自然が調和共生する現代化」であり、この概念を象徴する都市の一つとしてしばしば名前が挙がるのが、福建省廈門(アモイ)市である。 

中国東南部の沿海地域に位置するアモイ市は改革開放後、経済特区に指定された都市で、中国でもとりわけ早くから発展を遂げた一方、その代償として環境問題に直面してきた。特に深刻だったのは水質汚染で、1980年代にはアモイ島の西南部に位置する篔簹(うん とう)湖は「臭水湖」と呼ばれていたのだという。だが、汚染源となる企業の閉鎖や移転、汚水処理設備の整備、大規模なしゅんせつといった取り組みによって現在では水質が大幅に改善し、白鷺やコクチョウが舞う市民の憩いの場となっている。 

アモイの生態系の回復や自然保護に関する成功事例は枚挙にいとまがない。生活工業廃水の浄化のためにハイテクを導入した浄水場が整備され、かつて汚泥が堆積していた汽水域にはマングローブが植えられた。また、水質の向上に伴い、アモイ一帯の海域は「海のパンダ」と称される希少動物である中華白イルカの個体数が増え続けている。そして特筆すべきは、このような環境保護の取り組みが、都市の発展と調和がとれた形で推し進められている点である。 

自然と調和した発展は時代のすう勢 

筆者は過去に2度アモイを訪れたことがあるのだが、中国、さらにはアジア指折りの大都市でありながら、実に自然を身近に感じる場所だという印象を受けた。また、都市のありとあらゆる場所で、美しく住みよい環境を守ろうとする現地の人々の努力と創意が感じられた。例えば、浄水場を訪れた際、屋上に公園が設けられているというので行ってみると、そこはエメラルドグリーンの海を一望できる絶好の癒やしスポットとなっていて、自分が行ったときには雨上がりだったこともあり虹まで見えた。また、篔簹湖では散策を楽しむ市民と同じくらい多くの、というのはオーバーだがとにかく大勢の清掃員やボランティアの人々が絶え間なく掃除に勤しんでいて、環境に対する意識の高さが感じられた。人と自然の調和共生のためのアモイの実践はモデルケースとなり、同様の取り組みが中国各地で盛んに行われている。もはやただ発展を追い求める時代ではないということを、中国政府、そして中国の人々は、はっきりと認識しているだけでなく、実際に行動に移している。 

発展途上国や後発開発途上国では、しばしば環境よりも成長が優先される。貧困にあえぐ人々が環境のことを考える余裕を持てないのは理解できるし、ある意味やむを得ないことだ。しかし、すでに十分豊かになった先進国でも、環境を顧みず開発が進められることは珍しくない。米国の新政権によるパリ協定脱退、例の大統領の「(化石燃料を)掘って、掘って、掘りまくれ!」といった発言は、その分かりやすい例と言える。 

中国と米国の現政権のどちらの姿勢が未来に対して責任を担うものであるか。もっとストレートに言えば、マトモであるか。アモイの美しい街並みを思い返していると、その答えは明白であるように感じられた。 

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