おもてなし(盛情款待)

2019-10-09 08:39:05

=福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

 

お客さんが来れば、お茶を出し、腕によりをかけて料理をつくり、相手が気持ちよく過ごせるようにいろいろ気を使って、もてなす。これは、日本のみならず、万国共通の精神だろう。しかし、外国人観光客の急増のためなのか、はたまた東京オリンピックに向けてなのか、最近やたらと「日本的おもてなし」とか「おもてなし文化」いう言葉を聞くようになった。

如果家里来了客人,我们通常会上茶,使出看家本领制作美食,想尽办法让客人度过一段心情愉快的时光,这就是盛情款待。我想这不仅仅是日本的待客之道,也是世界各国所共有的礼仪宗旨。然而,不知是外国游客激增的缘故,还是为了迎接东京奥运会的召开,最近,我忽然听到大量诸如“日式款待”“款待文化”这样的词汇。

 

「おもてなし」は、「もてなす」の名詞形「もてなし」に丁寧の「お」をつけた言葉であり、「おもてなし協会」のホームページによれば、もっとも洗練され上品なマナーによる、 日本の伝統的なホスピタリティの方法とのことで、当たり前のサービス、例えばおしぼりを出すだけでは「おもてなし」とは言えず、出すときにねぎらう言葉を添えるとか、レモンなどの爽やかな香りのするおしぼりを使うとか、予想外の心のこもったサービスを受けて人は感動する、それが「おもてなし」の心であるという。

「おもてなし(盛情款待)是在动词「もてなす」的名词形「もてなし」前面加上表示礼貌的接头词「お」而形成的词汇,据“款待协会”主页上的介绍称,这源自最讲究最高雅的礼仪,是日本传统的“热情周到”服务的体现,而像仅仅递上毛巾这种起码的服务,不能算是“盛情款待”,要在递毛巾的同时附加一些慰劳对方辛苦的话,或是使用散发着柠檬等清爽香气的毛巾,让客人为享受到意想不到的贴心服务而感动,这才是“盛情款待”的真谛。

 

でも、私は「おもてなし」がちょっと苦手だ。「おもてなし」というと、高級旅館で仲居さんが3つ指ついて、「ようこそいらっしゃいました」と頭を下げる場面を連想するからだ。もともと庶民の生まれなもので、人にかしずかれるようなサービスを受けることに慣れておらず、こうした高級旅館では逆に「人に気を配られている」ことが気になって、くつろげない。おもてなしの分、料金を上乗せされるくらいなら、いっそのこと何のサービスもなく安いほうが気楽ではるかにいいと感じる。

这么说来,我对“盛情款待”有点儿难以消受。因为“盛情款待”让我联想到高级宾馆女服务员三指点地行最敬礼,低头说“欢迎光临”的场面。自己本来就是个普通百姓,不习惯被人伺候,住了高级宾馆反而要“被他人照顾”,会感到很拘束。我觉得如果因为享受了这样的盛情款待而要付出昂贵的住宿费,还不如没有任何服务享受便宜价格更加舒心。

 

しかし、いたずらに高級サービスを提供し、その見返りとして高い料金を請求するよう行為は、実は「おもてなし」とは言えない。お金を払ってもらうからその見返りを提供するというのでは、サービスの域を出ず、「おもてなし」には、相手に対する純粋な思いやりが不可欠だからだ。その人が求めるものをその人の立場に立って考え、そっと控えめに、押しつけがましくならないように差し出す。それが日本本来の「おもてなし」だと思う。

但是,硬要提供高级服务,相应收取昂贵费用的行为,说实话算不上是“盛情款待”。收了对方的钱而提供相应的服务,这是服务的本份。要想做到“盛情款待”,必须要对客人付出纯粹的关怀。站在对方的立场思考对方所需,不动声色地、低调地、不强加于人地奉献,我觉得这才是日式“盛情款待”的初心。

注釈

三つ指つくとは、畳に正座してお辞儀をする際に、3本の指を床につけて頭を下げるしぐさのことを指し、丁寧に礼をすることの喩え。「三つ指ついて挨拶する」はあくまで慣用句であり、実際に丁寧なあいさつをするときには3本の指ではなく、すべての指を床につけるのが正しいマナー。

三指点地行最敬礼,就是端坐在榻榻米上行礼的时候,将三根手指(食指、中指、无名指)拄地,同时低头,比喻恭恭敬敬地行礼。“三指点地问候”其实是个惯用语,实际上真正恭恭敬敬问候的时候,不仅仅是三根手指,而是要将所有手指都拄在地上才是规范的礼仪。

 

 

 

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