とりい(鸟居)

2020-09-15 14:00:50

文/福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

 

中国の“牌楼”を説明するとき、しばしば、「日本の鳥居のようなもの」と表現される。境界を示すものとしての役割は同じだが、それ以外は違うところが多いため、私はあまりこの表現は使いたくなくて、「装飾作用のある門状の建築物」などという説明を付け加えることが多い。

向日本人解释什么是中国的“牌楼”时,经常有人会说“就是像日本鸟居一样的东西”。尽管二者的作用相同,都是用来划分界限的,但除此以外,还有很多不同之处。所以,我不太喜欢这样来解释,一般会补充说明“是一种具有装饰作用的门状建筑物”。

 

鳥居は神社の入り口に設置され、ここからは神域であるということを示すものだ。その起源については諸説あって定まらないが、日本人は昔から大きな岩、大木、滝など神様がいると感じられるような神秘的な場所に注連縄(しめなわ)注1を張り、神聖な場所であるということを示してきた。一説ではそのしめ縄が鳥居になったと言われる。そのためなのか、山や岩などをご神体注2とする場所では、神社の建物がなくとも鳥居だけあるといったこともある。

鸟居位于神社的入口处,以此表示从这里开始,就将进入神的领域。关于鸟居的起源,并没有定论,不过,日本人从古时起,就会在巨石、大树和瀑布等能够感受到神灵存在的神秘场所拦上稻草绳,以显示这里是圣域。有一种说法认为,稻草绳最终演变成了鸟居。或许是出于这个原因,据说在一些崇拜山石的地方,即便没有神社,也会有鸟居。

 

鳥居の形は、神社の系統ごとに異なり、全部で60種類以上ある。よくある赤く塗られたものだけでなく、白や黒などのものもある。複数の鳥居がある場合も多く、一の鳥居、二の鳥居と数え、それを潜り抜けるほどに神聖な場所に近づくことになる。

不同神社系统的鸟居形状也不尽相同,总共有60余种。除了最常见的红色鸟居外,还有白色或黑色的鸟居。并且很多地方不只有一个鸟居,会被依次命名为第一鸟居、第二鸟居,每穿过一个,就意味着离圣域更近一步。

 

日本の神社で、赤く塗られた小さな鳥居がびっしりと立ち並ぶ光景を目にしたことがある人もいるだろう。これは各地の稲荷(いなり)神社によくみられるもので、千本鳥居といい、その中を「通って」お参りすることで、願いごとが「通る(=叶う)」ように祈るものだ。願い事が叶った時、お礼としてその神社に鳥居を奉納するため、時間とともに鳥居の数はどんどん増えて来る。全国に3万社もあるといわれる稲荷神社の総本宮である京都の伏見稲荷大社では、千本鳥居でなく、「万本鳥居」と言ったほうがいいくらいの数があるそうだ。

一定有人在日本的神社中,看到过红色小鸟居鳞次栉比的景象吧。这在各地供奉五谷神的稻荷神社中很常见,叫做千本鸟居,人们通过依次穿行参拜,祈祷实现心愿。愿望实现后,人们会向该神社敬献鸟居还愿,随着时间的推移,鸟居的数量就越来越多。如今,在日本全国3万座稻荷神社的总本宫京都伏见稻荷大社,据说已经不只是“千本鸟居”,而是“万本鸟居”的规模了。

 

宮島の厳島神社では、大鳥居が海の中に屹立する。この鳥居は奈良の大仏とほぼ同じ16メートルの高さがある大きなもので、重要文化財に指定されている。美しい大自然の中の凛とした立ち姿をみせる鳥居に神聖さを感じ、神様の存在を身近に感じる。こういった心情が、いまだ神社が人々の信仰を集める理由となっているのだろう。

在广岛县宫岛的严岛神社,一座巨大的鸟居屹立在大海之中。该鸟居高达16米,据说和奈良大佛相当,被日本政府指定为重点文物。从这座身居美丽大自然中的威严鸟居身上,人们不仅能够领会神圣,而且能够更深切地感知神灵的存在。或许因为这种奇妙的感悟,神社至今都是日本人的信仰中心。

                           注釈 

注1 稲妻のような形の紙垂(しで)をつけた縄のことで、神聖な空間を区画するためのもの。

拴有“之字形”纸条的绳子,用来分隔神界和人界。

 

(左)沖ノ島(右)山輪山

注2 日本人は昔から、自然のあらゆるところに神が宿ると考え、神が宿ったもののことをご神体といい、崇拝の対象とされる。大岩や大木などが多いが、沖ノ島、三輪山など島全体、山全体ということもある。また、鏡や剣などの物のこともある。

古时候,日本人认为大自然中的每个角落都栖息着神灵,栖息着神灵的地方叫作“神体”,被视为崇拜的对象。神体通常指巨石或大树等,也有时指冲之岛或奈良三轮山这样的整座岛屿或整座山。还有一些镜子或宝剑等物品也被视为神体。

 

 

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