出る杭は打たれる(出头的椽子先烂)

2021-01-07 09:58:22

/福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

 

かつて共産主義が盛んだった頃、共産圏の人が日本を見て、「日本こそ共産主義国ではないか?」と言ったそうな。それは、日本人の「和」を重んじ、人間関係を円滑にしてゆくことを重んじる性質が、まるで共産主義の平等を重んじる精神のようであると感じたのだろう。しかし、日本人のこうした考え方は、逆に人間関係の調和を乱す人間を嫌うということにもつながり、それを典型的に示しているのが「出る杭は打たれる」という言葉だ。

据说在共产主义鼎盛时期,共产圈的人曾这样评价日本:“日本才是共产主义国家吧?”其理由想必是觉得日本人重视“和”的精神,重视协调人际关系,这和共产主义重视平等的精神是相通的。然而,日本人的这种思维方式,其实是出于讨厌破坏人际关系和谐的人,“出头的椽(chuán)子先烂”就是表达这一观点的典型词汇。

 

これは、「抜きん出た才能や能力を持つ者が憎まれる」、あるいは「人々の調和を乱す、人間関係の円滑さを損なうような目立った行動をする人は嫌われ、叩かれる」という現象を指す言葉で、例を挙げれば、クラスの中でずば抜けて勉強がよくでき、先生に気に入られている子がいたとしたら、その子はクラス中の嫉妬の対象となり、意地悪をされたり、友達の輪からはずされたりするといったような現象だ。こうした子どもの世界で今も昔も止むことのない「集団いじめ(大勢で一人の子を仲間外れにしたりしていじめること)」は、「人とは違う目立つ子」が対象になるものであり、「出る杭は打たれる」のひとつの例と言えるだろう。

该词指“拥有出众才华和能力的人遭人忌恨”或“破坏人与人之间的和谐,做出有损和谐人际关系这种引人注目行为的人让人嫌弃,会遭人攻击”。举例说明,比如在班级中出类拔萃,学习成绩非常好,备受老师喜爱的学生,就会成为全班嫉妒的对象,遭人刁难,受人排挤。在这类孩子的世界中,从未停止过遭受“集体凌辱(许多人排挤、欺负一个人的行为)”。而这一现象,就是“和他人相比格外突出的孩子”会成为攻击对象,即“出头的椽子先烂(枪打出头鸟、树大招风)”的实例之一。

 

日本人の「和」を重んじるがゆえの欠点が、この言葉に集約されているとも言え、「能ある鷹は爪を隠す」という言葉もあるように、優れた能力を持つ人は、それを人に見せつけることなく、そんな能力などないような顔をして、目立たないようにしているのが良いとされている。

可以说日本人重视“和”的弊端也集中体现在这个词汇中,就像“有能耐的老鹰总是把爪子藏起来”所表达的那样,日本人认为拥有优秀才能的人,最好不要向他人夸示自己的才能,要装作自己没有那样的能力,深藏不露。

 

「出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない」。これは、松下電器産業の創立者である松下幸之助の名言だ。確かに、自分とは出来が違うまったく異次元の人間だと認識してしまうと、人は足を引っ張るのをやめてしまうものだ。ついでに言えば、「出ない杭は腐る」という言葉もあるそうで、人間関係の在り方はとにもかくにも難しい。

“出头的椽子先烂,但绝对突出的椽子就无法被撼动。”这是松下电器创始人松下幸之助先生的名言。的确,当你意识到对方是和自己实力截然不同的异次元人类时,自然就不会想去拖人家的后腿了。顺便提一下,据说还有“不出头的椽子腐烂”这种表述,总之就是形容处理人际关系是非常难的。

 

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