アジサイとカタツムリ(绣球花和蜗牛)

2022-07-04 09:09:37

 

/福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

 

  

じめじめと陰鬱な日が続く梅雨の6月、アジサイの鮮やかな青や紫が各所を彩っている。花が少ないこの時期、アジサイの名所はどこも多くの人を集めている。

潮湿阴郁的6月梅雨季,到处点缀着色彩鲜艳的绣球花,或蓝或紫。在鲜花稀少的这一时节只要是观赏绣球花的名胜,总是人头攒动。

 

アジサイは日本原産の花で、ガクアジサイといわれる花の数が少ない品種が原種である。江戸時代、オランダ商館医として日本にやって来たドイツ人医師・博物学者のシーボルト(1796~1866)が、ヨーロッパにこの花を紹介した。

绣球花原产于日本,其原种是被称为额紫阳花,且花朵数量稀少的品种。江户时代,以荷兰商馆医生身份来到日本的德国医生、博物学家西博尔德 1796~1866)将这种花介绍到了欧洲。

 

ヨーロッパに伝えられたガクアジサイは、品種改良により毬のようにまるい花となり、さらにそれが日本に逆輸入されて各地に広まったのが、今もっともポピュラーな西洋アジサイだ。しかし実際には、花のようにみえる部分は、本当は花ではなく、ガクが花弁のように大きく発達した「装飾花」と呼ばれるものだ。

传入欧洲的额紫阳花,经过品种改良,成为了像球一样的圆形花朵,之后又被进口回日本,在各地传播开来,这就是如今最为流行的西洋绣球花。然而,看起来像花的部分,其实并不是真正的花,而是像花瓣一样硕大发达,被称作“装饰花”的花萼。

 

日本ではアジサイの多くがこの時期にふさわしいしっとりした青や紫であるが、この花は植えられた土壌によって色を変える。土壌がアルカリ性だと赤っぽくなり、酸性だと青っぽくなる。実際、私がイタリアでみたアジサイはほとんどがピンクだった。

在日本,大多数绣球花都是契合梅雨季氛围的,沉静的蓝色或紫色,但这种花会根据种植土壤的不同改变颜色。土壤呈碱性则花色偏红,呈酸性则花色偏蓝。实际上,我在意大利看到的绣球花几乎都是粉色。

 

アジサイの名前は藍色の花が集まるという意味の「あづさあい(集真藍)」が変化したものと言われ、漢字では紫陽花と書く。この名は平安時代中期の歌人・学者である源順(みなもとの したごう)が、中国の白居易の詩に登場する「紫陽花」の花が、日本で自生していたガクアジサイと同じ花だと思い込み(実際には別の花だった)、この漢字を当てたと言われている。

绣球花的名字,据说是从表示蓝色花朵汇集的“集真蓝”一词演变而来,汉字写作紫阳花。是由平安时代中期的诗人、学者源顺标注的,他认为中国唐代诗人白居易诗中的“紫阳花”,就是日本土生土长的额紫阳花(实际上是两种不同的花)。

 

しかし、その楚々とした風情が現代の日本人に好まれる割には、文化史上、アジサイが歌に詠まれたり、絵に描かれたりした例は、さほど多くない。時とともに色を変えていくことから「七変化」などの別名もあり、それが節操を重んじる武士にあまり好まれなかったとも、生命力が強く、栽培がとても簡単であるため、植木職人たちに好まれなかったとも言われている。

然而,虽然其楚楚动人的风情被现代日本人所喜爱,但在文化史上,却很少有人将之写入诗歌或描绘在画作中。有人说是因为绣球花别名“七变化”,会随着时间的变化而改变颜色,由此不太受珍视节操的武士所喜爱;也有说法认为绣球花生命力旺盛,容易栽培没有挑战性,所以园艺匠人也不喜欢。

 

また、日本人がアジサイから連想するのがカタツムリだ。湿気を好むカタツムリは、ちょうどアジサイが咲く頃に活発に活動し、アジサイの大きな花や葉を良い隠れ場所としていて、ベストコンビとなっている。カタツムリの呼び名は地方によって異なり、デンデンムシ、マイマイ、{かぎゅう}蝸牛など、100以上もの別名があるそうだ。民俗学者の柳田国男は著書『蝸牛考』の中で、カタツムリの方言の分布から「方言周圏論」を導き出している

日本人从绣球花还会联想到蜗牛。喜好湿气的蜗牛,刚好在绣球花盛开的时节最为活跃,它们将绣球花硕大的花朵和叶片作为完美藏身处,二者简直是最佳搭档。蜗牛的名称因地而异,有デンデンムシ」「マイマイ」「{かぎゅう}蝸牛」100多个别名。民俗学家柳田国男在著作《蜗牛考》中,根据蜗牛方言叫法的分布,得出了“方言周圈论”。

注釈

方言の地理的分布は同心円状をなしており、文化的中心地付近で新しい言い方が広まり、遠い所には古い言い方が残るという考え方。

 

方言周圈论认为,方言的地理分布呈同心圆状,新的说法在文化中心附近传播,而在偏远地区,则保留着古老的说法。

 

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