小麦粉を使った点心

2024-01-10 14:56:00

中原発祥の小麦粉料理 

古代中国における小麦粉料理は、私たちが今一番よく食べている小麦だけでなく、キビ、アワ、マメ、アサなどの五穀も使われていた。出土した新石器時代の文化財が証明しているように、私たちの祖先は7000年以上前から石臼と麺棒を使っていた。2000年以上前の春秋時代末期には、魯国(現在の山東省)の公輸班が石臼を発明し、五穀を粒から粉に加工することがより便利になった。後の人々は公輸班を魯班と呼び、中国の「工匠の祖師」として慕った。戦国時代になると、せいろ、銅の鉄板鍋などの調理器具が次々と発明され、中国の食文化は絶えず進化し改良され、各地で形や色が異なるおいしい食べ物が生まれた。 

中国の北方地域では、小麦粉料理を主食とする食習慣は漢代以降に形成されたもので、後世の(ビン)(小麦粉をこねて円盤状にして焼いたもの)やパンを作る職人たちは店内に漢の宣帝の肖像を掲げ、祖師としてあがめるようになった。北魏時代には、『斉民要術』という本が出版され、その中には十数種類もの餅の作り方や材料が詳しく記されている。そして、発酵は小麦粉料理を作る際に最も重要なポイントで、当時すでにさまざまな発酵方法に関する記録があり、小麦粉の生地に牛乳や鶏卵を混ぜる割合まで研究されていた。晋代に出版された『餅賦』には、小麦粉を「(ふる)う」という動作が記されている。この「篩う」によって、各家庭では、細かくて白く、きれいな小麦粉を作り出すことができるようになった。さらに「絹篩」という言葉まであって、小麦粉の質感はより細かいものとなった。ここから分かるように、西暦300年頃には、小麦粉料理はすでに中国北方地方の人々の主食になっていたのである。 

小麦粉料理の発祥地の山西省は黄土高原に位置し、緯度と温度がさまざまな種類の小麦や雑穀の生育に適しているため、同地の小麦粉料理の種類は200以上にも及び、「一麺百変、一麺百味(百通りの変化、百通りの味のある小麦粉料理)」と言われている。生地をゆでる技術だけでも、手法の違いによって十数種類に分けられている。刀削麺、猫耳(形が猫の耳に似ている麺)、羊肉泡(ちぎったパン入りの羊肉スープ)、岐山子麺(岐山県発祥のひき肉入りスープ麺)などは、漢唐の時代から今日まで伝わる古典的な小麦粉料理だ。このほか、陝西省の湯麺(みじん切り具材たっぷりのつけ麺)、蒜麺(ニンニクが効いたたれと平たい麺のつけ麺)、宮廷罐罐麺(つぼに入った刀削麺)なども独特な味わいがある。イタリアのピザやパスタは、元代にマルコポーロが2度にわたって山西省太原県を訪れて調査し、帰国後に現地の食材で改良したものにまでさかのぼることができる。だから私たちは「人類の小麦粉料理の文化は中国から始まった」と誇りを持って言えるのだ。 

長い発展の歴史を経てきた小麦粉料理は今日、各国で単一の製造技術や、小麦本来の味を打ち消すようなさまざまな添加物が使われているが、私たちのように、1700年以上の小麦粉料理の歴史や、数十種類の小麦粉料理の分類と豊富な製造技術を持つ国は他にない。 

私が育った台湾は亜熱帯に位置し、米が豊富にとれ、米飯を主食としていた。しかし、1949年前後に多くの北方の人が台湾に移住し、食文化の変化をもたらした。多くの南方の人が影響を受け、だんだんと小麦粉料理を食べることが習慣になった。田舎のおばあさんまでもマントウや水ギョーザを作れるようになった。「台湾牛肉麺(台湾牛肉ラーメン)」は、各省の味を広く取り入れ、材料と作り方を新しく改良したことで、有名な文化的食品となった。大陸部からの観光客も台湾に来たら必ず味わう一品だ。 

小麦粉の分類 

一般の主婦が自宅で小麦粉料理を作るとき、小麦の胚乳だけを取って作られた市販の精製小麦粉を使うことが多い。全粒粉のパンを作るときに使う全粒粉は、小麦の粒を丸ごとひいて作られる。一部の老舗パン店では、伝統的な石臼でひいた粉を使うことにこだわり、焼き上がったパンには小麦の皮や粒が残っている。精白されていない全粒粉食品を食べることは小麦粉で作った加工食品を食べるよりも健康的だという考えが近年の栄養学分野で流行している。よくかまなければならないものは、それだけ栄養価が高いと認識されるようになった。これはぜひとも両親から子どもたちに教えるべき良い食習慣だと思う。最近では、そばもはやっている。そばに含まれる成分は、心血管の健康や美容にも効果的だ。しかし、そばは中医学において「寒性」の食材に属するため、腸の動きが悪い人にはあまり向かない食品だ。 

小麦粉の分類について、西洋の人々は混合した万能粉を使うことが多いが、東洋では成分の等級にこだわりがあり、小麦粉に含まれるタンパク質の割合によって、強力粉、中力粉、薄力粉の3種類に分けられる。小麦粉の強さを測る基準として、通常は、500の小麦粉に250の水を加えて生地にし、それを水で洗う。黄土色のヌメっとしたグルテンが残るので、水分を吸い取って重さを量り、その数字を500で割ると、小麦粉の強さが分かる。強力粉は約38%以上、中力粉は約2638%の間、薄力粉は約26%以下だ。 

中国では、市販の小麦粉は通常、以下のように細分される。 

特強力粉(特高筋粉)は、()や油条(中華風揚げパン)、マカロニなどを作るのに使われる。 

強力粉(高筋粉)は、タンパク質が115%以上、吸水量が6366%で、通常春小麦と冬小麦の一部を混ぜ、パンや麺を作るのに適している。薄力粉を加えると、ワッフルやドーナツ、洋風フルーツケーキなどが作れる。 

中力粉(中筋粉)は、タンパク質が95%以上、吸水量が5055%で、通常冬小麦だけをひいた粉で、中華風の麺料理や菓子、洋菓子などを作るのに使われる。 

薄力粉(低筋粉)は、タンパク質が7~95%、吸水量が4853%で、ケーキを作るのに適している。また、中華風蒸しパンや核桃酥(中華風クルミクッキー)、洋風のクッキーなどを作るのにも適している。 

小麦粉の強さが強いほど、吸水率も高くなる。動物の内臓の下処理をするときは、小麦粉を使うときれいに洗えるし、皿や鍋を洗う洗剤としても使える。 

小麦粉に含まれるタンパク質のうち、90%は水に溶けないもので、10%は水に溶ける。水を加えて混ぜると、伸びやすさと弾力が生まれる。小麦粉料理の食感は、この伸びやすさによって大きく左右される。グルテンは、その中のグルテニンとグリアジンという二つのタンパク質が絡み合ってできるもの。混ぜた生地を流水の下でこねながら洗い、でんぷんや水溶性の物質を全て洗い流し、残ったものがグルテンである。中国の精進料理がおいしい理由の一つはグルテンをよく使っているからだ。中国の各省にはそれぞれ、グルテンを使ったさまざまな独特の料理がある。 

人民中国インターネット版

 

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