『幾回清夢到花前』

2020-10-21 15:15:57

 

周舒 著 岩崎常正

人を花に例えるのは中国古典文学の伝統技法の一つだ。中国四大名著に数えられる『紅楼夢』は、この伝統技法を使った最高峰の作品といわれる。同書は『紅楼夢』に対する著者のは『紅楼夢』の女性のイメージにぴったりだった。同書にはこのほか、清代の光緒3理解と感想を草木に託し、『紅楼夢』に描かれている43人の女性のイメージと波乱に満ちた人生を43種類の植物になぞらえたユニークな視点の本だ。この43点の植物の絵が、国立国会図書館が所蔵する江戸時代の有名な本草学者・岩崎常正(灌園)(1786~1842年)の『本草図譜』から選ばれたものであるということは非常に興味深い。繊細で上品な岩崎の画風4(1908)年に出版された小説の人物木版画94点が収録されている。美しく充実した一冊だ。

  
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