まず中日韓の「小循環」構築を ポスト・コロナ時代の世界経済発展

2020-07-20 11:20:02

陳言=文

13期全国人民代表大会第3回会議が閉幕した528日、李克強総理は内外記者の質問に対して、「中日韓は隣国であり、われわれは経済大循環の中に中日韓の小循環を確立したいと願っている」と強調した。ポスト・コロナ時代の中国と東アジア地域、世界経済との関係について立場を鮮明にした。

今年下半期の世界経済を展望すると、中国がまず新型コロナウイルスの感染拡大から抜け出した。日本と韓国の感染状況は、欧州や米国に比べるとかなり軽微だった。米国ではコロナウイルス以外に人種差別による深刻な対立が起き、国際社会から離脱して、独自路線を歩んでいる。これらの新たな状況から見て、米国が早期に経済を回復できるか否か、不確定要素が山積みだ。英国の欧州連合(EU)離脱の観点から見ると、欧州の混乱は始まったばかりだ。過去100年になかった大きな変動期において、孤立独自の路線を行くか、国際協調の役割を継続するか、各国の選択は一致していない。

中国は四十数年前、決然として改革開放に向かって歩み始め、自ら世界経済に溶け込み、巨大な発展を手に入れた。今日、中国はなお改革開放を加速し、世界経済の受益者から大転換し、世界経済を発展させる大きな力へと変化している。さらに世界の経済大循環に加わり、中国は世界が不確定要素にあふれている今、明確な姿勢を打ち出している。


武漢・湖北封じ込め策奏功

世界の大局を眺めると、新型コロナウイルスの感染拡大によって、数多くの企業がわずか数カ月の間に営業規模が30%縮小し、その7割を今年度目標の最低ラインにしている。観光、飲食を含むサービス産業の全面的な回復はほとんど不可能だ。

それと比較すると、中国は1月に感染症に襲われたが、素早く武漢市の都市封鎖(ロックダウン)に踏み切り、感染症をほぼ武漢市と湖北省に抑え込み、拡散状況にはさせず、中国の大部分の地域の経済は大きな影響は受けなかった。3月に武漢が最も困難な時期を抜け出した後、中国全土はすでにほぼ正常な状態に戻り始めていた。4月に発表された各種の経済統計データは、かなり多くの項目が前年同期比を上回った。

一つの大国が感染症を局部的な地域に封じ込め、国を挙げて処理に取り組んだことは、中国と他国の違いを示し、感染拡大が沈静化した後、社会・経済を正常な軌道に戻すには、雇用の保障と、消費の促進は重要な手段だった。

感染拡大から真っ先に抜け出した中国は、世界150カ国余りに防疫物資を提供した。5月下旬時点で、マスク568億枚(全世界の人々1人当たり7枚に相当)、防護服2億5000万着を輸出した。

世界各国の経済が深刻なダメージを受けている現在、中国が開放拡大の継続を宣言し、各国製品の輸入を回復・拡大することによって、各国の経済回復に可能な限りの支援を提供している。巨大な中国市場は、世界各国が景気の不確実性に悩んでいる今、希望を与えている。


「大循環」は国際協定が不可欠

世界の経済、貿易取引の拡大には、関連する国際協定の締結が不可欠だ。

日本の専門家は次のように認識している。国際的な経済・貿易組織には、そのハードルが低い順に、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、中日韓自由貿易協定(FTA)から、さらに全面的に進んだ「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(CPTPP)があり、この中で、CPTPPは2018年1230日に発効している。

中日韓FTAは02年にすでに提起されている。昨年の中日韓3国の国内総生産(GDP)はそれぞれ、14兆4000億㌦、5兆2100億㌦、1兆6400億㌦で、合計すると21兆2500億㌦となった。中日韓FTAが発効すれば、GDPの規模だけでなく、成長率、世界経済発展のけん引力で巨大な役割を発揮する。そのうち中韓は15年6月1日、正式に協定に署名している。中日韓FTAは東アジア経済安定の礎石であり、日本が積極的な姿勢をとれば、その役割はさらに大きくなる。

RCEPは東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国が提起し、中日韓に参加を呼び掛け、日本の提起でオーストラリア、ニュージーランド、インドが交渉国となった。日本の学者によると、インドの交渉参加を促す主な目的は中国をけん制するためだ。しかしインドは、RCEP協定交渉から離脱の姿勢を明確にしている。インドの離脱は当然、日本に影響する。日本はインドが調印しなくても、RCEPに対する慎重な姿勢は変わらない。年内にインドを翻意させ、16カ国が参加するRCEP設立には多くの困難が立ちはだかっている。しかし、日本がインドを除く15カ国の先行調印に同意すれば、協定締結は可能だ。

CPTPPは日本主導の経済協定である。米国などの国々は本来、世界最大の貿易国・中国を排除し、ニュージーランドなどを参加させる環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を主張していた。日本のメディアの言い方を借りれば、日本は米国のこうした姿勢に大いに賛同していた。しかし、後に米国がTPP不参加を選択すると、日本はCPTPP設立を主導した。CPTPPはGDP規模において、世界の貿易総量から見て、もし中米のような大国が参加しなければ、実際的な意義は大きくない。しかし、日本が期待する米国の再加入は、今のところ現実的ではない。


中国はCPTPPに前向き

中国はすでにCPTPP参加に前向きの姿勢を示していて、中国の参加は国際経済上のCPTPPの位置付けを変え、重要な役割を発揮するだろう。

新型コロナウイルスの影響で、グローバル産業チェーンにかなり多くの断裂現象が起きている。グローバル貿易の減少で、地域貿易、域内産業チェーンの再構築はますます重要になってきた。中でも、中日韓FTA、インドを除くRCEPおよび太平洋にまたがるCPTPPに新たな意義が出てきた。

ポスト・コロナ時代に入り、すでに中国経済は安定的に発展し、日韓経済の回復は欧米を上回っている。東アジア経済の発展は今後数年、これまでの強靭な勢いを保持し、グローバル産業チェーンはまずアジアにおいて再構築されるだろう。この「小循環」はASEANなどに発展をもたらし、ついでに太平洋沿岸の経済の安定を保証するだろう。

世界経済の大循環は、小循環の良好な発展を頼りに初めて正常な回転が可能になる。

 

河北省の秦皇島港に停泊中のコンテナ船「新チューリップ号」。同船は韓国・仁川から4月22日に入港。貨物の一部はさらに列車でモンゴルに向かった。すでにコロナ後の東アジア地域経済は回復しつつある(新華社)

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