両会から見る経済の安定的発展 技術革新を推進力に

2025-04-17 14:11:00

月4日と5日、中国人民政治協商会議全国委員会(全国政協)および全国人民代表大会(全人代)がそれぞれ開幕し、年に一度の全国両会が予定通り始まった。3月5日は二十四節気のうち3番目の節気に当たる啓蟄(けいちつ)でもある。この時節、北京の大半の公園では植物の剪定がおおむね終わり、春を迎える準備が整う。また、1年の経済運営もこの時期から正式に幕開けとなる。春節前後に回復した消費に関するデータから見て、中国経済は持続的成長のすう勢を示しており、幸先の良いスタートを切った。 

世界経済はそもそも地域紛争の影響を受けて発展のスピードが緩慢になっている上、今年に入って以降、一部の国が高関税政策を打ち出したことで、国際貿易はいっそう妨げられている。国際通貨基金(IMF)が1月に発表した2025年世界経済見通し改訂版は、世界経済の成長率を昨年の32%から微増となる33%と予測している。その根拠とされた比較的大きな要因としては、新興市場国家と発展途上国が現在の経済成長のスピードを保ち、日本やドイツがマイナス成長からプラス成長に転じる見込みであることが挙げられる。 

IMFが予測した中国の国内総生産(GDP)の成長率は昨年の48%(実際には5%の成長だった)から下方修正されて今年は46%となっているが、両会は中国の今年の成長率目標を5%前後とし、昨年の成長速度を保つことが打ち出された。 

中国経済が安定的発展を維持できると信ずる根拠は積極的な財政支出、消費の拡大、国内の不動産業の安定化、株式市場の振興など、多くの要素を挙げることができるが、新たな技術が大量に生まれ、民営企業が技術面で絶えずブラッシュアップを行っていることも、中国経済の安定的発展で決して軽視できない役割を果たしている。 

技術革新の役割の重視 

技術革新は中国の経済成長の重要な推進力だ。 

政府活動報告は昨年の中国の成果について、「食糧生産量は初めて7億の大台に乗り、1当たりの収穫高は7575増加した。ハイテク製造業、設備製造業の付加価値はそれぞれ89%、77%伸び、新エネルギー車の年間生産台数は1300万台を突破した。情報通信ソフトウエア情報技術サービス業とリースビジネスサービス業の付加価値はそれぞれ109%、104%伸びた」と指摘しており、科学技術は中国人の食の問題を解決し、今後の安定的な食糧供給を担保している。また、中国の工業製造能力を絶えず向上させ、新たな製品やサービスを通じて中国の産業の様相を変えている。 

国の経済成長が停滞する要因としては人口減少や高齢化などのほか、技術革新がなくなったり、わずかな技術改良のみにとどまったりすることで、社会を変革する核心的技術を持ち得なくなり、技術革新を活用できないこと、新たな技術や製品を導入しようとしないことなども大きな要素として挙げられる。 

技術面で外部からの締め付けを受け、貿易面で高関税を課されており、国家間の関係において経済安全保障が何よりも高い位置付けとされる中、中国は改革開放を堅持する一方で自国の技術革新力の深化を絶えず加速させる必要がある。杭州の「六小龍」(杭州で生まれた6社の科学技術企業の総称で、3Aゲーム『黒神話 : 悟空』の開発企業である遊戯科学、大規模言語モデルDeepSeekの研究開発企業である深度求索、民用ロボット企業の宇樹科技、スマート四足歩行ロボット企業の雲深処科技、ブレインマシンインターフェース技術の研究開発応用企業である強脳科技、空間インテリジェンス企業である群核科技を指す)の登場と活躍は、中国の民営企業が厳しい国際的封じ込めと国内における激しい競争の中、困難を恐れず雨後のたけのこのように現れ、急速な成長を遂げた好例だ。 

政府活動報告にはイノベーション能力のさらなる向上、集積回路(IC)、人工知能(AI)、量子技術などの分野で得られた新たな成果についての言及があり、月探査機「嫦娥6号」による人類史上初の月の裏側からのサンプル採集の実現、地球深部調査船「夢想号」の就役、技術契約の成約額の112%増加といった内容も盛り込まれた。中国が今後引き続き深掘りしていくこれらの分野の技術の進歩、さらには技術と社会生活の緊密な結びつきによって社会の革新を成し遂げ、経済成長を完成させる必要がある。 

「ハスの法則」に基づく技術革新 

筆者は日本の読者との交流の中で、たびたび次のようなことを尋ねられたことがある。それは、米国によるデカップリングや日本の対中経済安全保障は中国の経済成長にかなりの程度の影響を及ぼしていると考えていたが、ここ2年の中国の技術革新は爆発的な成長を見せており、杭州の「六小龍」から中国の技術革新の特徴をどのように捉えればよいのかということだ。 

筆者は回答する際、「ハスの法則」を例に挙げた。 

ハスの花はまず1日目にごく一部だけが咲き、2日目には開花したハスの数が前日の2倍になり、30日目には池全体がハスの花で覆われるようになる、その特徴は、29日目には池の半分のハスの花しか咲いていないが、30日目には突如全てが開花することにある。 

中国はハスが生い茂る巨大な池のようなものであり、人口規模が大きく、大学における理系の学生数は文系をはるかに上回る。また、大半の中国人は何らかの技術を身につけるべきだと考えるが、過去にそれは大工や調理師だったが、現在より多いのはパソコンや科学技術に関連する職能となっている。 

池の大きさが足りなければハスの花が全部咲いても数十本程度にすぎないが、中国という巨大な池では、ひと咲きするだけで数十万本になり、局地的にも数千から1万本以上に達する。中国のこのような特徴を世界の他の国で探すことは難しい。 

とりわけ、中国の技術革新はいくつかの分野で目標を定めた後、加速度的に進んでいる。デカップリングやサプライチェーンの断絶、経済安全保障政策が推し進められるほど、中国が関連分野にいっそう力を集中させてブレークスルーを果たし、科学研究力をますますそれらの方面に集中的に投入するよう促すこととなる。中国は優れた製造能力と大学科学研究機関の研究開発力をよりどころとし、中国製のスマートフォン、電気自動車(EV)、太陽光発電、ドローン、ショート動画アプリなどの製品を発展させており、今後はさらに半導体、AI、バイオ医薬、ニューマテリアルといった「ハスの池」で、新たな花を咲かせていく。 

揺るぐことのない対外開放 

ここ数年、外部からの中国に対するデカップリングやサプライチェーンの断絶、経済安全保障を口実とする圧迫は日増しに強化されてきたが、中国の世論においては両者並び立たずといった主張やイデオロギー上の対立対抗の声は決して多くない。中国が堅持しているのは、「外部環境がいかに変化しても、終始一貫して対外開放を堅持し、制度型開放を着実に拡大し、自主的開放と単方向開放を秩序立てて拡大し、開放によって改革と発展を促す」ということだ。 

啓蟄は中国語で「驚蟄」という。自然界の生物が巡る季節の変化の影響を受けるのと同様に、国際社会というエコシステムにおいても、各国は互いに影響を及ぼしている。技術の進歩によってテコ入れされる中国の経済成長は、最終的に世界中の人々の暮らしに恩恵をもたらすことだろう。 

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