言葉で国民の信頼得る 情報発信続けた医師ら

2020-08-10 14:55:12

 

中国工程院院士で中国国家呼吸器疾病臨床医学研究センター主任の鍾南山氏(新華社) 

5月以降、中国の大部分の省自治区直轄市では企業がだんだんと操業を再開し、人々の生活は元に戻りつつある。新型コロナウイルス感染症が1月に猛威を振るい始めて以来、未知のウイルスと病気に直面した人々は、大きな不安を感じた。しかしそんな中でも、医療従事者たちのSNS上での科学的かつ理性的な発言のおかげで、私たちは落ち着いて感染症に立ち向かうことができた。こうした医師たちは、感染症が拡大する中で、まさに「インフルエンサー」となった。

4月末までにはほぼ制御できる

1月20日、鍾南山氏(84)は国家衛生健康委員会ハイレベル専門家チームのトップとしてテレビに出演し、記者の質問に対し、武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について、「ヒトからヒトヘの感染」を確認したと発表した。そして、国民に予防を心掛け、人が密集する場所へ行く際はマスクを着用し、帰宅後は手を洗い、不要不急の武漢への訪問を控えるよう注意を促した。こうした彼の発言は、国民にとって感染症の警告となった。中国で重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した17年前、鍾氏は事実に基づいた科学的な発言で人々にSARSの真実を示した。そして今、彼は再び感染症の予防警報を鳴らした。

感染が拡大する中、鍾氏の発言は人々が感染症を予防し、状況を判断するための指針となった。中国がまだ厳しい状況にあった2月27日、鍾氏は「基本的には4月末には制御できると信じている」と述べ、それは人々の希望となった。想定通り、3月に入ると中国本土の感染状況は明らかに好転し、4月には日々の新規感染者数は全国でほぼ2桁台となり(海外からの流入感染者を除く)、武漢市の都市封鎖も解除された。各地では企業の操業再開学校の授業再開が徐々に進み、人々の生活はだんだんと元通りになりつつある。

 

鍾南山氏(右)は4月、広州市の感染予防抑制に関する記者会見で無症状感染者、感染の再拡大などの質問に対して答えた(cnsphoto 

ある場面で、「どうしてそんなに自信を持って予測できるのか」と尋ねられた際、鍾氏は「全国の『入院すべき患者は全て入院させ治療する』という厳しい予防抑制措置と『治療が必要な患者は全て治療する』という効果的な治療、および医療チームが出した感染症の数理モデルによる分析に基づいて予測しているから」と答えた。

まさに、鍾氏はまじめで誠実な科学的精神と強い社会的責任感による「真実を話す勇気」で人々の信頼を得た。

最前線には、党員が立つべき

上海が感染拡大を防止する正念場を迎えた129日、上海華山病院感染症科主任の張文宏氏(51)はチーム内の全ての党員に最前線に就くように指示した。彼は、「最も困難な仕事、最も大変な任務には、まず党員が先頭に立たなければならず、これには議論の余地はない。私は党支部の書記です。まずは私が最前線に立ち、他の党員も前線に立つべきです」と話した。張氏のチームには49人の医師がおり、そのうち25人は共産党員で、彼の決定に異議を唱えた者はいなかった。

 

上海華山病院から武漢に派遣された医療支援チームのメンバー273人が417日、病院に戻り表彰式が行われた。張文宏氏は写真右から2人目(cnsphoto 

張氏はこの発言でネットユーザーたちから称賛され、人々はこの真っすぐで誠実な医師の話に関心を持ち始めた。その後、彼はメディアにしばしば登場するようになり、分かりやすく、機知に富んだユーモアのある言葉で感染予防について紹介した。例えば、日常生活での自宅待機の重要性については、「これからは皆さん一人一人が『戦士』です。皆さんは自宅待機ではなく、『戦場』で闘っているのです。皆さんは今『閉塞感』を感じているでしょう。ウイルスも『閉じ込め』れば死にます。発症者を全員見つけて隔離すれば、他の人たちは安全です」

授業が再開になった学生に対しては、「学校が始まっても、他の人たちと集まって一緒の食事はせず、寮の部屋に戻ってもルームメイトと極力話さないでください。『沈黙は金』です。これは大学生にとってとても良い訓練でしょう」

また、仕事に復帰した社会人に対しては、「会議の時は無口な人や仲良くない人の隣に座ってください。そうすれば、あなたは話さなくて済みます。話さなければ、感染リスクは抑えられます」

そして、今後の感染状況については、「もし今年の秋になっても終息していない場合、ピークは冬になるかもしれません。私たち感染症専門医のメディア露出が減ればいいと思っています。それが、国と世界の幸せです」

人権侵害では――「違う」

中国工程院院士で感染症専門医の李蘭娟氏(73)は、前出の鍾南山氏や張文宏氏と比べ、その感染症に関する発言はより多くの批判を受けた。しかし、事実が彼女の正しさを証明した。

 

中国工程院院士、浙江大学医学部教授の李蘭娟氏(新華社) 

李氏は1月初め、国家衛生健康委員会ハイレベル専門家チームメンバーとして武漢へ調査に赴いた。そして1月19日、最初に「武漢封鎖」を提案した。彼女は自身が17年前に浙江省でSARSと闘った経験に基づいて提案した。その当時、浙江省はSARSの感染予防抑制の成功モデルと言われた。李氏は、「浙江省には初め4例の流入患者がいて、私は1000人以上を隔離しました。『これは人権侵害じゃないのか』と言う人もいましたが、私は『違う』と答えました。伝染病予防治療法によれば、甲類伝染病の予防抑制措置は法律に基づき検査、隔離による医学観察などの措置を取ることができます」。今では武漢の「都市封鎖」が感染の全国的な拡大を防ぐための重要な決断だったことを否定する人はいない。しかし当時、李氏はこの提案で大きな圧力を受けた。

また李氏は、猫や犬などペットにも規制が必要であるとし、「このウイルスは哺乳類の間で伝染しているため、動物にも予防措置が必要だ」と述べた。この発言で、動物愛護者やペットの飼い主たちからは批判を浴びた。彼らは、人とペットが共に病気になることはない、李氏の発言はペットの大量遺棄を生む可能性があると批判した。しかしそのわずか2カ月後、犬や猫が新型コロナウイルスに感染することが確認された。

感染が拡大する中、不安を抱える人々に対し、多くの人は慎重で、無難な発言を選ぶ。しかし、李氏は違う。彼女は幾度も矢面に立ち、自身の専門知識と臨床研究に基づき、大胆な予測と判断をした。4月下旬、彼女のチームは再び最新の研究成果を発表し、「新型コロナウイルスの変異と多様性が非常に軽んじられている。このことは、新型コロナウイルスの治療薬とワクチンの研究開発にさらなる困難をもたらす」と述べた。皆が首を長くしてワクチンの完成を待ち望む時、李氏のこうした発言は人々に再度、現実に即さない幻想を捨てさせ、引き続き日常生活での予防を重視し、新型コロナウイルスと長期にわたって冷静に闘う覚悟を持たせた。(高原=文)

 

人民中国インターネット版 20208

 

 

 

 

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