趙樸初しのぶシンポジウム

2023-07-12 11:39:00

王朝陽=文・写真

中日平和友好条約締結45周年を記念し、趙樸初ら両国関係の発展に多大な貢献をした仏教界関係者をしのぶイベントが、中国駐大阪総領事館と中国外文局アジア太平洋広報センターの共催で6月6日に京都市で行われた。両国の仏教界の代表者や友好人士が集まり、ドキュメンタリー『趙樸初』の鑑賞後に中日仏教友好シンポジウムを開催。両国の仏教史を振り返り、親交を深めた。 

先達の思いを受け継ぐ 

当日は呉江浩駐日本中国大使が祝電で、「中日両国の仏教交流の歴史は長く、古来文化交流の大切な担い手となってきた。鑑真、隠元、空海、最澄らの高僧が両国文明をつなぐ懸け橋となり、共通の文化をつくり出した。戦後は趙樸初居士をはじめとする両国の仏教界の人々が手を携え、平和理念の堅持と幅広い交流、協力に尽力し、両国の仏教交流の不断な深化を進め、中日関係の再構築と発展に積極的な役割を果たした」と先達の功績をたたえた。 

呉大使はまた、中日平和友好条約締結45周年の今年こそ、両国仏教界の有識者が引き続き平和友好の旗を高く掲げ、中日交流と協力を積極的に推進し、中日両国民の子々孫々の友好と、両国共通の平和的発展に新たな貢献を行ってほしいと期待した。 

薛剣中国駐大阪総領事は開幕式で、「趙樸初先生は戦後の中日仏教界の交流復活を推進し、さまざまな困難や障害を乗り越えて国交正常化実現に尽力し、その数知れない功績で、多くの貴重な精神的・物質的財産をわれわれに残してくれた。この大切な歴史的時期において、われわれは特に両国の仏教界の先達の遺志を継承、発揚し、両国民が共に心に秘める精神的価値の絆をより強固にし、両国関係を盤石かつ安定したものにするよう推し進め、さらに発展させるよう努力しなければならない」とあいさつした。 

中国外文局アジア太平洋広報センターの王衆一総編集長は、趙樸初が『人民中国』創刊30周年記念として寄せた漢俳「桜花両岸明,江水東流送友声,綢繆三十春」をビデオメッセージで回顧し、「この漢俳は『人民中国』の使命を表しているとともに、今の私たちが新たな状況の下、中日間の人的交流を続けるための指針でもある。今、私たちがここで趙先生の平和主義の心、慈悲の心、人道主義の心、人的交流の心、人民友好の心について話し合うことは、『人民中国』創刊70周年と中日平和友好条約締結45周年にとって最良の記念となるだろう」と会の意義を述べた。 

中国仏教協会の宗性副会長は「中日仏教交流」をテーマに講演を行い、趙樸初が残した詩や書に始まり、中日仏教界の交流にまつわる感動秘話を回想。中日平和友好条約締結の当日に趙樸初が創作した詩3首を披露した。最後に「中日両国の仏教界の人々は手を携え、趙樸初先生をはじめとする先人の悲願を受け継ぎ、中日仏教間の友好交流を引き続き拡大し、両国民の子々孫々に至る友好事業を推し進めることで、兄弟同様の『黄金の絆』をより輝かせることができるだろう」と結んだ。 

新たな友好の扉を開く 

続いて行われたシンポジウムでは、中日両国の仏教界の代表がドキュメンタリー『趙樸初』や仏教文化交流などをテーマにな意見を交わし、深い議論を展開した。 

中国側代表は自らが所属する寺院と日本の仏教界との長い交流の歴史や、両国の仏教友好の伝統発掘における趙樸初の努力と貢献について語った。 

西安の青龍寺住職で大興善寺の方丈を務める寛旭法師は、「趙樸初先生は青龍寺再建のために各部門との調整などに奔走され、それは想像を絶する労苦と困難でした。そして恵果空海記念堂の落成式では『空海大師が千年以上昔に抱いた、両国の人々の間に友好関係を築き、両国の文化を行き来させたいという願いは、これからも確実に受け継がれていくでしょう。両国の友好協力関係は、これまでにない全く新しい局面を迎えるに違いありません』と興奮気味に語られました。そして今、空海大師が記し趙樸初先生がした『恵果和尚碑』が記念堂の前に設置され、桜との美しいコントラストが両国の友好と平和の新たな一ページを見守っています」と語った。 

日本側代表は趙樸初と日本の寺院や僧侶との深い友情を回想した。師父と共に以前訪中した霊雲院の則竹秀南住職は、「汽車で臨済寺に向かう際、趙樸初先生はわれわれを駅のホームまで見送ってくれました。別れ際には誰もがその場を立ち去り難く、汽車の窓から身を乗り出して別れを惜しみました。趙先生はずっとホームに立ち、われわれを見送ってくださいました。汽車が速度を上げるにつれ、趙先生の姿がどんどん小さくなり、ついに視界から消えたときの様子は、今も忘れ難き思い出として私の心に深く刻み込まれています」と振り返った。 

古くは鑑真や隠元が仏教を広めるために日本へと渡り、空海と最澄は唐に渡って学び、無数の僧侶が荒波を越えて中日間の二千年にわたる交流の歴史に輝かしい一章を書き残した。そして今、趙樸初はじめ中日両国の仏教界の人々が共に努力したことで切り開かれた友好の新たな一章は、今後も両国の後継者によって書き継がれていくことだろう。  


ドキュメンタリー『趙樸初』を鑑賞する中日両国の仏教界の代表や友好人士

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