相互理解を深めた8日間 2024年笹川杯訪日団交流記

2024-04-18 10:46:00

李一凡=文写真 

本科学協会の招聘(しょうへい)により、「笹川杯本を味わい日本を知る作文コンクール」「笹川杯全国大学日本知識大会」「笹川杯日本研究論文コンクール」の入賞者と引率教諭の45人が、2月1724日の8日間にわたって日本を訪問。東京、河口湖、松本、宇都宮、笠間などを巡って日本の自然の景観に触れ、日本の伝統文化と現代文化の融合と出会い、日本の若者と深く交流した。 

共に10年後の青写真を描く 

訪日団は到着直後の18日と19日、笹川平和財団笹川日中友好基金が主催する第4回「日中未来創発ワークショップ」に参加した。日本の大学生30人と共に「私達が実現したい『未来の生活』」をテーマに、若者ならではの視点で共作と交流を行った。主催者代表として登壇した笹川日中友好基金の尾形慶祐特任グループ長は、「新たな環境において、日中両国の青少年の相互理解と交流の強化は極めて重要で、それこそが本会開催の目的でもある。これを機に両国の若者が交流を深め、そこからなにかを得てほしい」と希望した。 

ワークショップに参加した若者は10グループに分かれて、浅草、秋葉原、上野などを巡るスケジュールを組み、バリアフリー、モバイル決済、人工知能(AI)テクノロジーなど共通の関心事のフィールドワークやディスカッションを行い、10年後のより良い生活への期待を描いた青写真を、イラストと共に生き生きとした語り口で発表した。 

日本に来たのは初めてという南京工業大学の楊東林さんは、国際都市東京はとても清潔、ネットで見る日本と実際の日本は違う部分もあり、日本の伝統文化と二次元文化への理解が深まったと印象を語った。 

中国の若者と直に会って話をしたのは初めてという順天堂大学の杉浦太一さんは、直接交流の方がより多くのアイデアが生まれると感じたようだ。「日本のバリアフリー化が進んでいると感じる中国人と、中国のモバイル決済はとても便利だと感じる日本人。学び合うことでより良い生活が実現できるのではないでしょうか」 

笹川杯訪日団副団長で中国外文局アジア太平洋広報センターの王衛副主任(当時)は、「参加者は日本の優れた衛生環境や社会的秩序に触れただけでなく、地下鉄の案内標識をより見やすくする方法やAIを活用した人的交流促進など、さまざまな未来像を描いてユニークな意見を発表していたが、同時に両国の違いやそれぞれの良さにも着目していた。これからも両国間の民間友好と相互理解に尽力してほしい」と願った。 

定番では得られない特別な体験 

東京でワークショップを終えた一行は、20日早朝に車で地方へと旅立った。目的地は河口湖、松本、宇都宮、笠間だ。新型コロナの影響もあり、訪日団メンバーのほとんどが初来日。京都、北海道など、中国人旅行者に人気の地名がほぼない日程表を見て戸惑った学生も多かったようだが、むしろ思わぬ収獲を生んだようだ。 

日本の古建築が好きな北京外国語大学の白易之さんは、松本城の天守閣に上って願いをかなえた。「松本城は重厚な美しさで、天守閣の軒もとても特徴的でした」と大喜び。天守最上階に祭られている「二十六夜神」も、白さんの興味をそそった。神を敬う文化の浸透を改めて感じ、中国文化との共通点を見ることができた、と収獲を語った。 

さらに一行は宇都宮で餃子店を訪問。店員に教えられながら具材を混ぜ、皮で包んで名物の「宇都宮餃子」を手作りし、焼き、ゆで、揚げの3種を堪能した。当日は旧暦の1月12日で、日本で言うところの「松の内」に当たった。思いがけず異国で春節気分が味わえたメンバーは大満足。この体験が最も印象深かったと語る清華大学の李鋭さんは、「私はギョーザをよく食べる東北地区出身なのですが、日本のギョーザは具材、包み方、調理方法など、全てにおいてかなり違いました。特別な異文化体験ができました」と違いをかみしめた。 

陶芸の街笠間の訪問は、みぞれ交じりであいにくの天気だったが、メンバーの心に「ぬくもり」という言葉を刻んだ。地元の人々の温かい歓迎を受け、11のグループに分かれてホームステイをしたメンバーは、家庭料理、生け花、着物、茶道などを体験し、あるいは中国と日本の違いについて話し合うことで、日本社会への理解と知識をアップロードした。「日本の歴史や文化を体験し、自然を満喫するという普通の旅行ももちろん楽しいのですが、日本の一般家庭で過ごした経験は、最も忘れがたいものでした」と広州大学の劉詩穎さんは振り返った。 

寝食を共にし固い友情結ぶ 

若者同士の理解をより深めてもらおうと、主催側は「Panda杯全日本青年作文コンクール」の2023年度受賞者4人をボランティアとして招いた。日本人の彼らも訪日団と8日間を共にしたことで、中国の若者との深い友情を結ぶことができたようだ。 

獨協大学で学ぶ金場ノエルさんは、昨年参加したPanda杯受賞者の訪中旅行で中国の学生に温かく迎えられた経験から、「恩返ししたい」とボランティアに志願したという。茨城県出身の金場さんは今回の行程に笠間が入っているのを見、「中国の皆さんの目に私のふるさとがどのように映るのか、とても興味があります」と語った。 

同志社女子大学の田中玲名さんは「Panda杯の訪中でも学生交流はありましたが、今回はもっと仲良くなれるだろうなと思い、とても楽しみでした。だから、中国人の友達ができたのが一番うれしいことでした」と収獲を語った。 

田中さんと四川外国語大学の李湘蓮さんは8日間常に行動を共にし、参加メンバー同士がより理解と友情を深められるようにと、さまざまなレクリエーションを企画した。「日本人は人との距離が遠いと思っていましたが、実際に触れ合って決してそうではないと分かりました。玲名さんとは共通の趣味が多いしとても親切だったので、すぐに仲良くなれました」と李さんは言う。 

李さんの考えに同意する天津外国語大学の董剣菲さんは、「もちろん言葉の壁で伝えきれないこともあるけれど、中国人も日本人も自分の考えていることを精一杯伝えて仲良くなりたいと思っているし、理解し合いたいと思う気持ちはとても強いと感じました」と見解を語った。 

興奮、感動、収穫、そして名残惜しさ。さまざまな思いを抱き、訪中団は24日に帰路に就いた。「また来たい」「日本のみんなにももっと中国に来てほしい」「中日の青年交流に貢献したい」と口々に語り合いながら。訪日で得た数々の体験と得難い友情は、彼らにとって一生忘れられない思い出になったはずだ。そしてこの体験が、中日友好交流に若い力を注ぐきっかけとなることに期待したい。 

人民中国インターネット版

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