世界平和維持の「旗手」をアピール

2025-09-04 19:52:00

名古屋外国語大学名誉教授 日中関係学会副会長兼東海日中関係学会会長 川村範行=文 

記念大会での習近平主席の演説は、中国が抗日戦争を通じて世界反ファシズム戦争へ貢献したことを強調すると共に、人類運命共同体の構築という理念を掲げて世界の平和に貢献する姿勢を表明したと言える。トランプ米国大統領が自国第一主義により、戦後の国際秩序を否定している背景下で、中国が国際秩序と世界平和を維持する旗手」としての立場を世界に強くアピールした。 

習主席は挨拶の冒頭で、「歴史を銘記し、平和を愛し、未来を創っていく」ことを主張しており、これは内外の多くの人たちの共感を呼ぶ内容だ。 

続いて、習主席は、「歴史の警告」として、戦争の根源を無くし、歴史の悲劇を繰り返さないために、「全ての国家、民族の平等対応、調和共存、相互扶助による安全維持」を主張したが、これはトランプ米国の反国際協調姿勢とは対照的な「国際協調主義」の呼びかけである。 

さらに、習主席は、「世界は平和か戦争か、対話か対抗か、ウインウインかゼロサムかの選択に直面している」ことを指摘し、中国は「平和発展の道、人類運命共同体の構築という理念を堅持していくと、中国の指導的な姿勢を明確に表明した。 

人類運命共同体の構築は2013年に習主席が提唱し、国連総会において2017年以来8年連続で採択された。既に、この理念は世界に広く受け入れられているのである。 

習主席のあいさつは、国内向けには、中国共産党の呼びかけで民族統一戦線を形成して、民族・国家の存亡を賭けた抗日戦争に勝利したことを強調した内容である。抗日戦争は「中国人が多大な犠牲を払って世界反ファシズム戦争の中で重要な役割を果たした」と訴えた。あいさつにはなかったが、中国が14年間の長期にわたり日本軍を中国大陸に釘付けにし、日本軍の北進、南進を阻み、欧州の対独戦争や東南アジアでの対日戦争を有利に進めることに貢献したのである。 

戦後から80年間、日中両国は一度も戦火を交えず、「不戦平和」を維持してきたことが貴重である。1972年の日中国交正常化時の日中共同声明、及び1978年の日中平和友好条約で、「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力または武力による威嚇に訴えない」と明記し、遵守してきたのである。近年は東アジアの安全保障を巡るリスクが高まっているが、偶発的な事故や武力衝突は絶対に防がなければならない。日中両国を中心に東アジアの不戦平和を維持していく努力が求められる。特に、中国が世界の平和維持に果たす役割は大きい。 

人民中国インターネット版

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