人類の進むべき道を未来志向で示す 習主席の演説によせて

2025-09-04 19:54:00

文=法政大学大学院教授 白鳥浩 

習近平国家主席は、202593日に、北京の天安門広場で開かれた、中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念大会において演説を発表した。この2019年の中華人民共和国成立70周年記念大会以来となる式典には、26か国が参加する大規模な「国際的な式典」であった。 

さらに、同大会の観閲式においては、現在の中国の最新、そして最先端の兵器が公開されるとともに、退役した元兵士などの参加もあり、過去の歴史と現在、そしてそれを見守る若者たちが担う未来へとつながる「歴史をつなぐ」一大イベントともなった。 

この式典は、そうした「共時的な」国際的な性格、そして「通時的な」歴史的な性格の、二つの重要な意味を持つ、その交差する中心に、現在の中国がある、という事を内外に示している。そうした非常に重要な式典において、そこにおける習主席の演説では、中華人民共和国、そして世界が担うべき今後の使命が明示されているという意味において、戦勝国のひとつの式典における式辞を超えた、国際的で歴史的な「人類運命共同体」を目指す「リーディング・カントリー」としての、未来志向の中国の指導的役割が提示されているという意味で重要である。 

演説においては世界反ファシズム戦争の一環である、中国人民抗日戦争における中国人民の貢献により、「人類文明の救済」と「世界平和の擁護」に貢献したことについて触れ、「人類は運命を共にし、喜びも苦難も共有している」という視点から「各国の各民族が平等に接し、仲睦まじく付き合い、助け合うことで、初めて共同の安全保障を実現し、戦争の根源を消し去り、歴史の悲劇を再び繰り返さない」という歴史の教訓を提示し、平和への強い意志を表現している。 

習主席がこうした歴史観を披露されるのには現代が、第二次世界大戦の「戦後」ではなく、次の戦争への「戦前」となる危険性があると考えていることが示唆され、「今日、人類は再び平和か戦争か、対話か対立か、ウインウインかゼロサムかの選択に直面する」ことが提示される。 

そこで「歴史の正しい側、人類文明の進歩の側にしっかりと立ち、平和的発展の道を堅持し、各国人民と手を取り合って人類運命共同体の構築に努める」ことを使命とし、「人類の平和と発展の崇高な事業は必ず勝利する」と締めくくられている。 

これは人類の進むべき道を未来志向で提示した重要な演説といえる。 

人民中国インターネット版

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